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優しさの刻、最後のデザートへ

10月5日、バレーボール五輪主将の
荒木絵里香さんは引退会見で
「選手を味わい尽くせた気持ち」
と表した。
そして、「沢山の人の支えで
ここまで続けて来れた」
と謝辞を添えた。

10代から日本代表として活躍した
約20年の軌跡。
4大会連続の出場も果たした。
幾多もの怪我や試練、敗北、
沢山の歓声と歓喜、勝利の日々は、
一瞬ごとが「味わい」だったろう。

「能率手帳」でお馴染みの、
日本能率協会マネジメントセンターの
会長だった野口晴巳氏は名著
「能率手帳の流儀」で説く。

「「あなたはなぜ、
社長になることができたのですか」
と聞くと多くの社長さんが、
幸運な出会いがあったからと答えます。
興味深いのは、その出会いが、
どなたも苦い体験だったということ。
だいたいが叱られたり、
厳しいことをいわれたりしています。
しかし、それで自分の未熟さ、傲慢さ、
視野の狭さに気づいたとおっしゃいます。
午後のコーヒーはちょっとほろ苦いほうが
いいのと同じで、自分の至らなさに
目覚めるためには、叱られるほうが
効くようです。」

「人生の価値は喜怒哀楽の集積」と
誰かが言った。
苦しみや悲しみが深い分、
振り子の如く、喜びも楽しさも大きい。
ウイングしてこその、滋味。

この荒木さんの記事を読んで僕は
Mr.Childrenの名曲「HERO」を
思い出していた。

♫「人生をフルコースで深く味わうための
幾つものスパイスが誰もに用意されていて
時には苦かったり 渋く思うこともあるだろう
そして最後のデザートを笑って
食べる君の側に僕は居たい」♪
Mr.Children「HERO」

僕らの時間は有限だ。
今このときが瞬く間に過去になる。
だから懸命に今を生きる。
ときに不条理な道を
怯みながら歩み、闇雲に走りぬく。
やがて、優しい時間がおとずれる。
あのときも、そのときも、
全てが味わいとなる。

いずれ僕も今の職場を去る。
そのとき、荒木さんのこの言葉や
手前味噌ながら「HERO」の歌詞を
思い出せたらと思う。

最後に笑って食べるデザートは、
泣けるほど、とろけるほどに
甘いことを期して。

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