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〖本紹介〗本日は大安なり

こんにちは。5回目の投稿です。

今回は王道かもしれませんが、私の大好きな小説家の一人である辻村深月さんの、ドラマ化もされたこの作品を紹介したいと思います!

〖本日は大安なり〗     辻村深月


【あらすじ】

裏表紙より

【おすすめポイント】

①同時進行の物語

舞台は、とある高級結婚式場。11月22日大安。「良い夫婦の日」かつ大安ということもあり、式場の予約は満杯です。

そんな11月22日、4組のカップルの結婚式が行われます。その4組の物語が、それぞれ同時進行で進んでいきます。
「山井多香子     10:05」のように、名前と時刻を示しながら物語が進んでいきます。

4組のカップルの物語ということもあり、登場人物がとにかく多いです。でも、どれが誰だっけ?とか全くならずに読み進めていくことができます。登場人物が多いのにとにかく分かりやすいです。

一見全く関係ないバラバラの4組のお話ですが、読み進めていくと、「あ!あの人だ!」という感じでそれぞれのお話しがつながる部分があり、ほんとに辻村さんの表現力の高さに感動します!
バラバラの話なんだけれど繋がってる!みたいな。点と点が線で結ばれていくような感覚になりました。

個人的には2回目に読む時は(本を読み返すことの無い方もぜひ)1組ずつを時系列のまま読んでいくと、それはそれで面白いのではないかなと思います!(1組目の部分を一気に読んで、次は2組目みたいな感じで!)


②伏線回収の気持ちよさ

辻村深月さんのお話を何度も読んだことのある方は、絶対にこう思うでしょう。

「これぞ辻村深月だ!」と。(←生意気ですね笑)

ほんとになんでこんな物語が書けるんだろうと。4組のお話全てに面白い仕掛けが隠されていて。
私が特に好きなのは、東家・白須家のお話です。この1組のお話だけで1冊作っても全然満足できるって感じです。この1組のお話だけでも、私は3回くらい「え!?え!?え!?」を繰り返しました。笑

早くページをめくって確かめたくなるのに、そのあいだ間に他のカップルのお話しが挟まっているので、焦らされている感じがあります。ドラマの良いシーンでCMが流れてくるみたいな。笑
それも同時進行の面白さですね。

とにかく、1冊を読み終わったあとには、何重にも仕掛けられていた仕掛けが、全てきれいに回収されるので、爽快感がすごいです!

同じ人が悪い人に見えたり良い人に見えたり。あの時のあの会話はこういうことだったんだ!とか思ったり。
最後の最後まで辻村ワールドに翻弄されてください!笑

③登場人物のキャラクター

正直、途中までは、登場人物の中に純粋な良い人って居なくない!?って感じでした。
みんなクセが強かったり、変だったり、なんか心に闇を抱えていたり。

特に、双子の姉妹が登場する相馬家・加賀山家のお話では、こんなことしちゃう!?っていう驚きの計画が進められています。
わざわざ結婚式でそれやらなくてもよくない?みたいな。でも、その計画にも姉妹それぞれの思いがあって。

読み進めていくうちに、それぞれが色んな思いを抱えながら結婚式を迎えたんだな〜と。それが伏線回収にも繋がるんですけどね。
1冊終わる頃には、性格に難ありの登場人物が、可愛らしく思えてきます。あ、でも個人的に鈴木陸雄という人物には、最後までイライラしました。お前は幸せになるな!って思っちゃうくらい、めちゃくちゃ最低なヤツです。笑

あと、4組のうちの1組のお話は、ウェディングプランナー側の視点から描かれています。そのウェディングプランナーにも、ある秘密が隠されていますが、それに関することが、この物語が表す爽快感に一番繋がってくるんじゃないかなと。1組だけウェディングプランナー視点で書かれていることも良いアクセントになっていて、本当に素敵な作品です!

あと、個人的にどうしても気になることがあって。双子の姉妹のお話の部分だけ、全てが「です・ます調」で書かれているんです。どんな狙いがあるんだろうなーと。読んでいく中で、そこの部分だけ異質な感じがするんですよね。

個人的には
・本全体の中で、双子の姉妹の2人だけ共通の話し方にすることで、双子感を強調したかった
・です・ます調で淡々と話すことで、双子のお話の中でキーワードになる「ややこしい子」を表したかった

などの狙いがあるのかなーとか思ったんですけど、他の方はどう考察するのかなーと。
こういう考察を考えるのも楽しいですね。

また違った考察を思いついたら追記します!

以上!辻村さんらしさ満載の、本日は大安なりの紹介でした!

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