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small design|建築|岡山|『小さい(= small)』ことで生まれる豊かさ…

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small design|建築|岡山|『小さい(= small)』ことで生まれる豊かさを手がかりにデザイン https://lit.link/smalldesign

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【small design】はじめに

僕は 『世の中のモノを小さくしたい』 と思っている 工業製品は基本的に規格化されたモジュールで組み立てられている そのモジュールは平均値より余裕を持たせたサイズが使われることが多い それは世の中には平均より大きな人もいるからだ 誰でも使えることを考えると当然 “大は小を兼ねる” という理論になってしまう そう考えると、みんなが使えることを重んじるあまりにほとんどのモノは “平均よりも余裕を持ったサイズで作られているのではないか?” という仮説が生まれる 僕はこのような社

    • 【architecture】住吉の長屋②|安藤忠雄

      安藤忠雄の育った生家も偶然ではあるが、『住吉の長屋』と同じ、間口2間、奥行8間であった 私も間口2間の家の生まれであるが2間というのは約3.6メートルであり、かなり狭い 部屋をとるだけであれば問題ないがここを通過する通路を確保しようとするとかなり無理がある 実際の『住吉の長屋』は3.3メートルでさらに30センチ狭い 安藤氏もここの住人となる施主もこの狭さや長屋の暮らしについては熟知していた 当然暮らしにくいことも 安藤忠雄氏は三軒長屋の真ん中を切り抜きコンクリートの箱

      • 【architecture】住吉の長屋①|安藤忠雄

        建築家安藤忠雄氏の名目的なデビュー作が『住吉の長屋』である 1976年に完成したこの『住吉の長屋』を武器にこれまで世界中で闘ってきたと言っても過言ではない 安藤忠雄氏の建築の精神は、先日取り上げた『表参道ヒルズ』もすべて、遡れば『住吉の長屋』に繋がっている 『住吉の長屋』はその名の通り、大阪の住吉大社のすぐ近くに位置する 私は今から18年前の学生時代に『住吉』という地名だけを頼りに探し回り実際に目にした 憧れの建築家の原点とも言える建築を目の前にして、鳥肌が立つ感覚が

        • 【architect】ケンチクノオト

          サッカーの中村俊輔選手は幼い頃からサッカーノートを書き続けている その日あった試合や練習で感じたことや改善点を文字やイラストでまとめていた このサッカーノートを書くことで世界でも活躍したサッカー選手になれたのかもしれない 野球の大谷翔平選手も高校生から目標達成のためのノートを書き続けていることも有名だ 話は変わるが、最近は自宅でのテレワークやzoomなどが増えて防音工事の依頼が増えているようだ 確かに自宅で仕事をしていて生活音をzoom会議で聞かれるわけにもいかない場面も

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        【small design】はじめに

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          【architecture】窓学|訴える窓|aiさんちの窓

          こちらの一見日本のどこにでも見かけられる窓 しかしこの窓は建築的に巧みにデザインされた窓である 以前私のnoteで取り上げたイタリア/アマルフィの窓とも引けを取らない秀逸な窓である 実はこちらの窓は人気noterのaiさんちの窓である 100件近いスキを頂戴しているこの窓には建築的に隠された秘密があるはずである 今回はその秘密を探ってみたい まず真っ先に気になるのが、なんとも言えない表情でこちらを見つめているaiさんちの猫さん ちょうどaiさんが出掛けようとしたとこ

          【architecture】窓学|訴える窓|aiさんちの窓

          【architect】ことば

          建築家はメンドクサイことを言う職業だと思っている ヤッカイでコムズカシイことを言っているイメージだ これは個人的な意見であって良い悪いの話ではない 私のスタンスの話である 世の中の建築家の中には、なるべく難しい言葉を使わずに建築の打ち合わせをするように心掛けているなんて話をよく聞く 建築はかなり専門性が強く一般の方では分かりにくいことや専門用語も多い それを噛み砕いた言葉に置き換えて説明するのは親切であり分かりやすくて良いことだと思う だが、私はこういった専門用語や難

          【architect】ことば

          【architecture】HouseN|藤本壮介

          「だから建築家に頼むとロクなことにならないんだよ」 と散々非難の嵐を浴びそうな外観の住宅である こんな家住めるわけないだろう( *`ω´) 丸見えじゃないかΣ(-᷅_-᷄๑) 一番外側のハコ意味ないだろo(`ω´ )o 5割くらいの人がこのようなとっぴょうしもないような家を見ると怒っている 人の家なんだからホッといて欲しいものだが怒りの感情が湧いてくるのはなんでなのでしょう… この建築は大分県に建つ藤本壮介氏という建築家が手掛けた住宅だ 藤本氏の建築については

          【architecture】HouseN|藤本壮介

          【lifestyle】普通ってなんじゃい

          最近三人の方のnote記事を拝見して改めて気になったことがある それは『普通ってなんじゃい?』ということ ねこよんこごころっこさんは洋服屋で働かれているが、 「普通のある?」 と、言われることがあるそうだ 「普通ってなんじゃい」 と、なるねこさん 迷子の子猫さん状態ではあるが、犬のお巡りさんが助けてくれるわけでもないので、 「こんなのはいかがですか!」 と、なるわけだが 心の中では泣き止んでいない にゃんにゃんにゃにゃ〜ん♪ である ねこよんこごっころっ

          【lifestyle】普通ってなんじゃい

          【architecture】表参道ヒルズ③|安藤忠雄

          表参道ヒルズには住人がいることをご存知だろうか 建物の上層階は集合住宅となっている 近くの歩道橋や道路の反対側から眺めるとよくわかる 元々の地権者のための住居と賃貸が38戸ある よく見ると表参道沿いにしっかり住人用のエントランスがあり郵便ポストもあるのだ こんな一等地に住めるとは、なんて贅沢なことかと思ってしまう しかし、それはかつてここが同潤会アパートであったことの名残りである かくして2006年表参道ヒルズは完成した 当初から建築家安藤忠雄氏が貫き通した提案は3つ

          【architecture】表参道ヒルズ③|安藤忠雄

          【architecture】表参道ヒルズ②|安藤忠雄

          建築家安藤忠雄氏が『同潤会青山アパートの建て替え計画』のプロジェクトに選任されたのが1994年である 100人近い地権者と毎月の話し合いがはじまった 安藤忠雄氏は大阪をホームグラウンドとしている 大阪と東京を行き来する日々が始まった これだけ多くの人の合意を得るのは大変なことである 法制度が緩和されたりしてきたが、集合住宅の建て替えは地権者の合意が得られずなかなか進まないのが現状である 高齢の方は建て替えを望まないケースも多い はじめの話し合いからプロジェクトの厳しさ

          【architecture】表参道ヒルズ②|安藤忠雄

          【architecture】表参道ヒルズ①|安藤忠雄

          1923年9月1日11時58分32秒 関東大震災がおこった 死者行方不明者10万5000人の大惨事であった 9月1日はこの大惨事を忘れないために今もって『防災の日』とされ、災害に備えることを再確認する日とされている 当時木造住宅が主流であった東京において関東大震災以降地震や火に強い鉄筋コンクリート造の建築が求められた そこで発足したのが『同潤会』である 安全安心な住宅の供給を目標に東京・横浜を中心に鉄筋コンクリート造の集合住宅をつくった 『同潤会』による集合住宅は単に

          【architecture】表参道ヒルズ①|安藤忠雄

          【architecture】窓学|トンネル

          「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」 川端康成の『雪国』の有名な書き出しである “トンネル”には異世界へ通じる不思議な高揚感がある 高速道路を運転していて長いトンネルを抜けると先ほどとは違った光景が広がっていた なんていう経験をしたことはあるのではないだろうか 極論ではあるが “トンネル”が窓だったら? と考えてみた 何かを考えるときは極端に発想してみるくらいがちょうどいい メンドクサイ建築家風の発想に良かったらお付き合い願いたい トンネルには長いものもあれ

          【architecture】窓学|トンネル

          【architecture】窓学|喋る窓

          イタリア|アマルフィの街を見下ろす窓にひとりのおじさんが外を眺めている 窓台には、たばこ、灰皿、眼鏡、ラジオが置かれている ここからこのおじさんは道ゆく人に声をかけ、たばこを吸い、ラジオを聞く 道から友人からの酒の誘いの声が聞こえると、たばこと財布を持って出かける そんな光景が浮かぶ写真である 日本ではあまり見かけなくなった光景である しかし、『あの窓にはいつもあの人がいる』みたいなコミュニティに憧れる インターホンを押すことなく道から声を掛けて呼び出す 幼

          【architecture】窓学|喋る窓

          【architecture】ベンガラの街

          私は岡山県高梁市という山奥の小さな街で生まれた 岡山駅から電車で1時間ほどの山と川に囲まれた自然と歴史の残る街である 以前私のnoteでこの高梁市という街について紹介したことがある ここから更にバスで1時間ほどの山奥の僻地に吹屋という街が存在する ここはかつて銅山の街として栄えた 江戸時代中期から鉱山開発がはじまり、明治時代には三井財閥の岩崎弥太郎によって近代経営が行われ日本三代銅山として発展し昭和40年ごろまで繁栄した ここで採れた硫化鉄鉱石を酸化・還元させて人造的に

          【architecture】ベンガラの街

          【architecture】窓学|フィッシャー邸|ルイス・カーン

          アメリカの建築家ルイス・カーン(1901-1974)の設計したフィラデルフィア郊外に建つフィッシャー邸は窓のお手本のような建築だ カーンは大学や図書館、美術館、バングラデシュ国会議事堂など大きな建築を手がけた事でも有名であるが、小さな住宅も数多く手がけておりその作品は秀逸である 世界恐慌と戦争という不遇の時代を長く生きたカーンは戦後の50代になってからそれまで蓄えていたエネルギーを吐き出すように作品を作り続けた建築家だ フィッシャー邸に話を戻す 閑静な住宅地にあり、周

          【architecture】窓学|フィッシャー邸|ルイス・カーン

          【architecture】色|ルイス・バラガン

          私は色が苦手である 安易に手を付けると、意図している表現から遠ざかってしまう気がしてしまう だから「この色が好き!」と直感で選べる人がうらやましい よくトイレの壁一面だけ色を変えたいとか、子ども部屋の壁の色を変えたいという要望を聞く アクセントになって良いなとは思うが自分では決められない しかもビニールクロスの人工的な色で良いのか… 自分でも分からない だから苦手なのだ 色を使った建築家として有名なのが昨日も紹介したメキシコの建築家ルイス・バラガンである メキシ

          【architecture】色|ルイス・バラガン