見出し画像

角川映画主題歌10年の軌跡【前編 : '76~'81】


 自分が10代の頃、「角川映画」はひとつのブランドでした。
 「角川映画」というだけで、なんか、わくわくする感じがあったんですよね。

 今年は「角川映画45周年」という事で、角川映画祭なるものが企画されてます。

 このサムネイル画面だけでも、あの頃のインパクトが蘇りますねw

 45年の角川映画史の中でも、最初の10年間に制作された作品は、自分が10代だった頃と重なっていて、かなり印象が強いのです。
 記念映画祭でも、その頃の作品が上映される感じなのです。

 映画作品については、また、あらためて記事にしていきたいと思っているのですが、今回は、内容よりも、その ”主題歌” について記事にしたいと思っています。
 というのも、角川映画35周年と40周年の時に、主題歌集の企画盤がリリースされてるのですが.... 何でしょう、最初の10年に思い入れの深い自分にとっては、ちょこっとだけ足りない感じなんですよね。(この曲も入れといて欲しかった...  みたいなw)
 なので、個人的な満足のため、第1作目の「犬神家の一族」から、10周年記念作品「キャバレー」までの主題歌(または主題曲)を、できるだけ公開順にまとめていきたいと思います。


画像1


 「角川映画」といっても、配給はいろんな映画会社がやっていたし、企画・提携等もいろんな形があって定義づけすることは難しいのです。
 一応、あの時代で言うと、角川春樹事務所による、角川書店の原作本とのメディアミックスで制作された映画という括りなんですが、今回のまとめの中では、角川春樹さんの単独プロデュース作品も含めています
 正式には「角川映画」ではないのかもしれませんが、そんな事情を知らない当時の自分にとっては、やっぱ「角川映画」だったので、その点はご了承ください。

 角川春樹単独プロデュース作品、また、35th・40th記念主題歌集に収録されているものにはその旨を付記しています。


+  +  +  +  +  +


 「角川映画」といえば大作!って感じなのは、この頃のイメージが強いんだと思うんですよね。
 そういう意味で、当時、自分が心を躍らせた作品があふれてるんですよね~。
   物語も重厚なものが多かったですが、主題歌を並べると、し、渋すぎるw感じです。

 でも、まあ、懐かしい名曲たちなのは間違いないのです。



「犬神家の一族」(1976年 10月)

 監督: 市川崑
 原作: 横溝正史
 主題曲『愛のバラード』大野雄二
 ※35th・40th主題歌集収録

 角川映画主題歌集でも1曲目に置かれている大野雄二さんの曲です。
 やっぱ、これですよね~。
 おどろおどろしい部分もありますが、さわやかなとこもあって、冒頭の部分とか、同じ大野雄二さんの「カリオストロの城」なんかを思い出しちゃいますね。



「人間の証明」(1977年 10月)

 監督:佐藤純彌
 原作:森村誠一
 主題歌『人間の証明のテーマ』ジョー山中
 ※35th・40th主題歌集収録

 「母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?」
 と、西條八十の詩から始まって、♪ ママ~、ドゥユリメンバ~のCMは、耳から離れなくなるぐらいよく流れてましたね。
 当時は、いろいろ酷評もされてましたが、こういう商業戦略が、衝撃を与えたってことなのでしょう。



「野性の証明」(1978年 10月)

 監督:佐藤純彌
 原作:森村誠一
 主題歌『戦士の休息』町田義人
 ※35th・40th主題歌集収録

 こちらは「お父さん、こわいよ。何か来るよ...」のセリフが印象的でした。
 薬師丸ひろ子さんのデビュー作のエンターテイメント作品なんですが、ラスト、この曲が流れるエンディングも忘れられません!
 まさに名曲なのです。
 ちなみに、高倉健さんの映画を観たのも、これが初でした。



「悪魔が来りて笛を吹く」(1979年1月)

 監督:斎藤光正
 原作:横溝正史
 ※角川春樹単独プロデュース作品
 主題曲『黄金のフルート』山本邦山/今井裕

 「犬神家の一族」以降、映画での金田一耕助は石坂浩二さん!ってイメージが強かったので、当時は西田敏行さんの金田一役は今ひとつに感じてたんですよね。
 でも、後年、観直すとけっこう良かったんですよね~、この映画。
 音楽は”フルート”の音色が怖くて怖くて、夜は笛を吹いちゃいけないと、あらためて肝に銘じたのでしたw
 



「白昼の死角」(1979年4月)

 監督:村川透
 原作:高木彬光
 ※角川春樹単独プロデュース作品
 主題歌『欲望の街』ダウン・タウン・ブギウギ・バンド

 角川春樹さんの単独プロデュース作品なんで、正式な「角川映画」じゃないかもしれませんが、主題歌集にはぜひ収録して欲しかった1曲なのです。
 今回はわがまま言って仲間入りをさせてもらいます。(←誰に言ってる?)



「蘇える金狼」(1979年8月)

 監督: 村川透
 原作: 大藪春彦
 主題歌『蘇える金狼のテーマ』前野曜子
 ※35th・40th主題歌集収録

 この映画の松田優作さんも強烈な印象でした。
 この映画ではエンディングロール後に、ほんとのラストシーンがあるのですが、テレビ放映では、その部分がカットされていたんですよね。
 なので、ビデオで観た時は、その違いにビックリでした。(この話は、いずれ、別記事で!)



「金田一耕助の冒険」(1979年 7月)

 監督:大林宣彦
 原作:横溝正史
 主題歌『センチメンタル・シティ・ロマンス』村岡雄治

 すみません、あんまり記憶がなくて...
 金田一耕助役は、ドラマシリーズで同じ役をやってた古谷一行さんなんですけどね。



「戦国自衛隊」(1979年 12月)

 監督:斎藤光正
 原作:半村良
 主題歌『戦国自衛隊のテーマ』松村とおる
 ※35th・40th主題歌集収録

 そのうち、この映画については記事にしたいんで、あまり語りませんが、むちゃくちゃ面白かったし、カッコ良かったのです。
 そして、エンディングは切ない...
 ちなみにエンディングでは ジョー山中さんの「ララバイ・オブ・ユー」が流れてました。

 エンディングテーマ『ララバイ・オブ・ユー』ジョー山中



「復活の日」(1980年6月)

 監督:深作欣二
 原作:小松左京
 主題歌『ユー・アー・ラブ』ジャニス・イアン
 ※35th・40th主題歌集収録

 これも、かなりの大作でした!
 パンデミックを描いた本作は、当時の感覚では、日本映画っぽくなかったんですよね。
 外国の俳優さんも多かったし、主題歌は海外のシンガーだし、スケールもそうだし、舞台となる大自然の風景がすごかった記憶があります。



「野獣死すべし」(1980年10月)

 監督:村川透
 原作:大藪春彦
 主題曲『野獣死すべしのテーマ』岡野等と荒川バンド
 ※40th主題歌集収録

 いや~、大好きな「角川映画」、そして松田優作さんの映画です。
 テーマ曲のトランペットが渋すぎるのです。
 たまりません!
 車内での松田優作さんと室田日出男さんとの駆け引きは、子どもの私にとって忘れられないシーンのひとつです。



「ニッポン警視庁の恥といわれた二人組 刑事珍道中」(1980年10月)

 監督:斎藤光正
 原作:鎌田敏夫
 主題歌『マーマレードの朝』中村雅俊

 この映画は、あまり憶えてないのですが、中村雅俊さんが主役の刑事のひとりだったんですよね。
 ちなみに、主題歌は桑田佳祐さんの提供曲で、以前、桑田さんの別記事を書いた時は音源を見つけられなかったのですが、今回、紹介することができました。(嬉)



「スローなブギにしてくれ」(1981年3月)

 監督:藤田敏八
 原作:片岡義男
 主題歌『スローなブギにしてくれ』南佳孝
 ※35th・40th主題歌集収録

 大作路線から離れゆく「角川映画」を感じた一作。
 実は、公開からかなり経ってから観たのですが、昔だったら、あんま良く分からなかったかもしれません。
 映画より主題歌の方が印象的だったりするのです。



「魔界転生」( 1981年6月)

 監督:深作欣二
 原作:山田風太郎
 ※角川春樹単独プロデュース作品
 挿入曲『転生五人衆』山本邦山

 これも正式には「角川映画」ではないかもしれませんが、大好きな作品なのです。
 音楽を担当している山本邦山さんという方は、人間国宝にもなった尺八演奏家のすごい方なんですが、そんな方が映画音楽を担当しているってことだけでもすごいのです。


+  +  +  +  +  +



 「復活の日」以降、それまでの大作路線から、特定のスター中心のプログラムピクチャー路線へと舵を切っていくことになる「角川映画」なのですが、次回からは、いよいよ ”角川三人娘” が活躍し始める時期を紹介します!