STHLMビジネス通信

ワンコと一緒にストックホルムに来てみたサービス研究者。ビジネス動向、驚きに満ちた日常な…

STHLMビジネス通信

ワンコと一緒にストックホルムに来てみたサービス研究者。ビジネス動向、驚きに満ちた日常などを発信します。

最近の記事

一時帰国と違和感

9月末に日本に一時帰国してきました。長く会えなかった人達に会えたし、久しぶりの和食は美味しかった。一方、あれやこれや気になること多数。時間が経つとこういうちょっとした違和感は消えてしまうので、今回は諸々、ちょっとした感想です。 マスク 9月も終わろうとしているのに日中は30度近かった東京。滞在中に私が会った皆さんも、口々に「この夏の暑さの中でマスクは馬鹿げている」、「もういいんじゃないかと思っている」等々おっしゃてました。日本でも屋外での着用は不要だそう。でも、帰国の日系

    • Swedenがイノベーションのハブになる理由③ー必死で働かない

      スウェーデンがイノベーションハブになる理由その3です。①は働きやすさから人材が集まること、②は常に外の世界を志向するカルチャー、でした。③は「働くこと」の位置付けとでも言えば良いのか、マネジメント側の姿勢も含めて、日本との違いが最も大きいのがこれかな、と思っています。 6ヶ月の起業休暇を取る権利(tjänstledighet) 驚いたことに、Swedenでは正規の従業員は3つの理由で無給で仕事から半年離れる権利があります。Tjänstledighetと呼ばれるこの制度が適

      • Swedenがイノベーションハブになる理由②諸々のハブである

        閑話休題。スウェーデンがイノベーションハブになる理由に戻ります。その2は、なぜ北の端の人口1,000万人程度の小さな国にイノベーションを起こす人材が集まるのか、という話です。 北欧のハブ 国際決済銀行(BIS: Bank for International Settlement)は2021年にStockholmにイノベーションハブを設置しました。イノベーションの専門家のネットワーキングを行い、中央銀行が協力して金融の技術革新を促進するためのもので、香港・シンガポール・スイ

        • Swedenの政治への信頼

          取り上げたいメインはビジネス関連なのですが、ちょっと横道。前回、Swedenの高い税負担への国民の納得感について、民主主義への信頼が根底にあるのではというコメントを頂きました。国、政治、民主主義に対する信頼について、Swedenの若者の政治参加意識と併せて所感を書きます。 選挙投票率87.2% 国政選挙(2018年)の投票率が87%と聞いた時には耳を疑ました。上の表がSweden、下のグラフは日本です。北欧以外にも投票率が高い国はあるのですが、多くは義務投票制(オーストラ

        一時帰国と違和感

          Swedenの税金と納得感

          前回は高失業保障と教育費無料が、成長分野への労働力の移動を促しているという話でしたが、その財源はどうなっているのかというのが今回の話題です。 税金は3割から6割(2022年Skatteverket情報) 個人にかかる所得税の、地方に収める税金の率は年収540,700SEK(約700万円)までが地方税が平均で約32%、年収がそれを超えると国に収める税金(20%〜25%)が加算されます。収入額によって控除があるので、年収20,200SEK(約26万円って、ちょっとしたアルバイ

          Swedenの税金と納得感

          スウェーデンがイノベーションハブになる理由①働き方の魅力

          なぜスウェーデンでイノベーションが起こるのか? 前回の続きです。なぜスウェーデンがMinecraft、Skype、Spotify、Klarnaなどのユニコーンを産んできたのか、なぜFinTechをはじめとするスタートアップや初期成長企業が集まるイノベーションハブになっているかです。まず人の面からみると、教育制度と雇用制度の組み合わせで、不採算企業や衰退産業からは自然に人がいなくなり、成長産業に移動していく仕組みが出来上がっています。 仕事を辞めることへの不安感の低さ 北

          スウェーデンがイノベーションハブになる理由①働き方の魅力

          ストックホルムのFinTech事情

          ストックホルムは世界のFinTech拠点 意外かも(でないかも)しれませんが、ストックホルムは世界的なFinTech拠点の一つです。北欧スウェーデンの首都ストックホルムのイメージといえば、北欧デザイン、北欧家具、ノーベル賞などが真っ先に出てきて、ストックホルム症候群なども思い浮かぶかもしれません。でも、金融はなかなか想起されないのではないかと思います。 なぜストックホルム? 2017年から2019年にかけてのストックホルムFinTechへの投資額は、EU圏内でロンドン・

          ストックホルムのFinTech事情