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現場感覚では、理系教科の能力に男女差は事実上ない。【女子は理系科目が苦手は、本当か?】

経済協力開発機構(OECD)が興味深い調査をしたようです。ヤフー(毎日新聞)の記事が出ています。

2022年に81の国・地域の15歳を対象に実施した「国際学習到達度調査」(PISA)の結果を公表した。調査した「読解力」「数学的リテラシー(応用力)」「科学的リテラシー」の3分野の成績を男女別に見ると、日本は数学と科学の平均点は男子が上回り、読解力は女子が高かった。

上記記事より

何度か書いていますが、高校カテゴリーにおいて、理系科目の男女における能力の差はないと思っています。収斂するのは、受験生の「個」の問題だと思っています。

今回の結果を受けても、私が現場で感じている結論に影響を与えないなと感じています。

それは、このデータの読み解きの視点の差なのではと思います。

私は男子と女子の差は、「科学」「数学」ではなく、「読解力」の違いが大きいと思うからです。

というのも、女子の場合、英語も含めた語学リテラシーは非常に高いと思っています。

まず、本を読む層が圧倒的に女子が多い。また、女子生徒からおススメされた本に外れがないことも興味深いです。文系を選択する女子で、成績上位者は、読書家であることが大半とさえ言いきってもいいほどです。

そのため、女子に科学や数学よりも文系的な科目に興味が沸く層が形成されるため、男女差が出るのだろうとみています。

日本では、リベラルアーツという概念が乏しく、大学教育での教養部解体や低学年時からの専門教育開始など、広義の教養が重視されない。

昨今の文系学部への「攻撃」ともいえる価値を認めない言説も経済的な視点のみの考えであることが多く、教養が軽視されがちな社会風土に関連があるのではと思っています。

そのため、私は文系と認識した女子が理系科目への興味を失うということになりがちではと思います。これは日本の教育慣行による弊害といえるのかもしれません。

このOECDの調査を踏まえ、ジェンダー論に絡めた成育歴に根拠を求めるのもどうなのかと感じます。現場の肌感覚として、女子は理系科目ができなくてもよいという風潮はほとんどないのではと思います。保護者にもそのような考え方はほとんどないと思います。

そもそも、〇〇はできなくてよいというものは、個の問題として考えておられる保護者はいても、(女性性として、男性性として)娘(息子)は、〇〇はできなくてもよいと話す保護者にはあったことはありません。

また、ジェンダー論でいうと、時々、冗談めかして話をするのですが、共通テスト数学のリード文で、頓珍漢な意見を出すのは男子で、鋭い数学的な考察をするのが女子というのが定番になっていることを指摘すると、男女問わず受けがいいです。

問題とは思いませんが、ジェンダー的な役割はそんな感じではと思います。このあたりも、数学は女子はできなくていいというイメージの形成になりにくいと思います。

データによる定量分析は、読み解き次第では、誤った結論が導かれたり、議論が逆に深まらないことも多いと思います。
そのあたりは、気をつけておかないといけない視点ではと思います。

今回のOECDの結果もミソジニーに接続する要素もあり、取り扱いには慎重であるべきかもしれませんね。


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