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デジタル化は、たぶん人をダメにする(2)【スマホがないと本当に困るというある若者の切実な悩み】

デジタル化によって、人はダメになっていくのではないか。
私はそのような危機感を持つようになっています。

その危機感は何よりも自分自身の劣化を実感するからでもあり、切実です。少なくとも、デジタル化によって自身が進化しているとは思えません。

そんな観点から、記事を書いています。前回はこちら。

今回の話は、若い男性と話をしていた時に、その方が話されたことです。なかなか切実だと感じましたので、書いてみたい点です。

スマホを忘れると何が困るのかという話から出た話題なのですが、

それは、スマホがないと、目的地に行くのに苦労する

というものです。

今の若い人は、知らない場所へ行くとき、目的地までスマホを使ってナビゲートしてもらうことが「当たり前」なのだとか。

私は、小学校の時、旅行計画部のような部活動に入っていたこともあり、分厚いJTBの時刻表が大好きで、さらに地図も大好きだったので、東京の複雑怪奇な地下鉄の路線図を楽しく眺めている子供でした。なのでカーナビが世に出回ったころ、何がありがたいのかがよく理解できませんでした。

友人が松山市に住んでいたころ、遊びに行ったとき、フェリーターミナルからリムジンバスを乗り継ぎ、伊予電鉄の市内電車にのって、友人の自宅まで住所を頼りに行ったらさすがに驚かれました(笑)。

また、自分で運転するようになると、確かにカーナビは便利だと思うものの、遠出するときは、好きが高じて、運転計画を立てて運転することが多いので、ナビとよくケンカします(^^)

そのような背景もあり、スマホのナビがないと目的地に行くのに苦労するという若い人の話は「衝撃的」でもありました。

福岡市の場合、鉄道は割と単純なので、難しくありませんが、バスは路線網がきめ細かく張り巡らされているので、複雑怪奇です。
「天神」(福岡市の繁華街)、「博多駅」行きと表示されているのに、かなりの遠回りをする路線もあるほどです。

そのようなローカルな事情もあり、慣れないところに外出するときは、スマホがないと困るということなのだそうです。聞くと、地図を読む機会はほとんどないのだとか。

普段から地図をみて、街の全体像を意識して、ある程度把握しておくという作業はスマホが登場して減っているのかもしれません。道路地図を車に常備していない人も多い時代なのかもしれません。

私はこれはやはり、人としての退化ではないかなと感じています。というのも、地図を頭に入れて行動するというのは、私たちの祖先が狩猟時代に生き残るのに絶対に欠かせない能力だったと思うからです。

時代が変わったのだから、不要な能力だとする考えもあるでしょうが、私はそうは思いません。というのも、地図的な思考というのは、俯瞰する力、つまりメタ視点があるかどうかにもかかわる問題だと思うからです。

デジタル機器によって、この俯瞰的な能力を棄損するというのは、現代であってもダメージが大きいのではと思っています。

そのようなこともあり、スマホを失うと、目的地に行くのに苦労するというのは、案外問題が大きいのではと考えています。


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