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立場をわきまえたまえ!【慣性力の問題:湘南工科大】

今回は、湘南工科大の物理の問題を解説します。質問の多かった問題です。
問題はこちら。

設定が一筋縄ではいかず、工夫がされていると思います。考察をしっかりとしたい問題ですね。

(1)まずブレーキがかかった状態から議論を始めています。よって図の矢印はブレーキによる加速度の方向(減速する加速度)と理解できそうです。ということは、電車の進行方向は、右から左です。
よって慣性力はブレーキの加速度と同じ方向になりますね。
しっかりと力を分解しましょう。もちろん、分割する方向は、斜面方向とそれに垂直な方向です。

加速度の上限を聞いていますが、カギとなるのは、「小物体が斜面から離れない条件」なので、垂直抗力に注目することでしょう。

と展開していきます。

(2)は、図がかければ、運動方程式を立てるだけです。

(3)は、いい問題ですね。
まずv1については、(2)で加速度αを出しているので、距離ℓを滑り降りる時間を考えて、

とすればよいでしょう。

問題はv2でしょうか。ここに質問が集中しました。

まず、v2は、電車外にいる人が理解する小物体の速度。
v1は電車内の人が理解する小物体の速度。

ということは、ここに「相対速度」の概念が存在していることに気づきたいですね。ここが最大のポイントだったのではと思います。

であるならば、電車内の人自身が動いている速度、つまり電車の速度が必要になります。

よって相対速度の関係性から、

とできます。

慣性力の問題と相対速度の概念を組み合わせた良い問題ですね。

このような問題を解くことで、相対速度への意識が高まるのは応用力をつける意味でもよいことだと思います。

実社会は、おじさんたちが言うほどには、立場をわきまえる必要はないとおもいますが、物理の問題では、しっかりと立場をわきまえましょう(^^)

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