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新規事業に向く資質②自分の判断基準を持ち、自分の頭で考えることができる

「新規事業に向く資質」の特徴2つ目は、自分なりの判断基準を持ち、自分の頭でものごとを考えられることです。
新規事業は、既存の事業やプロダクトとは異なる、新しい事業を創る営みです。社内で無意識のうちに共有される常識や業界枠組みに囚われず、ゼロから新しい事業を企画開発することが求められます。そのためには、他人に依存する判断基準ではなく、自分の内側に判断基準を持つ必要があります。他人に判断を委ねるのではなく、自分の頭で考えて判断する必要があります。

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この特徴を持つ人材は、次の3つの行動特性や経験を持つ傾向にあります。1つ目は、社長や上司に忖度しないこと。2つ目は、社内評価をあまり気にしないこと。3つ目は、傍流事業や傍流子会社の経験があること。

【1社長や上司に忖度しない】

新規事業は、自社の主力製品・サービスや、世の中の当たり前と違う、新しい事業やプロダクトを企画して立ち上げ、その事業を推進すること。そのため社内や業界の常識は、新規事業検討の役に立たないどころか、足を引っ張る主たる要因になりがちです。
社長や上司は、保守本流事業については、あなたより圧倒的に多様で豊富な経験・知識、信頼・人脈を持つでしょう。保守本流事業では、社内の経験豊富な重鎮や上司の助言に耳を傾けることは極めて重要です。
その一方で、社長や社内の重鎮ほど、社内や業界の常識にガチガチに縛られざるを得ず、正直なところ、新規事業の検討の役に立ちません。新規事業は、社長や上司が正しいと言っているからうまく行く、というものではありません。

このような構造を頭で理解しても、社長や上司の意見にNOを言えるサラリーマンは少数です。賢く優秀な人ほど、きちんと社長や上司の顔色を伺い、適切に上司の意を汲みしっかり忖度します。そして新規事業は失敗します。

もちろん、社長や上司の意見にNOを言うのが目的ではなく、自分で考え抜き、俯瞰的・トータルに捉えて自分なりの明確な考えを持つことが先です。自分の考えや意見と、社長や上司の意見をフラットに比較検討し、自分の考えや意見がより適切だと判断する場合に、社長や上司にあまり忖度せず、社長や上司にも適切にNOと言える勇気があることは、新規事業を担当する大切な資質の1つです。

【2社内評価をあまり気にしない】

日本の大企業の従業員評価は、大なり小なり減点主義的な評価制度を採用することが多いと言われます。社内で評価されたいと思うと、上司の言うことをよく聞き、「打たれないように出ない」ことが大切であり、失敗を避けることが重要です。
これは社内評価において大切な一方で、新規事業にとっては最も不適切な態度です。新規事業は新しい取り組みであり、試行錯誤が求められ、必然的に失敗も増えます。社長や上司に忖度せず、新事業の成功に焦点を合わせる態度も重要です。

自分の判断基準を持つとは、何を良しとするか、何を大切にするか、どうありたいか、自分の評価軸や項目を自分で決めることでもあります。
新規事業に向くのは、社内評価よりも、自分自身の判断や評価を大切にする人です。他人が決めた評価項目(会社の評価基準)に自分を合わせるのではなく、自分の価値観や哲学に基づき行動し、自分で自分を評価します。

このような人は、社内の評価をそこまで気にしません。失敗を過度に気にせず、社長や上司の顔色を伺うこともそこまでありません。
サラリーマンでそんな人がいるのか?と思うかもしれませんが、少ないながら存在します。社内評価をあまり気にしないことは、新規事業向きの資質の1つです。

【3傍流事業や傍流子会社の経験がある】

これまでの2つの特徴とは別に、社内での経験により、自分の判断基準を持ち、自分の頭で考えられる人材に成長する人もいます。
よく、新しいことをやらせるなら「よそ者、若者、ばか者」と言われますが、この社内「よそ者」経験が、新規事業向きの資質の育成につながります。

自社内「よそ者」経験ともいえる傍流事業・傍流子会社への中期的な配属は、新規事業に向く資質を培うにはうってつけの経験です。傍流子会社にいることによって、保守本流事業の常識や成功体験から距離を置き、本流事業の良い部分も悪い部分も客観視でき、保守本流社員とは異なるものの捉え方ができるようになります。
ものごとの捉え方に加えて、傍流事業や傍流子会社だとひと勝負しやすいのもメリットです。傍流ですから、社内で注目度も期待度も低く、失敗しても特に目立ちません。傍流子会社で組織サイズがコンパクトなため、事業をトータルに捉える経験を積める可能性があるのも傍流のメリットです。


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