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【SMDレポート/後藤裕子さん】地域での活動、かかわり方。このまま進んで大丈夫って、背中を押してもらえた。

2019年〜2022年まで4期にわたって開催した「Social Mirai Design(SMD)」。これまでの取り組みをふり返り、SMDの活動や受講生の声をレポートにまとめました。この記事では、2020年(2期)に受講生として参加し、2021年(3期)には事務局として活動された後藤裕子さんの体験レポートをお届けします。

SMDとは
公益財団法人都市活力研究所」と「NPO法人co.to.hana」が主催する人材育成プログラム。各分野の第一線で活躍するゲスト講師によるセミナーやワークショップ、受講者同士の交流などを行い、ソーシャルデザインのマインド・実践知の修得や、同じ想いをもつ日本全国の仲間との「コミュニティ」の醸成などに取り組みました。

現在のご活動と、SMDに参加した理由は?

私は2022年2月に立ち上げた「合同会社はじまりの和泉」の代表を務めています。活動拠点は、東京の杉並区にある沖縄タウン。45店舗ほどで構成されている商店街なのですが、わたしたちはここでマルシェイベントを企画・開催したり、商店街の事務的なサポートをしたりと、「東京の小さな文化を百年後にも残す」をテーマに活動しています。

沖縄タウンでのマルシェの様子

会社を設立する前は、杉並区役所の職員だったんです。もともと、公務員として地域に携わりたいという気持ちがあり、3年ほど勤めていたのですが、次第に「デザイン」に興味をもち、区役所を退職してグラフィックデザインを学びました。それからフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動しながら地域により深く携わるようになり、現在に至ります。

商店街にかかわるようになってから、さまざまな課題に気づきました。例えば、商店街の運営会議に参加する人の属性が偏っていたり、体制そのものがうまく機能していなかったり。時代や社会は変わっても、商店街は取り残されているというか…。「商店街をフィールドに、何か新しい取り組みができたらおもしろそうだな」と思い、コロナ前は商店街の店主さんたちと一緒に、小規模なイベントを開いたりしていました。その反響がけっこうあって、「よっしゃ!これから盛り上げていくぞ!」と思っていたら、コロナ禍になってしまって。

そのタイミングで、SMDのプログラムを見つけました。

「商店街のより良いかたちって何だろう?」そんなことを考えていた時期だったんです。商店街や地域とかかわる中で、おもしろさや魅力にたくさんふれてきたけど、恐らくこのままの体制や状況では、商店街を残すのは難しい。

であれば、商店街を次代に残していく方法を自ら学び、かたちにしていきたい。SMDは、そのヒントがたくさんありそうだと感じました。地域づくり・場づくりの第一線で活躍するゲスト陣のお話が、お手頃なお値段で聞けることも、参加の決め手の一つでした。SMDを見つけた瞬間、即決でしたね(笑)。

SMDを受講して得た気づきや学びは?

ゲストによるセミナーでは、特に矢口真紀さんのお話が印象に残っています。中でも矢口さんが主宰されている月3万円ビジネス(通称3ビズ)」には、すごく心を動かされました。

※3ビズについてはこちら「わたしたちの月3万円ビジネス

「自分が沖縄タウンでやりたいことは、まさにこれだ!」って思ったんです。自分がやりたいことを、月3万円稼げるくらいの規模で始めてみて、人と人とのつながりの中で、自分たちが豊かだと思える暮らしをつくっていく。小さくてもいいから、自分がやりたいことをかたちにして、その結果、地域がより良くなっていけばいいなって。矢口さんが実践されている事例は、ちゃんと継続されているところもすごいなと思って、セミナーに参加した数ヶ月後に矢口さんに会いに行ったんです。

写真右が矢口さん

「矢口さんが実践されていることをやってみたいんですけど、どうしたらいいですかね?」って、アドバイスをもらいに埼玉県へ足を運びました。直接会って話してみて、「自分が今やっていることは間違ってないんだ」って思えました。地域に入っていると、いろんな課題が見えてきたり、解決策を自分なりに考えたりするんですけど、もっと画期的な方法があるのかもしれないし、自分がやっていることが正しいかどうかは分からない。そんな状況の中で、「方向は間違ってないよ、大丈夫だよ」って背中を押してもらえたのは、すごく心強かったです。

SMDでは受講者同士のディスカッションの場も設けられていたのですが、私とは異なる視点を持つ人たちとの意見交換がおもしろかったです。例えば「3ビズ」についても、どうやって生活を成り立たせるのかとか、どうやってビジネスを継続させていくのかとか。多様なバックグラウンドを持つ人たちのいろんな視点にふれることができて、「たしかに、そういう考え方もあるな」って、自分にはなかった気づきを得る場面が多々ありました。

SMDの事務局になってみて得たものは?

SMD3期の開催にあたって、事務局メンバーを募集していると聞いた時、最初は、少し迷いました。でも、こんな機会はないし、事務局に入ってみることでプロジェクトマネジメントのノウハウや、場のつくり方を学びたいと考えたんです。

SMDのプログラムづくりから携わらせていただいて、事務局ミーティングのアジェンダや議事録を作成するといった事務的な仕事をさせてもらったり、SMD2期の受講経験をふまえてどんなプログラムにすればいいのかディスカッションしたり。受講生として参加していた時は、受講生のいろんな視点や意見にふれられたことが印象に残っていたので、「もっと受講生同士の交流を増やしたプログラムにしたらいいのでは」といった発言もしていました。

事務局をやってよかったなと思うのは、同じ事務局メンバーの方たちからの学びがたくさんあったこと。事務局ミーティングがより捗るような働きかけや、ワークショップの組み立て方、アイデアの引き出しの多さ。「自分もこんなふうになれたらいいな」と思えるような人と活動を共にできて、今後の活動の参考になりました。

SMDが、現在の活動にどう活きている?

受講生として、事務局としてSMDに参加してみて、自分がひと回り大きく成長できたように感じています。具体的にどう成長したか、というのは言葉にしづらいのですが、ゲストの事例を聞いたり、ワークショップを通して自己と向き合ったりする時間の中で、今自分が取り組んでいる活動に納得感を持って向き合うことができたり、地域に関わっている自分がより好きになれたり。

商店街のより良いかたちをつくる」というのが、SMDに参加するにあたってのテーマだったのですが、少しずつ実行に移せているのかなと思います。

商店街の店主さんたちとの一枚

例えば、矢口さんのお話やアドバイスを受けて沖縄タウンでマルシェを開催してみたり、会社も立ち上げて商店街の運営をサポートする中で、より風通しの良い運営体制になってきたり。そういえば、SMDの受講生仲間が、沖縄タウンに遊びに来てくれたこともあるんですよ。

SMDの受講生数名が、沖縄タウンに集合!

私にとってソーシャルデザインとは、「1人1人がやりたいことを、やりたい場所で実現させていける環境をつくること」。そのためにも、まずは1人1人がやりたいことって何なのかをじっくり考えることや、やりたいことを実現しようとする人の考え方やあり方を受け入れたり、受けとめたりするマインドも大事だと思います。

これは、SMDに参加する前から心に留めていた想いではありますが、SMDを通してその想いがより強く、太く、刻み込まれました。

各年度のSMDプログラムはこちら(報告書)からご覧いただけます。
第1期
第2期
第3期・第4期

あわせて、こちらのレポートもどうぞ。

【SMDレポート/近藤裕未さん】自分の活動軸が見つかり、私たちらしいコミュニティづくりに向けて踏み出せた。

【SMDレポート/土持莉奈さん】得意なことも、苦手なことも。伸びしろを知り、成長につなげることができた。

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