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4週間の病院実習を終えて

『実習で気づいた事は、しっかり書いて残しておいてください。
働き出してから見返した時、はじめてその貴重さに気づくと思いますよ!』

そんな大学の先生の言葉を受けて、
今回は人生初の病院実習を終えた私が、
今、感じていることや考えていることについて書いてみようと思います。
(知識ベースの内容は記載しておりませんので、ご了承ください。)

私自身の記録という意味合いはもちろん、
これから実習に行かれる方にとって、何かの参考になれば幸いです。

実習先が決まるまで

まずこれがとても大変でした。
私が大変というよりも、大学の先生方や受け入れてくださる病院の先生方がたくさん調整してくださったんだろうなと、身に染みて感じています。
本当に感謝です、ありがとうございました。

私の学科では、9/5~10/28の8週間が実習の基本日程で、
もともと私はA病院に行かせていただくことになっていました。
ただ、新型コロナウイルスの感染状況がなかなか落ち着かず、
7月末にA病院での受け入れが中止になり、
私は実習の行き先がなくなってしまいました。

この日から、次の実習先がB病院に決まった9/14まで、
大学から実習に関する連絡は一切ありませんでした。
その間、実習前ということで夏休みにもかかわらず外出自粛
かつ、「私、実習どうなるんだろう?」という不安から
勉強のモチベーションも見失うという、
負のループに陥っていました。
これは仕方ない部分があるとはいえ、反省すべきところです。

最終的に、B病院で10/3~10/28の4週間受け入れていただけることになり、
期間こそ短くなってしまったものの、実習を経験させていただきました。

注:)以下、私が実際に経験した内容を記載していますが、
全ての実習先が同様であるとは限りません。
あくまでも参考程度にご覧いただけますと幸いです。

いざ、実習先へ

「バイザーの先生はどんな方だろう?」
「病院の雰囲気はどんな感じかな?」
「持ち物や身だしなみはこれで良いのだろうか?」
「患者様と上手くコミュニケーションを取れるだろうか?」
言葉にならない不安と緊張でいっぱいだった初日。

それでも、職員の皆様が挨拶してくださったり、
言語聴覚士の先生方が必要な事項を丁寧に説明してくださったりと、
「何とかやっていけるかもしれない。
まずは4週間、最後まで頑張ろう!」と思えた朝でした。

また、同時期に他校の理学療法学生さんも実習に来られていて、
学科こそ違いましたが、同級生だったということもあり、
実習中、唯一気兼ねなく話せる、お互いに励まし合える存在でした。


実習1週目

実習前に、学校の先生方から
「万全の体調で実習に臨めるように」と何度もお話がありました。
私も体調管理を徹底して、初日に臨んだつもりでした。

が、そんな体調万全だったはずの私は、
初日から調子を崩してしまいます。
(詳細については、ここでは省略させていただきます。)

なぜそんなことになってしまったのか。
考えられた原因は以下の3つです。

①実習初日という極度の緊張・不安
 おそらく、自分が思っている以上に緊張していたんだと思います。
②始業から約6時間、水分補給をせず立ちっぱなし
 今思えば、バイザーの先生が水分補給をされていた時、
 「自分も水分補給をしよう」という考えすらありませんでした。
③初めて目にするリアルな現場に気持ちが追い付かなかった
 B病院が急性期の救急病院であったことや、
 その時初めて、喀痰吸引の現場を目にしたということもあり、
 私がイメージしていたリハビリテーションと目にした現場は、
 全く違っていました。

この経験を踏まえて、
これから実習に行かれる方にぜひお伝えしたいことがあります。

それは、
「私なんかが話しかけても良いんだろうか…」と遠慮せず、
バイザーの先生と初日からたくさんコミュニケーションを取ってください。

ということ。

私は、バイザーの先生から「座っていいよ」と言われるまで、
緊張のあまり椅子にも座れず、その場に立っていました。
もはや、適宜水を飲むということすら、思い至りませんでした。
その結果、体調を崩し、先生方にご心配をおかけしてしまいました。

これらは、自己管理が至らなかったという以外の何物でもないのですが、
やはり初めてのことばかりで、右も左も分からない実習生は孤独です。
そんな中、唯一初日から頼れるのがバイザーの先生だと思います。
何もわからなくて当たり前の初日だからこそ、
遠慮せず、バイザーの先生に色々と聞いてみてください。

その後、2日目以降は、初日の経験を踏まえて、
急性期とは、救急病院とは、どういうところなのか、
どのような患者様と関わらせていただくことになるのか、
改めてしっかりと心の準備をした上で望むことができました。
初日の反省を活かし、体調管理にも普段以上に気を配りました。

その結果、4週間通して、
目の前の患者様にしっかりと向き合う姿勢や、
言語聴覚士としての在り方についても、
幅広い視野を持つことができたと思います。


実習2週目

1週目はバイザーの先生の介入の見学が主でしたが、
2週目は、本格的に評価や検査を実施させていただく機会が増えました。

そこで私が最も苦手だと感じたことは、
意思表示の少ない(または難しい)患者様とのコミュニケーションです。

もともと、私はコロナ禍の影響もあり、学内実習の段階から、
実際に患者様と直接コミュニケーションを取るという経験がないまま、
今回の学外実習を迎えました。

そのため、患者様とより良いコミュニケーションを取るということが
今回の実習での目標でもあり、私自身の課題でもありました。

「私から提供する話題はどんなものが良いだろうか?」
「この項目で、患者様が誤られた場合にはどのような声かけをしようか?」

など、事前に様々な場面を想定して評価や検査に臨みました。

その結果、患者様の多様な意思表示に対して、
概ね円滑に対応することができたのではないかと思います。
その一方で、なかなか意思表示がみられない患者様の対応に
戸惑ってしまう場面が、何度かありました。

こちらの問いかけに対して、言葉やジェスチャーでの反応が無い場合、
・こちらの問いかけの内容を理解するのに時間がかかっておられる
・問いかけの内容は理解されたものの、回答を考えておられる最中
・回答は思い浮かんでおられるものの、言葉にするのが難しい
・そもそもコミュニケーションに対する意欲が湧かない

など、様々な可能性が考えられます。
そのような患者様のご様子の背景には、どのような課題があるのか、
一見して拝察するのは想像以上に難しく、
その場でどのような声かけが適切なのかを判断するのに
時間がかかってしまうことが多かったです。


実習3週目

実習も後半に入り、3週目からは、デイリーレポートの質の向上や、
評価や検査結果についての考察が、これまで以上に必要だった印象です。

ここで私が最も苦手だったのが、
客観的事実と考察の区別です。
これは多くの医療学生さんが苦戦するところではないでしょうか……

私は実習前から、
・もっと端的に検査結果や考察を書きなさい
・教科書の(専門)用語で表現しなさい

と、大学の先生に度々ご指摘をいただいており、
今回の実習では、主にこれらを意識してレポートに取り組みました。

ただ、上記の2点以外に、
バイザーの先生から「客観的事実と考察が混ざっちゃってるね」との
ご指摘を受け、私も「確かに……」と思いました。

ただ、そこからどうすれば良いか分からず、
そのようになっている原因は、
・客観的事実にすら自信が持てていない
・疾患や障害の理解が曖昧な部分がある

という2点ではないかと考えた私は、
それをバイザーの先生に素直に伝えました。

すると、バイザーの先生が、
評価や検査の結果(客観的事実にあたる部分)については、
事前に「大丈夫、これで合ってるよ!」と自信をつけてくださったり、
「これはどうしてこうなってると思う?」
「そうだよね、それって何でかな? 何が原因なんだろうね?」
というように
一緒に考察をしてくださったりと、大変丁寧にご指導いただきました。

はじめは、客観的事実を「〇〇と思われる」などと記載し、
「うん、これは思われるんじゃなくて、実際にそうだったんだよ。(笑)」とバイザーの先生からご指導いただくような段階でしたが、
最終日まで、それらの区別をより意識しながら、レポートを作成しました。

ただ、この書き方についてはまだまだ不十分なので、
今後の課題としてしっかり取り組みたいと思います。


実習4週目

4週目には、実習中で1番嬉しかったことがありました。
もちろん、3週目までにもたくさんありましたが、
多くの場合、患者様やバイザーの先生に助けていただきながら、
私に良い気持ちを味わわせていただいたことが多かったように思います。

実習期間中で1番嬉しかったことは、
とある検査の実施後、バイザーの先生からのフィードバックの時に、
「今の患者さん、きっと持ってる以上の力が発揮できてたと思うよ。
 あなたの教示や声かけが良かったからじゃないかな。」

と言っていただけたことです。

私も検査を実施しながら、事前に予測していた以上の正答数や、
患者様が楽しそうにお話ししてくださっているご様子に、
検査結果とは関係なく、とても嬉しく思っていました。
バイザーの先生からのお言葉を受けて、
自分の理想の言語聴覚士像に一歩近づけたように感じた瞬間でした。✨

例えば、ある課題について、1つの問ごとに制限時間が設定されており、
一定時間を過ぎてしまうと、その後どのような反応があっても、
その問の得点は、採点基準上0点となるとします。

いつかは、「制限時間を過ぎたので、次の問に移りましょうか。」
声をかけなくてはなりませんが、
制限時間を過ぎても反応がみられないからといって、
すぐにそのように声をかけてしまうと、
患者様としては、
「あと少し待ってくれていたら、答えられたかもしれないのに。」
「最初の一文字だけでも、ヒントをくれたら良かったのに。」

と思われてしまう可能性も十分にあると思います。

そんな時、私はできる限り、患者様に納得していただける形で
次の問に移行するのが理想的
だと考えています。

例えば、
「いかがでしょう? もう少し考えられてみますか?」
「最初の一文字だけ、ヒントお出ししましょうか?」
「あ、そうです、そうです! ~の後は、どうでしたっけ?」
「答えは、◇◇でした!」
といったように、患者様のご様子に合わせて、
その時々で慎重に言葉を選びながら声をかける。

このやり方が適切かどうかは、
私もまだまだ勉強中なので分かりません。

ですが、この検査を実施した時、
私は咄嗟にこれを実践して、
「うーん、何だったっけ…」
「何か(絵カードを)見せてもらったのは覚えてるんだけどね…?」
「そうだ、確か◇◇みたいな…!」
「(答え合わせ後に)あー、そうだったね!今思い出した~!」
と言われる患者様のご様子を拝見しました。

この時、「患者様にとって、ご自身の反応が検査上何点かということは、
あずかり知らぬことなのだ」
と痛感したんです。
今この時間が制限時間内かどうかということは、
患者様にとってみれば関わりないことなのだと、改めて気づかされました。

患者様にとっては、
この検査の時間に「◇◇」という語を思い出せたということが、
その日1日の中で最も嬉しい出来事になるかもしれない。

検査の時間も、患者様にとっては
かけがえのない1日のうちの数分であり、
それを私と共有してくださっているということを
忘れたくないなぁと感じた出来事でもありました。

このように、検査結果や得点としては見えないところであっても、
患者様とのコミュニケーションを最優先に検査を実施することで、
結果として、バイザーの先生がおっしゃったように、
患者様にとってプラスに働くこともあるのではないかと思います。
だからこそ、私はそのようなコミュニケーションを、
いつまでも大切にできる人で在りたいなとも思います。


総じて

ここまで書いてきた内容は、
4週間の実習のほんの一部です。
病院実習期間中は、毎日数えきれないほどの
発見学びがありました。
見るもの全てが新鮮で、患者様や先生方の一挙一動に集中した日々は、
本当にあっという間でした。

もちろん、毎日ポジティブに過ごせるに越したことはないけれど、
私も眠気と闘った日や、精神的に参ってしまった日、
答えの無い問に頭を悩ませた日が、何度もありました。

そんな時は、
睡眠時間を確保する。
当たり前のことを当たり前にする。
お休みの日であればしっかり休む。

実習期間に限ったことではないかもしれませんが、
苦しい日も未来の自分のエネルギーに変えられるように、
自分で工夫しながら乗り切ろうとすることを、
私は普段から意識しています。

ぜひ何の参考になれば嬉しいです♪


おわりに

4週間の実習を終えて、
私たちのような医療学生が病院実習をさせていただくにあたり、
患者様や病院の先生方、大学の先生だけでなく、
私が気づけていないような方々を含め、
たくさんの方のご協力やご尽力があるのだと実感しました。

コロナ禍という変則的な環境にもかかわらず、
今回実習を受け入れていただけたことに、
何より感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。

今回の4週間の実習で見たもの、聞いたこと、
思ったこと、感じたこと。
全てを余すことなく、
まずは自身の学びに還元できるよう精進します。

引き続き、皆様ご指導ご鞭撻のほど
どうぞよろしくお願いいたします。


最後までご覧いただき、
ありがとうございました!

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