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アラフィフからのアイドリッシュセブン24 「Monologue Note」

Collection Album vol.2 発売

アイドリッシュセブンCollection Album vol.2が発売になりました。おめでとうございます。
名曲しかないIDOLiSH7、TRIGGER、Re:vale、ŹOOĻの4組の楽曲をストーリー3部4部内でのリリース順、(ゲーム内での開放順)作られた順に並べた、まさにcollectedというアルバム。


しかし、
この特に捻りのないはずの順番そのものが多分に破壊力を持つことを、このアルバムを聴いて思い知る。
既に全曲聴いているのだ。新録のフル楽曲の未発表の箇所を除いて。なんならゲームの中で何度プレイしたか分からない。
MVだって、何度鑑賞したか分からない。
ああそれなのに。

個人的には、

2枚目のトップを務めるRe:valeの明るくて力のある応援ソング、永遠性理論(大学サッカー大会中継のテーマソング。ちなみにメンバー百は学生サッカー出身)、IDOLiSH7/MEZZO"逢坂壮五によるソロ曲(MEZZO"「Forever Note」の原曲)、物入りでデビューしたŹOOĻの2ndシングルZONE OF OVERLAPの並びで激しい胸の鼓動を覚えた。なお、心臓に疾患があるわけではない。

ポップス、ロック、EDMという、全く異なる曲の種類だからか。
いや違う。
私たちは、別の何かを感じているはずだ。

それは、アイドリッシュセブンの「心揺さぶられるストーリー」そのもの。
ジェットコースター並に揺さぶられっぱなしになっているマネージャー各氏、また、初めてストーリー関係なく聴いたという人間含めて、楽曲の幅広さと、彼らの歌声がどう彼らと世の中を変えていったかを、嫌でも感じられるのだ。
TRIGGERとIDOLiSH7がブラックオアホワイトミュージックファンタジアで対決してから1年。
私たちの心に刻まれたのは彼らの生き様だ。苦悩も喜びもダイレクトに伝わってくる。反応しないはずがない。

Monologue Note


筆者は、フルでは公開されていなかった逢坂壮五の「Monologue Note」が収録されると知り、発売を待ちきれないでいた。

MEZZO"の逢坂が書き下ろした処女作。
アイドルとなった彼が初めて本格的に接した音楽を堂々と自分の形にしたものだ。相方の四葉環やRe:valeの千、そして彼らの仲間に背中を押されて、夢に浮かされたように生み出した楽曲である。

とは言っても、MEZZO"のシングル曲は「Forever Note」であり、あくまでも「デモ曲」の位置づけだったはず。
表に出るようなものではない。本当ならば。

ゲームの中ではプレイ出来るのだ。
非常に驚いた。
ゲームなので、楽曲をゆっくり聴いている暇はない。それでも、彼の叫びは確実に届いた。

ロックが好き、しかもかなりコアでマニアックなものまで網羅している、というのはMEZZO"のラジオ番組、「MEZZO"のロングヒットアルバム」で知れ渡っている。
番組はロック初心者の四葉環が、逢坂のロック談義を聴き、同時にリスナーもロックへの造詣を深められる、という形を取っている。

ロックの多様性を聴いた四葉は、ロックは狡い、と言う。そんなに何もかもロックの括りの中に入るのか、人種や調味料の種類のようなもんなのか、と聞く。彼が私の疑問を代弁してくれたと思った。私もロックの分類は気になるけど境界線は分からない。
それに熱く答える逢坂はとても嬉しそうだった。
(いや、真剣にラジオ聴きたいんで、なんとかしてください)

そしてForever Noteは、彼のロック魂をかけた一曲として世間に発表された。
ラジオを聴いている者にはある意味納得の曲だが、MEZZO"はそれまで王道のJ-POPを歌っていた。急な路線変更ではないかと言う者も多かった。

(1つ前の楽曲は「Dear Butterfly」。とても軽快で愛に溢れたポップス。バタフライ・エフェクト、波及効果がテーマ。Collection Album vol.2の一枚目に収録されているのでそちらもどうぞ。)

原曲をフルで聴いてさらに驚いた。制作は打ち込みだと思われるがゴリゴリのロックだった。
彼が好んでやまないハードコアに寄ったドラムとツインギター、シンセが疾走し、逢坂はそれに呼応するように叫ぶ。自分は本当はこうなのだ、とギターにも歌わせる。

物腰の柔らかさの内に隠された、むき出しの魂。外に出たいばかりだった感情はこうして五線譜に載せられた。

正直、拙さを感じないわけではない。
申し訳ないが出だしから1番が終わるまでのアレンジの調子で終わると思っていた。
違った。
サビ前の音を減らしたり、ブレイクも駆使していた。
音楽的な古さから新しさまで網羅している印象だ。
最後まで、思うがままに作り上げたのだ。
なんでもだが、「上げる」のは容易くない。
そして驚くほどの完成度。

逢坂壮五はそこにいた。

これまでと全く違うアプローチ。向けられる声は温かいものだけではないのを知っている。ファンだけではなく、スタッフや運営に迷惑をかけるのではないか、という不安もあった。
しかし、それらを越えた彼の姿を見た。

楽曲は四葉に、ロックはこういうものなんだよ、と教える逢坂そのものだった。
ロックとは 心のほとばしりなのだ、と。
恐らく、ラジオで話す言葉よりもこの1曲は雄弁だ。

これを聴いた時の四葉。アゲハ蝶が羽を広げた瞬間に立ち会ったのかもしれない。

逢坂と四葉2人の様子は、保護者と子どものようと揶揄もされる。どこまでも自由な四葉をあやす逢坂は音楽番組でも冠番組でも見られる。

あえて親子の関係をいうなら、
親の放ったものを何倍にも返してくれるのは子どもの方だ。
親はその姿を讃え、それにありがとうを言うしか出来ない。
そこまでになった自分たちを誇ればいいだけなのだ。なかなかできないことかも知れないけれど。


そして、2人はきっと何も変わらない。


そしてForever Noteへ

扉を壊すように、というフレーズでにんまりしてしまうマネージャーは多いと思うが、Monologue~からは2番の歌詞がほぼ書き換えられているのに気がつく。
相方の四葉を含めた、心の成長を促してくれた仲間への思いはモノローグに秘めるべきで、公に公開するものではないのかもしれない。ただ、彼は納得しているだろう。こんな曲が出来た、と真っ先に伝えたいのは相方だろうし、その当時の気持ちは曲と歌詞に込められているのだから。もう役目は終えたのだ。

これから永遠に歩む道を模索していくことになる。そして、向ける目の方向はファンや大衆にないといけない。

レコード会社の担当者は、最初は逢坂の自作をリリースするのに難色を示していた。それはきっと保守的な考えだけではないと思うのだ。

スタッフの驚きは、私などが聴くよりもずっと激しいものだっただろう。アイドリッシュセブンの中で抜きん出て実力はあるとしても、2人を新人として育てて芽が出るかどうかは未知数。預かった日から、ずっと彼らを大切にして来た。きっと、MEZZO"の次の展開も考えていたはずなのだ。Dear Butterflyも好評となればそのイメージを大切にしたいのは当然。

保守的というよりも、2人を大事に守りたいという意図だったと思うのだ。

逢坂が自作をレコード会社にプレゼンする時にこれは「戦争」と言ったが、双方が案を持ち寄る場では互いに撃ち合う権利がある。彼はそれはよく知っているはずだ。だから戦争と言ったのだ。

熱意と闘争本能むき出しで自分をさらけ出す、そんな姿を見守っていた人間が喜ばないはずがない。その役は、横にいた相方がずっとして来たことなのだけど。

そんな気持ちにも感謝出来る人間ということは、周りの人間はとうに知っている。

プロの洗礼

Forever Noteとして新しく施されたアレンジでは、ソロパートの後ろで鳴るギターが相方の存在感を示したものになっているのはファンなら気がついているはずだが、

原曲のギターの荒々しい咆哮から、曲が完成しひとつ前に歩き出したことを祝福するような、まるで天から舞い降りて来るような美しいギターの音色に変わっていた。
まるで、逢坂の成長を祝うかのようだった。

逢坂はここで、プロの洗礼を受けたことになる。

1人のモノローグから大衆のモノローグを喚起するものに変わるには、多くの工程を減ること、それには多くの実績や経験を兼ね備えた人間が必要になる。
レコード会社の担当者から、スタジオミュージシャン、ブレス工場、CDショップの店員、配信に載せるエンジニアまで。
そして、自分の好きなこと、やりたいことを伝えると、想像を超えた形にして返してくれる。これがプロなのだと。
人のわがままを救いとって動いてくれる人がいるのだと。
逢坂壮五はきっと思い知ったに違いない。


作曲家、桜春樹の意志を次いで自らも作曲家となった。これから、別の意味でプロの洗礼を受けるし、勢いで作るだけでは味わわなかった苦労もあるかもしれない。
しかし、仲間にはIDOLiSH7のメンバーや見守ってくれる人間、千や棗巳波のような先輩作曲家もいる。そして相方の四葉環。

羽化したばかりのアゲハ蝶は、これから皆に見守られながら高く飛んでいくだろう。


(MEZZO"の2人のCVに阿部敦さんとKENNさんを起用してくださって本当にありがとうございます。)

最後に

MEZZO"の2人の話に終始してしまったが、3部のストーリーの1つの軸でもあるテレビ企画のテーマソングも収録されている。
千が徹夜で書き上げた「Happy Days Creation!」もIDOLiSH7、Re:valeの魅力満載の名曲だ。こちらもフル音源化は初めて。

2021年7月よりストーリー第3部のアニメ化「アイドリッシュセブン Third Beat!」も放映決定しました。
ぜひ曲の予習にもどうぞ。

4グループ16人、ありとあらゆる楽曲と声があるけれど、同じ空を見上げ、同じ虹の向こうに行こうとする、そんな背筋の伸びたアルバム。



さあ掻き鳴らせ、永遠に。


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