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パパとママのお仕事は?(幼少期編3)

新しい我が家には一般的には似つかわしくないモノが沢山あった。
絶対に怪我をするから、触ったらそこから錆びるからと言って飾ってるだけの日本刀、動物の剥製数体、煌びやかな鉱物、上下白のスーツや、山梨では見ないようなドレスに似た洋服。

時代かも知れないがパパはパンチパーマで基本サングラスそして白いスーツ。そんな大人はパパしか歩いていない違和感を子供ながらに感じ、ママは私といる時でさえ知らないおじさんに何度かナンパされるぐらい色香はあった。5歳児ながらも大人は色恋的なものがあることは理解をしていたつもりだが、実の親のそういったものを見せられるのを私は非常に嫌っていた。単純に気持ち悪いと感情が拒否していたのだろう。

新居に越して数日も経たないうちに、祖父母の家に預けた理由とパパとママの容姿の違和感を子供の私はこれっぽっちの遠慮も無く聞いた。両親がどんな人かは興味があるのではなく、私はどの立ち位置の子供なのかを確認するためだ。すると父が臆することなく寧ろ自慢げに話してくれたのが印象的で心に残っている。
子供の私でも分かりやすく、まずママの話をしてくれた。

「ママは会社の社長さんやテレビに出てる人とかがお酒を飲む店でお酒を作ってる仕事をしてる。パパは悪い人が来ないようにその店を守る用心棒をしてる。山梨の家に預けたのは家を建てるために二人で仕事に集中したからだよ、高卒のパパがそこまでして東京に家を建てたって立派なことなんだ。ほら、写真を見なさい。」

異常な光景の写真の数々だった。ママがママの顔じゃなく雌の顔をして着物姿で隣に知らないおじさんがママの肩を組んで酒を呑んでいる。
私が子供ながらに見たくないと思っていた、大人のあの欲望が剥き出しの写真がそこにはあった。

私は立ち位置を一瞬で理解した。私の家族は普通ではないと。
だからパパもママも目立つ格好してるんだ。私が山梨にいたのも普通じゃないんだね。じゃぁ普通じゃなく自由でいていいのだと勝手に解釈した気がする。
しかし意味としては山梨のド田舎で農家と建築士の仕事しか見ていない私が将来なりたい仕事など思い浮かべるのではなく、精神的な自由が約束された人生を歩んでいいのだろうという意味で納得してそして喜んだ。今思うと無邪気な子供。
多分親が夜の仕事をしている子供は似たように思うはずだ、目の前の現実がそれであれば子供は受け入れる。大人より子供のほうが現実を受け入れるのが早い。適応して生きて行かなければならないから。

そしてその時は山梨の家に「捨てられた」わけじゃないと安堵した。

メンヘラで引きこもり生活困窮者です、生活保護を申請中です。ガスも止めてスポーツジムで最低限の筋トレとお風呂生活をしています。少しでも食費の足しにしたいのが本音です。生恥を重ねるようで情けないのですがお慰みを切にお願いします。