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小学校教諭の仕事術【「佐久間宣行のずるい仕事術」書評】


小学校教諭のsmyle(スまイル)です。

ミドルリーダー世代になり、
ガシガシ本を読むようになりました。


2022年は116冊。
2023年は176冊。

2023年、より多読になれたのは、
渡辺道治先生のvoicy読書術セミナーのおかげです。



さて、そんな私が昨日、
多くの共感を持って読み終えた本を紹介します。(2024年の10冊目)


元テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行さん。
2022のM-1で優勝したウエストランドの井口さんがネタ中に
「佐久間さーん」と叫んだことでお馴染みの佐久間さん。

尖った企画が多い佐久間さん。
私は、YouTube「佐久間宣行のNOBROCK TV」が大好きだし
「オールナイトニッポン0」はpodcastだけど聞きまくったし
「ウレロ☆シリーズ」はかなり好きでした。


そんな佐久間さんの著作ということで手に取ってみたけれど、
小学校教諭として生き抜いて(働いて)いる私にとって、
とても共感できる部分が多かったです。

そのいくつかを述べていきたいと思います。





「すぐやる人」が結局残る


自分で言うのもなんですが、
私は今の職場(学校)で、仕事ができるやつと思われています。
自己評価よりも、他者からの評価がえらく高いのです。

自分なりに理由を紐解くと、まず思い当たるのが
「仕事をすぐやる」こと。
とにかく仕事の速さにはこだわります。


「○月〇日までに提出してください」
という連絡が来た瞬間に、まずその仕事に取り掛かり、
いの一番に完成させ、提出する。
受け取った相手は驚きとともに、その手際の良さを認めてくれる。

それを幾度となく繰り返していくと
「仕事が速い=できる」という
良い評価を寄せてくれるようになります。


私は、タスクが溜まるのが嫌だからすぐ済ませているに過ぎないし、
〆切を忘れてしまい、出しそびれてしまうのも避けたい。

忘れることを避けるためにすぐやっているだけなのですが、
すぐやることで、意図せず評価も伴ってくれる。
さらにすぐやることで、
のちのち重い腰を上げるためのエネルギーを使う必要もない。

早くやるのは全然大変でもすごくもなくて、
よっぽど楽なのです。

だからみんな、すぐにやっちゃえばいいのになあ、
と、私はひそかに思っています。


ちなみに先日、
自治体の研修で出さなければいけない提出物があったのですが、
自治体の中で一番早くに提出してやりました。

自己満足と言われればそれまでかもしれませんが、
早く出して、早く出してもらって
損する方は誰もいませんよね。

だからこれからも、即提出を目指します。




「社内初」はローリスク・ハイリターン


学校という場所は、あまり開かれていない
閉鎖的な場所だなあと感じることがあります。

特に、学校間の連携や情報共有が十分であるとは言えません。
公立教員は数年に一度異動する必要がありますが、
異動してみると、
学校によって結構違う「文化」があったりします。
それは閉鎖的であるがゆえに
ガラパゴスな文化が醸成されているのではと思います。

ですが逆に言うと、
新しい風を吹き込み、改善できるポイントが
たくさんある、と考えることもできます。
そしてそれが職員のみなさんにとって有益なものであれば、
一気に社内(その学校内)の評価は上がるのではないでしょうか。


例えば、私はタブレットを用いた実践や働き方を
たくさん試行しました。
初めのうち、全くタブレットは得意ではありませんでしたが、
学校内おいて、この分野はまだまだブルーオーシャンであると感じ、
この分野に力を入れてみました。

試行して得た知見や上手くいったことをもとに、
家庭配付のお便りを電子化したり、
集計作業をデジタルアンケートでとったりと、
業務の効率化に寄与できそうなことを、少しずつ広げていきました。
もちろんタブレットが苦手な方やアレルギーがある方への
サポートも献身的に行いました。

すると、「仕事ができるやつ」と認めてくれる方が増えました。


自治体などもっと大きい範囲で言うと、
同じようなレベルの実践をやっている方はいらっしゃるでしょうが、
せまい校内でとなると、
比較的容易に「先行者」になり得ます。

佐久間氏の言葉で言うと
"先行者利益"を取りやすいのです。


まあ、情報関係の場合は、あまりアピールすると
・大変な仕事とされる「情報主任」が降ってくる、
・PC関係の質問をされまくる、
というリスクは付いてきますが…

でも、頼っていただけるのは嫌いではないですし、
信頼いただけることで
職場でやりたいことはやりやすくなりましたね。

まあ、異動するとリセットされて
信頼を再構築しなければいけないのは大変ですが。




「企画には「自分だけの『原液』」を混ぜる」


学校は、前年度踏襲がされやすい場所と感じています。
上記のように異動が多く、人が頻繁に入れ替わるので、
新しく来られた方は学校の様子が分からず
「とりあえず最初の1年は様子見で、昨年と同じやり方で…」
となりがちです。

本当は、新しく来られた方の視点は大いに生かされるべきなのですが。


前例踏襲は楽かもしれないけれど、
でも単純に「おもしろくない」ですよね。
かといって、大きく変えることにも大きな抵抗感がある世界です。

そんな中で、私の取った方法は
自分の感じる「おもしろい」(=原液)を、
一滴でも計画の中に「忍ばせる」ことです。


例えば、様々な計画の一部に
ICTを使う場面をちょびっと入れてみたり、
例えば体育主任の時であれば、一部をアレンジして
児童の「楽しい」を強化する手立てを入れてみたり…

この業界は簡単に動かせない企画が多いけれど、
そこに一滴でもいいから自分の「原液」を混ぜることで、
ただの前例踏襲から、
"自分の仕事だぜ"とすることができる。

一気にやりがいが変わってきます。




「陰口」はコスパが悪い


職場は人間関係が大切です。

私は、決して同僚とのコミュニケーションが得意な方ではありません。
むしろ苦手で、たわいない話などがあまりできません。
でも、これだけはしないと心に決めているものはあります。

陰口は言いません。

愚痴や文句も、明らかに理不尽だと感じたときなど
「行為」に対して言うことはあるけれど、
少なくとも「人」に向けることはしません。

言わないようにする、というよりは
そもそも好きではないし楽しいと思わないからです。

自分に対して「陰口を言う人」というレッテルを貼られたら
すごく嫌です。
私が、陰口を言う人を、心の底では信用できないからです。
私がそう思われたくないからです。


ただ、陰口が好きな方は一定数居ます。
陰口を言い合うことで
連帯感を生もうとする人がいます。

そんな方と仕事をするとき、
「私は陰口は言いません。」などと宣言してしまうと
角が立ちます。その方のメンツをつぶします。
なのでもう一つ、

「『メンツ地雷』を踏んではいけない」


これも同様に意識しています。
愚痴が左の耳から聞こえてきたら、
右耳から受け流します。

聞いていないと思われるのもよくないので、
「同意」とならないような、曖昧なリアクションをします。

そういったマイナスな言葉を原動力にする方はいらっしゃいますからね。
その価値観自体を否定する気はありません。
ただ、私はしない、というだけです。


飲みの席で始まる愚痴大会も好きではないです。
陰口もお酒が不味くなるので聞きたくありません。
でも言っている人は否定せず、
程よく酒とともに流します。

これは決して魂を売っているのではなく、
"組織人として、社会人としての「戦略」"です。


そもそも同僚に対して、相手を論破しようとか
言い負かしたいという気持ちはあまり起きません。

佐久間氏も著書の中で言っていますが、
意図的に意識的に戦わないというよりは、
元々の性格がそうさせた部分も多いのでしょう。




「「おもしろさの核」を相手に伝える」


ここが、私は弱いです。

自分が面白いと思っていることの「核」が曖昧で
言語化できておらず、
相手に伝わる形でアウトプットできません。

佐久間さんの言う「『おもしろい』の因数分解」ができると
伝え方・プレゼン力が変わってくるのでしょう。

それができると、もっとおもしろく
働けるんだろうなあ。


だからこのnoteを始めました。

このnoteへのアウトプットなどを通して
高めていきたい力です。




「心を壊してまでやるべき仕事なんてどこにもない。」


この仕事に限ったことではないですが、
仕事をしているとメンタルが削られることがままあります。

対子どもだったり、
対保護者だったり、
対同僚だったり。


個人的に一番きついのは、
対同僚が上手くいかないときな気がします。

クラスでうまくいかないことがあっても、
同僚との関係が良好であればなんとか踏ん張れたりする。

逆に同僚との関係がよくなかったり
しんどい人が居たりすると、つらい。

だから、今まで書いてきたことなどを大切にしながら
同僚性を良いものにしていきたい。


でもそれでも、自分では何ともしがたい事態に巻き込まれることもある。

そんなときは、逃げればいい。
佐久間氏も言っているが「たかが仕事」だからです。
心を差し出してまでやる価値なんて、仕事にはないのですよ。

私はこの仕事が、大変だけれど好きです。
やりがいだらけです。

でも、本当にしんどくなったら逃げます。
いちばん大事なのは、家族だからです。
だから、自分が壊れるわけにはいかないのです。

妻も、
「本当につらいときはやめていいんだよ」
以前から言ってくれています。きっと本心です。

「本当に辞めたら生活が…」なんて、妻も私も思ってはいません。
元気で生きていれば、どうにかなるからです。

「いつだって辞めることができる」と心の片隅で思っておくことは
かなり心の安定をもたらしてくれます。

仕事は大切だけれど、私の全てではない。
適切な距離間で、これからも付き合っていきます。




「不機嫌でいるメリットなどひとつもない」


最後に。

この本の最初に書かれていたのが
「ご機嫌にみせる」ことのメリットでした。

色々な本を読んでいると、
多くの本の中でこの「ご機嫌」の価値が語られています。


佐久間氏も最初のトピックに選んだということは、
とても大切なことだと感じているのでしょう。

機嫌よくいること。
不機嫌な様子を見せず、
少なくともフラットでいることを心掛けること。
愛想よく対応すること。

それは子どもに対しても、保護者に対しても、
同僚に対してもです。


ここも、少々話しかけづらいオーラを発しているらしい
私の大きな課題でもあります。

「ご機嫌にみせる」ことを
意図的にしていくことで、
私の好きなこの仕事を、
出来ればずっと働いていたいこの業界を、
「ずるく」生き抜いていきたいと思います。


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