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X-Pro3 - “Beloved” is Back.


相棒が、進化して戻ってきた。

FUJIFILMのカメラ、Xシリーズとは8年の付き合いになる。

その中でも、X-Proと呼ばれるシリーズは、長く使えるカメラとしてずっとお気に入りの存在だ。X-Pro1はもちろん、X-Pro2は、今まで出会った中で最高傑作のカメラとして、自分の写真人生の中でも一番長く使ったカメラでもある。今でもなお「愛機」と呼びたい存在だ。

X-Pro2についてのラブレターのような想いは、下のリンクにてたくさん記している。

2019年、そんなX-Proにも新モデル、X-Pro3がお目見えした。チタンを纏ったボディも衝撃的だったが、何よりもデジタルカメラの象徴とも言える液晶画面が内側に閉じている「Hidden LCD」の衝撃は今でも忘れられない。

フィルムの価格がどんどん高騰していく時代、このカメラは過去への退行ではなく、写真機としてある意味究極の進化だ。誰もが背面液晶ではなく被写体と、ファインダーと、写真と向き合っていた、フイルム時代全盛期。その撮影体験に限りなく近い。
その佇まいから感じ取れるFUJIFILMからのメッセージは痛烈だったし、写真に対して本気だと、そう思った。






2020年秋、こっそりとデュラテクトシルバーを購入していた。
だが、自分の買った個体はチタン加工の仕上げが良くなかったのか、ボディが握るたびにたわんだ。それまでのX-Proにあった「所有欲」と呼ぶべきものがあまりなかった。なんとか仲良くなろうと毎日持ち歩いたりもしたが、イマイチ釈然とせず、泣く泣く2ヶ月あまりで手放してしまった。

あれから2年弱。それでも、忘れることは出来なかった。




今度は状態の良い中古を吟味し、作り込みのしっかりしている個体を選ぶことが出来た。加工が難しいとされるチタンを使っているからか個体差も結構ある。しかし、チタンは貴重だ。X-Proが故に採用が許される素材なのだろう。
カラーはブラックにした。X-Proといえばハーフマットのブラック。やはりこの色がX-Proのアイデンティティであり、レンズ交換式としてはX-Pro1から始まったことを考えれば、Xの原点とも言える色である。自分自身も、また新しいX-Proで原点回帰、という意味も込めてこの色にした。密かに光るこの色は過度な主張がなく、しかし凛とした佇まいがある。


鈍く光り、出番を今か今かと待っている様はなんとも頼もしいし、カッコイイし、その佇まいこそが、カメラが自分をどこかへ連れて行ってくれる。

ちゃんとしたものを用意するまでは時間がかかった。しかし、自分が持っているものは確かにX-Proであり、さらさらとしたブラックペイントの触り心地や、レンジファインダースタイルの佇まいは、日常から旅先まで寄り添った「相棒」なのだ。





気づけば、発売から3年が経過しようとしている。もう少ししたら、後継機種の話が出てきてもおかしくはない。
だが、クラシックネガの懐かしくも忘れられない発色の良さ、Hidden LCDの割り切りの良さ、却って集中できる撮影スタイル、ダイヤルを操作して極限までアナログな操作感に拘る姿勢…

自分の中で、これほどまでに撮る事に集中でき、佇まいから使い心地まで「完璧」と呼べるものは、世の中の様々なカメラを探しても中々見つけられるものではない。
発売から何年経っても、その魅力が尽きないカメラは過去に遡ってたくさんあるが、X-Pro3も、その中の一台になるのではないだろうか。






自分の相棒になるカメラは、まるで自分の手足の一部のように何をすべきかが分かり、そして目の延長のように、自分が見たもの、いいと思った瞬間を可視化してくれる。それがちょっとブレていたり、ちょっとぼやけていたりしても、それはそれでいいじゃないか。失敗も含めて、写真の全部が好き。やったことが全て写真として結果になって返ってくる。失敗も全部受け止め、この先に撮れる最高の一枚のためにシャッターを落とし続ける。

それがカメラであり、写真機であり、X-Pro3なんだ。



外に出よう。写真を撮ろう。旅に出よう。
どこまでも行こう。

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