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XF23mmF2 - Tripper.

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元々、35mmに対しては苦手意識があった。というのも、ずっと50mmを使ってきていたので、50mmの立ち回り方では35mmを使いこなせなかった。(今思えばとても単純な原因)

XF23mmF2はFUJIFILM Xシリーズの、いわゆる「F2シリーズ」として知られているレンズだ。ライカのズミクロンをもじって「フジクロン」とも呼ばれている。

先述の通り、35mmに苦手意識はあったけれど、2016年秋に発売の告知が出た段階で買おうとしていた。それまでの少し大柄なXF23mm F1.4に比べて軽快そうで且つ、先に発売されたXF35mmF2と兄弟なような、その見た目に惚れ込んだからだ。このレンズとなら、35mmという画角と仲良くなれそうな気がした。

2016年11月、レンズを買ってまず行こうと思ったのが金沢だった。特に大きな理由は無くて、寒くなってどんよりとした空気の北陸に、漠然とした憧れを抱いていたから。一つの画角でじっくりと撮り歩くには、この時期の金沢はぴったりだと、半ば強引に当てはめたと思う。よく使うXF35mmF2は家に置いて、X-Pro2にXF23mmF2を着け、まもなく冬を迎える北陸の地へと旅立った。

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レンズの選択肢がこれしかない…となると、否が応でもそれに適応しなければならない。この組み合わせで金沢を旅したことは、自分にとって貴重な経験となった。35mmの立ち回り方、遠近感、雰囲気…2泊3日の長いとは言えない旅ではあったけれど、このレンズと仲良くなるには十分だった。少し狭い分フレーミングに気を遣う50mmと違い、35mmでは今見ている風景をそのまま切り取ることができる。もちろん何も考えてないわけではないけれど、50mmとは違った「気楽さ」をこのレンズからは感じる。肩の力を入れず、気の向くままにシャッターを切る一連の動作と、綿密なプランを立てずに自由に歩き回る、自分自身の旅のスタイルは絶妙に合っているのかもしれない。

X-Photographerの一人である内田ユキオ氏は、「レンズ選びは、靴選びに似ている」と以前コラムで仰っていた。旅には履きなれた靴がベスト。靴が合っていれば、どこまでも歩いていける。せっかくの旅だから新しい靴を…と思って靴を新調したら、靴擦れして痛い思いをするかもしれない(過去に自分も同じ経験があった)。レンズでも同じなのだろう。せっかくの旅だからいいレンズを…ということで大口径の明るいレンズを持って行っても、使い勝手の違いに戸惑って思うように撮れない…ということだろうか。

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XF23mmF2はその取り回しの良さだけでなく、物としての魅力もある。ブラックとシルバー、限定モノだがグラファイトもあり、3色展開だ。また他のF2シリーズと共通して、絞りダイヤルのクリック感、ピントリングのヌルッとしたトルク感も気持ちよく、実用的で、且つ愛着も湧くような仕上げになっている。しかも防滴防塵、悪天候でも安心して使っていける。

昨今の様々なレンズを見ていて、上を見ればキリがないけれど、同じ価格帯でここまで上質な仕上がりになっている物が他にあるだろうか。同じ焦点距離でより明るいレンズが先に発売されていたところに、FUJIFILMはより上質で、ずっと履ける靴のようなレンズをもたらしてくれた。この靴となら、どこまでも歩いていけそうな気がする。

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最後に。

先日の台風19号で、日本各地に甚大な被害が及んだ。連日のニュースを見るたびに、胸のどこかがキリキリとしてやりきれない気持ちになる。その中でも、長野の北陸新幹線の車両基地が浸水した映像が本当にショックだった。あの付近はリンゴ農園が多く、新幹線の車窓から、または並行して走るしなの鉄道、北しなの線の車窓から眺めるリンゴの木々が好きだった。その木々が川の氾濫によって変わり果てた姿になってしまったかと思うと、ただただ残念で、何かを書こうと思っても言葉にならない。

落ち着いたら、また長野に行こうと思う。何もゆかりはないけれど、食べ物や町並み、鉄道そのものに惹かれて、これまでに何回も足を運んだ。ありふれた理由で長野を好きになった一人に過ぎないけれど、また旅をして、現地にお金を落とすことが、自分が被災地にとって出来ることなはずだから。乗って、食べて、見て、撮って、被災地を応援していきたい。

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