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先住文鳥とこんぶ

家に文鳥が四羽いる。
同居人が最初にお迎えした一番年上で♀の桜文鳥(パイド)、先住文鳥。
わたしが最初にお迎えした二歳で♂の桜文鳥、こんぶ。
わたしが二番目にお迎えした二歳二ヶ月で♂の白文鳥、ぷんぷん。
同居人が三日前にお迎えした生後五ヶ月で♀の白文鳥(灰色混ざり)、てと。
これ以上はもう無理だなと同居人と深く頷き合っている。


先住文鳥とこんぶは雛のとき家に来た。
先住文鳥はちょうど挿し餌が終わったくらいのときに同居人が翌日まで悩んだ末に朝一で自転車を走らせてお迎えしていた。その頃まだわたしと同居人はお付き合いしていなかったし、一緒に暮らしていなかった。同居人がひとりでずっとお世話をしてコミュニケーションを取っていたので、先住文鳥はずっと同居人がだいすき。今も一番同居人がすきで、最近やっとこんぶにも靡いてきてくれた。けど、良くも悪くもそれ以外はあまり興味がない。同居人の手が何かを握っていると「わたしを握れ」と言わんばかりにすぐ同居人の指や首を嘴で抓る。特にApple Pencilが嫌いみたいですごい低い唸り声でApple Pencilを力強く突く。人間が触れていれば安全だと判断しているのか新しいものや食べ物に物怖じしない。それくらい人間をしっかり信用してくれている。今は体重が23gでちょっぴり小柄、小柄なのでなんとしても産卵は避けなければならない。お迎えして数ヶ月経ったくらいのときは体重が21gで魂と同じ重さだった。とてもはっきりした強い子。そしてわたしの手がちょっぴり好きみたいで、時々手のなかでお寿司のようになってくれる。



こんぶはわたしがネットで文鳥の雛の入荷情報を見たのがきっかけだった。そのとき文鳥の雛の入荷が京都のペットショップにしかなかったため何故かわざわざ京都のペットショップまで行き、その場でぐるぐると文鳥たちの周りを歩き日が暮れるまで何時間も悩んだ末にお迎えした。

白じゃない方がペットショップにいたときのこんぶ

家に着くまで透明な虫かごのなかに入れられて大きなビニール袋に包まれた小さな文鳥を抱えて歩いた。家に帰るまでのバスや電車のなかでは、名前を同居人と考えながらも移動中文鳥の入った虫かごか揺れないようにわたしはぴたっと虫かごに体を密着させて大切に抱えるように座っていた。心臓の音を聴き安心していたのか左側の胸の辺りに当時のこんぶもぴとっとくっついていた。当時まだ一日三回の挿し餌が必要だった。わたしは仕事をしていたので朝昼の挿し餌は同居人にお願いして、夜とお休みの日は自分で挿し餌をした。挿し餌、最後の最後まで上手にできなくていつもこんぶを待たせた。

家へきた翌日の夜
はじめてブランコに乗ったこんぶ
この頃はこんなふうに握らせてくれていた
今は握られたいときは同居人の手へ
今でも放鳥時は眠くなると
人間の体にぴとっとくっついて寝る

ペットショップでは穏やかそうに見えたこんぶだが、いざ家に来ると、ご飯を見る度にぴょんぴょんと飛び跳ね、ご飯のところまでアタックしてくるくらいとても元気にご飯を食べ、あっという間に水浴びを覚え、誰に教わることなく突然飛び始め、宇宙人と交信でもするような鳴声でぐぜり始めて、囀りを完成させ、人間たちの上に止まり、先住文鳥と人間の奪い合いをしてキャルキャルするようなよく食べてよく遊び自由に飛び回る活発な子だった。
今は特に先住文鳥のことがだいすきだけど、先住文鳥にはツンッとされてしまいがち。求愛ダンスをするたびにキッキッと鳴かれてしまうが、ずっと諦めていない。その成果なのか最近ちょっと靡いているような気がする。喧嘩するほど仲が良いとはこのことかと思うほど、二羽はキャルキャルしながらもなんだかんだでいつも放鳥時は近くにいる。こんぶは先住文鳥が一瞬でも見えなくなると大きな声で呼び鳴きをする。先住文鳥が亡くなったとき、どうなってしまうんだろうか、みるみるうちに後を追うように元気がなくなり亡くなるのではないかと心配になるくらい。環境の変化と気圧の変化に弱い。新しいものが苦手で、先住文鳥や人間の様子を見てから挑戦する。最初は怖かった同居人のギターも今じゃ自分で一緒になって嘴で弦を弾いてる。人間の食べているものによく興味を持つ。四羽のなかで一番縄張り意識が強く、みんなを遠くから眺めたり、自由に豆苗を食べに行き、豪快に水浴びをする。水浴び後の掻き掻きと羽繕いも豪快。自分のケージを開けようとしてしまったり、寝る時間になると寝室まで何回も飛んで鳴いて知らせたり、「こんぶ、おいで」と手を伸ばしたら飛んできたり、目を見て低い声で名前を呼ばれたときは怒られているとわかるのかいたずらをやめたりするくらいには賢い。人間が話しかけたり呼んだりすると必ず目を見てくれて、目とキャルキャルと怒ることで感情表現や何かを伝えようとしてくれる、とても豊かで健やかな文鳥らしい姿。体重も28gで幼鳥のときのふわふわな羽たちも今じゃすっかり艶やかで天使の輪が頭にできている。病院へ検診に行っても「とても健康ですねぇ」と言われるくらい、文鳥の平均寿命は7〜8年くらいだけどいつまでも健やかに生きて元気に飛び回っていてほしいと願ってしまう。人間はわがままだね。

苦手な病院から帰宅後
人間に背を向けて黄昏れ不貞寝をしていた
頭の先まできっちり水に浸かり水浴びをする
水浴び後、ケージに頭を擦り付けている姿がすき
放鳥時に人間がおやつを食べているとこうなる
就寝時、先住文鳥が先にケージに戻り毛布をかけられ
その毛布の穴から先住文鳥を覗くこんぶ
今はわたしの掌を巣にして、
髪の毛を巣材にして、くつろぎ寝てくれる




ぷんぷんとてとについても書きたかったのだけど、随分長くなってしまったし、外も明るくなって文鳥たちも同居人も起きてきたのでぷんぷんとてとはまた今度、今日はここまで。

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