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義理の母のはなし

私にはステキな義理の母がいる。

私の旦那の度重なる不貞に耐えかねて、義母と義父と私の3人で話し合った帰り道に、義母と2人きりになった。

義母を見ると、女のままならなさを感じる。
私の実の母のような、どうしようもない所から反骨して逃げ出してきたようなつらみではなく、もっとほわほわして、でもけして逃げ出せない。みたいな生暖かいぬかるみを感じる。

私はそれが嫌いではない。


駅まで続く、曲がりくねった道を歩いていると、義母が小さい子に教えるように私に呟く。
「ここ、昔は川だったんだって」

へぇ、なんかカッコいいですね。ベネチアみたい

「というよりは花街だったみたい」

ああ、御宅の息子さんが大好きな…

「ふふ。やめてよー」
義母は可愛らしく笑ったそのすぐあとに
「ほんと、しょうがないわねぇ…」と焦燥しきった顔で言った。


この人に苦労かけたくないな。
野の花のように、踏みつける足も排気ガスにも耐えて、でもしれっと咲いているような人。優しく強い、私の義母。

私はこの人のようには人を守れないかもしれない。だからこの人の力が必要だ。
この人の顔に免じて、旦那を許そう。
そうしよう。


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