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ドキュメンタリー「主戦場」のはなし

今日、ドキュメンタリー「主戦場」を観てきた。
私は教科書に「慰安婦問題」が掲載されていた世代です。

このドキュメンタリーを観たことで、それが稀な世代だと知ったのだが、つまり度々報道されてきた慰安婦問題について、私には義務教育程度の知識があった。

おぼろげな知識と、日本の男性の在り方をみて「まー、やってんだろうなー」と思っていたし、ニュースなどで韓国側の反応やデモを見て「まー、にしてもこんなに言う程のことだったのかなー?」と思っていた。

思っていただけで、実際にそれを口にしたり、それ以上深く考えようとしてはなかった。
深く考えてなかったというか、考えようとすると頭にもやがかかる感じ。

でも、「主戦場」の予告を初めて観た時に、これは観ないと。とハッキリ思ったのだった。


理由は
日系アメリカ人の監督が、この問題をどう捉えてるか観たかった。
インタビュー対象が、私の知っている人ばかりで興味が湧いた。
慰安婦が果たして性奴隷なのか売春婦なのか知りたかった。


言葉にしてみると、どれも違う気がする。
でも、観た後に大きく変わった気持ちがあったので、ネタバレにならない程度に感想を書こうと思う。


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1945年、第二次世界大戦終戦。
拉致、誘拐されたと言われる少女たちは17〜23歳。辛く危険な日々を終え運良く故郷に戻れても、親兄弟の風当たりは強く「お前は穢れたのだから子供は産むな」とまで言われた人もいた。この時点で「慰安婦」という存在自体なかったようにされてしまう。
少女たちは傷を抱えたまま、誰にも言えず大人になる。

1965年、日韓基本条約締結。
日本は戦時中に韓国人に多大な苦痛を与えた事に対し、8億ドルの賠償金を支払って、韓国との国交を正常化する。

1991年、金学順さんが韓国で初めて元慰安婦として名乗り出て、自らの体験を語った。



何故、戦後から40年以上もこの問題は放置されていたのか?
政治や時代が変わったから明るみに出たのか?

私はこう思う。

きっと彼女たちが歳をとったから。だと。

長い長い年月の間、傷ついた心を癒してくれる人はおらず、家族にも相談できず、自分を責め、戦争と時には日本人を憎み、それでも生きて家庭を持ち、辛い思い出に耐えながらセックスをし、子を産み育てた。育てた娘がまた体を売らざるを得なかった人もいただろう。相手は自分を「穢れ」と言った父と同じ韓国人か。それとも自分を汚した日本人か。
セカンドレイプどころか、サードレイプ、いや、もっとだ。
アジアの女性の悲しい悲しい、搾取の人生。


もう吐き出してしまいたかったんじゃないだろうか。
老いた体に、不幸は重い。
彼女たちが本当にほしかったものは何だろう。



「ごめんなさい。あの頃の私たちは、女性や子供を人として見る優しさを持ち合わせていなかった」?


「あなたの辛い人生はあなたのせいではないよ」?


「このお金で人生を取り戻してください」?


謝罪なのか、許しなのか、お金なのか。
人によって違うだろうし、このどれでもない人もいるだろう。
ただひとつ言えることは、戦争が彼女たちの人権を侵害したということ。

優しい日本兵もいただろう。金銭を受け取ったこともあるかもしれない。
でもそんなことは問題ではない。
人対人の話ではない。
国が彼女たちの人権を侵害したのだから。



ドキュメンタリー「主戦場」を観終えた私は、拙くてもいいから、一度謝罪をしてほしいと思った。
お金とか、保証とか、そんなことはそれから話し合うこと。

まず、国と国ではなく、国が人に謝ってほしい。

女性の人権が少しずつできてきた今なら、できるのではないかと期待してしまう。

「性」ではない。
「女」性の搾取を、これからしないために。

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