メモランダム感想
別府由来さん推しのフォロワーさんのお誘いでリーディングアクト「メモランダム No.136」を鑑賞してきました。
率直に言うと、感想書くのすんごい難しい!笑
何故かと言うと、私自身がまだこの物語をまったくもって理解しきれていないからです。なんでも理解した気になるのは良くないですがここまで理解できないのもそれはそれで恥ずかしい。海外戯曲に対する慣れもあまり無いもので。
以下、未見の人におすすめしたいというよりは、見た人向けに向けて私はこう思ったよ〜んという感想です。もう上演終わったしね。
なんの前情報も入れずに行ったので、初めはひたすらスザンヌにイライラしてました。なんなんだこの女……。
こっちがイライラしてたらそれまで比較的穏やかだった(なんとか怒りを抑えていた)ジャン=ジャックがこちらの気持ちを代弁するかのようにキレてくれてスカッとしました。
スザンヌって本当にすごい女で、何を言われても動じないし、わがままだし、人の話は聞かないのに自分の意見を突き通す、しかもそれがなぜか許されちゃう。とてつもない魅力を持ち合わせているんですね。
私は初め、ジャン=ジャックが警察を呼ばないことに対してなぜだろうという気持ちが拭えませんでした。まあそうすれば物語は強制終了してしまうので作劇としては理解できるのですが、見知らぬ女がいきなり自宅に侵入して居座っても警察を呼ばないのはかなり変じゃないか?と思ってしまい……。
しかし結局許して家に置いておき、いつの間にか結婚まで考えてるし。なんでだ。
私はどうしても海外作品の「突然の恋愛」に対してなんで?待って?いつから好きだった?とストップをかけたくなるのですが、突然だと思っているのは私だけで、慣れたらその辺りも嗅ぎ分けられるようになるのでしょうか……。
それとも、何度も段階をふむのは日本式恋愛で、海外ではそうでもないのかな。
ロミジュリも、ロミオとジュリエットがお互いどうやって好きになったのかは特に書かれてないし……運命とでも呼ぶべきエネルギーで突っ走る若い男女。
ジャン=ジャックは135人の女と関係を持ち、それをメモランダム……備忘録に記録するだいぶ異質な男です。ジャン=ジャックがスザンヌを警察に突き出さなかったのも、スザンヌの魅力うんぬん以前に「女だから」というのがある気がしてきました。男だったら即通報してそう。偏見ですけど。
観劇後、メモランダムの公式ホームページを見たら【普遍的な愛の話】と紹介されており、えーそうなのかな……と首を傾げてしまいました。根本的に価値観が違うんだな。
ひとつ抑えておきたいのは、価値観が違う(賛同しかねる)といっても、それが物語のマイナス評価に繋がるわけではないということ。
むしろ違うからこそ面白い!
ジャン=ジャックもスザンヌも、文化圏が違うこともあってかなり私とは違った思考回路をしており、発言の真意を掴めないことが多いのですが、それらに頭を巡らせることが楽しい。
私はジャン=ジャックがスザンヌに惹かれたことについてストックホルム症候群のようなものかと勘ぐったのですが、実際にはその逆で、スザンヌが居座っている間ジャン=ジャックは出歩いていた訳ですからね。監禁されていた訳では無い。
暗転して、次の場面にうつった時には態度が軟化したりと、そうなったきっかけが特に描かれていないので、なかなか考察の余地が多いです。我々観客に見えないところで交わされた愛の言葉や、重ねた身体もあったでしょう。そうした引き算、余白の美学みたいなものがこの戯曲の魅力でもあるのでしょうか。
さて、ここまでジャン=ジャックとスザンヌの「わからない」部分についてつらつらと書いていきましたが、「わかる」ところももちろんあります。
それはスザンヌが、自分とジャン=ジャックの結婚生活は失敗するに違いないと確信しているところです。スザンヌにぞっこんのジャン=ジャックには申し訳ないですが、私も2人の結婚生活は絶対にうまくいかないだろうと自信を持って言えます。
それは突然仕事を辞めて外界との関わりを絶とうとするジャン=ジャックの極端な思考、ゴーイングマイウェイの極みのスザンヌの奔放さ、それぞれに言えることですし、危ういバランスで成り立つ愛は、一度崩れたら跡形もなく壊れてしまうでしょう。
お互い結婚生活が向いてないし、その中でも特に相性が悪いだろうな〜……という。ここまで書いた文を読み返すと私がかなり彼らの恋愛に対して否定的な姿勢になってしまいましたが、それは私が恋愛に対して非常に冷めた人間だからであり、恋をしているうちはみんなどこかおかしくなっているのが正常なのかもしれません。そういった意味での「普遍的な愛」と言えるかも。
ただこれは一度観劇して安易に結論づけるにしてはかなり危険な解釈で……演劇って難しくて、面白いなあ。
今回は朗読劇ということで、別府さんもスザンヌ役の汐谷友希さんもお互い手には台本を持っていましたが、ただ椅子に座って読むスタイルではなく動きもつけていましたし、台本に目を落とす時間も少なかったので、かなりスタンダードな演劇に近い形でした。
場所はすべてジャン=ジャックの部屋の中ですが、途中ちょっとした家具の移動などもありましたし。
その際、黒子がサンタ帽を被っていてジワジワきました。公演日がクリスマスイブだったからでしょうけど、そんな……急にクリスマス感をアピールされても……笑 ロビーのスタッフが被ってるのは微笑ましく見てたんですけど、まさか舞台上でもそうだとは。
終演後、サイン会がありました。別府さんに「ジャン=ジャックの怒りの演技が良かったです、言ったれ言ったれ!って思ってました」と素直すぎる感想を伝えたらニッコニコしながらサインを書いてくれて良かったです。
「フォロワーの推し」には何度も会ってきましたが、毎度むずむずとしてしまいます。(リアコとかは関係なく)友達の彼氏に会う時のようななんとも言えない照れくさい気持ちになるからです。
別府さんはとても小さい顔に長い脚、すらっとした体型で、舞台を降りても声が大きく、衝立越しにも会話が聞こえてくるほど元気な方でした。
またの機会に、と定型文のようなお別れをしてきましたが、お世辞ではなく自担と共演してくれたらかなり嬉しい俳優さんだなと思いました。
サイン会は別府さんのみで汐谷さんとはお話していないのですが、ファンの方と談笑されている汐谷さんがめちゃくちゃ可愛くて、こんな可愛い方にイライラしまくりでごめん……と謎の罪悪感に襲われました。いや、汐谷さんではなくスザンヌなんですけど。
別府さんが特撮出身俳優ということで、サイン会の列に男性ファンとか特撮の痛バを持ってきてる人がいたのが新鮮で興味深かったです。特撮現場は通ってきていないので……。
メモランダム、再演されたらまた行きたいなあ。違う俳優さんだとまたアプローチ変わるだろうし、わからない部分が少しはわかるようになるかもしれないし。
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