痛いところを突いてくる人は痛みを教えてくれる人
おそらく、気づいているんだろうな。でも、きっと。わたしが気にしていることでもあるから、言わないでいてくれているんだろうなぁってことがある。
ささいなコトだから、単に気づいてないだけかもしれないのだけど。よく見てるし、見られているなぁっと感じることも多い。
だけど、ときに。
そっとしてほしい痛いところを突いてくるひとがいる。
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「めっちゃ痛そうやん。」
キャラメルポップコーンのふくろを渡したとき、そう言われた。
「痛そう? 甘そうじゃなくて?」
「いやいや、こっち。」
そういって、キャラメルポップコーンをもっていた、ばんそうこうを何枚もはっていた私の指先をさわった。
あっっと思ったときには、遅かった。
「ちょっと待ち。右手ぜんぶ、ガサガサやん。」
バレてしまったかっと、うなだされる。
バレたことは、わたしにとって、ふれてほしくない痛いところだった。
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手荒れがひどくて、悩みのタネだった。とはいっても、もう1年ほどの付きあいの手荒れだ。どうしたらいいかもわかっている。ぬり薬もある。
たまに、荒れすぎてしまうことをのぞいたら、ガサガサしているのはいつものこと。
ホルモンバランスやストレスによって、律儀なほどに手荒れとして、ココロとカラダの状態をおしえてくれる。いまでは、バロメータのようなものでもある。
このときも、ちょうど荒れてしまっていて。ピリピリと痛む指先に、ばんそうこうをペタペタとしていた。
それでも隠しきれないところがあるから、なるべく他の人には見せないようにしているつもりだったのに。うかつだった。
わたしの指先をみながら、うー痛そうって顔をしかめてから。
「ちゃっと治さないとダメ。」
柔らかい声色だったけど、目は笑ってなくて。なんだかとても悪いことをしているキモチになって、目をそらしてしまった。
自分のことなのに、言い訳したくなる。関係ないじゃん。わたしだって、キレイな指先ならいいなって思うけど、仕方ないじゃん。
だって、だって、だって。
たくさんの言葉に埋めつくされそうになりながら、ほんとはココロで思ってた。ちゃんと治さないとなって。
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そこまで気にしていなかったと思い込んでいたけど。引け目を感じていた。荒れている指先を見られないようにしていた。けど、それは一瞬だ。
人は見ていないようで、見ている。
きっと、手荒れにきづいている。その手を隠すように、さっと引いたことにも、気づいていて。わたしが気にしているからと、あえて、触れなかったんだ。
でも。それすらもわかっていて、触れてきたのは何かしらの意味があるはず。
突かれたところは、痛いかったところ。そっとしておいてほしいことなのだけど。
気にしないとダメだよっていう、忠告という優しさだった。
その人に言われてから、やっぱりちゃんと治さないとなって、思い直せた。
薬もこまめにぬって。たっぷり眠って。カフェインをひかえめに。
そうしていたら、ずいぶんとよくなった。まだガサガサしているけど、ばんそうこうをはらなくてもいいもの。
痛いところを、あえて、突いてくる存在は。きっと、自分のことを同じかそれ以上に想ってくれている人なのかもしれない。
口うるさいなんて、思いたくなるときもあるけど。たいせつにしたい。
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