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講演会:絵本作家はたこうしろうさん


第44回 北海道子どもの本のつどい 札幌大会 

「あつまろう 話そう つなげよう」
2023年9月23日  札幌市社会福祉総合センター
基調講演 絵本作家 はたこうしろうさん
主催:北海道こどもの本連絡会

はたこうしろうさんプロフィール

たくさんの絵本を出版されているはたこうしろうさん。絵本ナビで「はた こうしろう」と検索すると180件も関わられた作品が出てきました。
その数からだけでも、とても人気のある作家さんであることがわかると思います。絵本制作では、テクストと絵、両方かかれているもの、絵だけのものなど作品によって違います。江別蔦屋書店でも定番の人気タイトルがたくさんあります。


ここからの講演の内容は、当日聞きながらメモしたものを基に書きました。聞き間違いや私の受け取りが講演者の意図と違う場合があります。
あくまで私が受け取った内容ということでご覧ください。


講演の概要と感じたこと

札幌は取材など含めて3回目とのこと。
今回の講演で読み聞かせとともに紹介された絵本は4タイトル。それぞれの作品のエピソードもたっぷりと。
また、はたさんが長く続けていらっしゃる絵のワークショップについてや、絵本作家としての作品に対する思い、子どもたちに対する思いなどもお話されました。
はたさんの原体験となっている子ども時代の思い出はとても心温まるものでした。
はたさんのお話から、今の難しい時代を生きる子どもたちに、豊かな自然との関りや、誰にも邪魔されることのない解放された自由な表現をする体験をして欲しいと願われている子どもたちへの愛情を感じました。
また、子どもたちへ影響を与える絵本作家としての立場にいることへの責任や覚悟を感じた。

今回取り上げられた絵本

1.『二平方メートルの世界で』

作:前田海音 絵:はたこうしろう
小学館(2021年4月)
はた こうしろう HP :: 2平方メートルの世界で (koshirohata.net)

札幌が舞台のこちらの絵本からスタート。何度見ても胸に迫ってくるものがある絵本です。札幌在住の前田海音さん(当時小学3年生)がご自身の病気と向き合いながら、日々の生活や病院での検査、入院のこと、家族に対する思いなどが描かれています。
 とても小学生が書いた内容に思えない作品。海音さんの深い思いやりや忍耐力、考える力に驚愕します。
 そして人間としての大きさに尊敬の気持ちが湧いてきます。母目線で読んでしまうので、とても切なくもあり。
「子どもノンフィクション文学賞」(北九州市主催)の大賞受賞作品とのこと。それに、はたこうしろうさんが絵を描かれました。はたさんの澄んだ色使い、清潔感のある絵がこの物語を「悲しい話」にせず、一緒に喜びを感じられる作品にすることに大きな役割を果たしているように思える。登場人物の表情もどれも素敵です。

講演の中でこの絵本を描いてから自分がなぜ絵本を描いているのか、子どもたちに伝えたいことはどんなことなのかというようなことを言語化できるようになって来たとお話されていました。そんな契機となる大きな作品だったのだと感じた。
「この世界は美しく、楽しく、生きていく価値がある。人間って捨てたもんじゃない。ざっくり言うとそんなことを伝えたい」とちょっと照れくさそうにおっしゃっていてとても共感。大人にも子どもにもそんな「希望」が大切。希望がなければ生きていけない。


2.『どしゃぶり』

作:おーなり由子 絵:はたこうしろう
講談社(2018年6月)
はた こうしろう HP :: どしゃぶり (koshirohata.net)

はたさんのお子さんがどしゃぶりの雨の中で遊んでいる動画を見せてくれました。
はたさん自身も子どもの頃どしゃぶりの中で遊んだ思い出があるそうです。

子どもには「地球とつながっている遊び」が必要。
「地球とつながっている遊び」という表現がとても素敵。デジタルが悪いわけではないけれどやはり子ども時代に最初は「地球とつながっている遊び」を体験することが重要とのこと、大きく頷きました。デジタルは拡大すると全てDot。でも自然界は葉っぱひとつにしてもとても複雑。
世の中は複雑で簡単に答えが出るものではない、子どもの頃の自然での体験や楽しい遊びの体験がそういうことに対峙する力をつくるのとのお話もまさに私たちの学園の建学の精神「自然から学ぶ」と同じものを感じました。

3.『こんにちは!わたしのえ』


作:はたこうしろう
ほるぷ出版(2020年7月)
はた こうしろう HP :: こんにちは!わたしのえ (koshirohata.net)

はたさんが長いこと続けられている絵のワークショップの核の部分を伝える絵本をつくりたいとの思いから描かれたとのこと。
試行錯誤しながら続けてきたワークショップは、「絵本」でできないことをやる!と考えているそうです。
 現実の世界では自由にできることはとても少ない。だからこそ自由にどんな風にしても良いという体験をしてもらいたい。そのために心が解放される導入や声かけをとても大切にしてることもわかりました。

 大人の不用意なひとことで子どもは絵が描けなくなるということを例をあげて話されました。まさに私たちの仕事の責任を感じさせるお話でもあり、このことは学園の先生たちにもすぐ伝えました。
講演全体の中でも、ワークショップのお話は特に熱い思いを感じ、はたさんの子どもたちに対する責任と覚悟、愛情も伝わってきた。

4.『まいごのモリーとわにのかばん』


作:こまつのぶひさ
絵:はたこうしろう
童心社(2022年3月)
はた こうしろう HP :: まいごのモリーとわにのかばん (koshirohata.net)

なんとも楽しい絵本。童心社の絵本大賞を受賞されたテクストだそうです。モリーのお話をする中でおもいがけず「長くつ下のピッピ」のお話に。
私もピッピが大好きなので嬉しくなってしまいました。

最後に

4冊も絵本読み聞かせ、さらに解説やエピソードをいただき、ラフ画なども拝見。とても充実した内容でした。
ラフ画を見たらあらためてつくづく素晴らしく、なんとセンスが溢れている絵なのだろうと感動。
この記事には書けなかったのですが、詩のおはなしもたくさんされました。
私も詩にも興味があるので勝手に共通項に感じて嬉しくなる。
熱い思いも伝わってきましたが、それと同時に全体的にはとても軽やかでナチュラルな雰囲気が伝わって来ました。
特に熱い思いを感じた絵のワークショップにぜひ私も参加してみたいと思いました。

大変お手数をおかけしましたが、この文章の掲載は、はたこうしろうさんにご許可をいただいております。



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