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共通一次の思い出

 共通一次がセンター試験になり、さらに共通テストになった。今となっては、国語の問題が平安時代ならば、問題作成者は、中古文学会や和歌文学会で知っているあの先生かも知れない、と感じるようになったが、それでもなお、自分が受けた時の気持ちや点数は忘れられない。

 点数が忘れられないのは、同世代なら同じだろう。共通一次を受けたら、自己採点の点数だけで国公立二次試験を受けたし、当時はまだ前期後期などの複数受験機会がなく、一発勝負だったからだ。

 共通一次の第二回(現役時)と第三回(一浪時)を受けた。前から書いているように、高校に入学してから理系科目が壊滅状態だったので、惨憺たる有様だった。社会二科目・理科二科目の1000点満点で、現役時は500点台だったはずだが、はず、と言うのは、点数が信じられなくて何度も計算し直したからだ。浪人時は、771点だったものの、数Iは平均点の113点、物理Iも平均点の55点しか取れなかった。物理は文系平均が限りなくゼロに近く、理系は満点続出だったと予備校の資料で見た。だから、文理合わせて55点だった。他の教科より物理はかなり低かったが補正はなかった。因みに国語は184か186だったが、予備校でチューターに「国語、悪かったね」と言われた。全国ランキング10位に入ったこともあるのに、予備校で上に4、5人いたためだった。

 現役の時は、マークシート試験自体が初めてだったので(模試も全部筆記だった)、つい表紙や中の注意書きから読んでしまい、さらに言えば、マークシートで同じ答えが並ぶと、「まさかこんな筈はない」と自信のない答えをマークシートで選んで適当に書き変えた。また、当時はHの鉛筆でマークをしたが、Hなんて普段使わないから、新品の鉛筆をピンピンに尖らせて行ったら、縦長の楕円を埋めるのにバカみたいに時間がかかった。
 浪人時は、模試で一年間使ってようやく丸くなったHの鉛筆で縦に1、2、3回引くだけでマークできた。マークシートに同じ番号が縦に並んでも動じなかった。

 でも、一番違ったのは会場だった。現役時は大阪市立大学で、まだ建て替え前だったが、空き教室だったと見え、窓ガラスが割れていた。ストーブは巨大な石油ストーブが廊下にあるだけだった。
 自分の座席に座ろうとすると、あまり知らない同級生の女子が飛んできて、「座る前に椅子と机、拭いた方がいいよ❗️埃だらけだから❗️」と言ってくれた。
 ティッシュで拭いたら、かなり積もった綿埃が付いた。あまり使わない生物や物理の実験室でもこうはならなかったなあと思ったので、一年以上使われていなかったのだろう。教室に暖房がなくて寒いし、拭いてもそこら中、埃だらけだし、試験中割れた窓から雪は入ってくるし、鼻水が止まらなかった。
 浪人時は、大阪府立大学の工学部で、セントラルヒーティングのようだった。廊下は寒かったが、教室は暖かく清潔だった。一つだけ困ったのが、女子トイレだった。コの字形の建物の端に教室、もう一方の端に女子トイレ(といっても男子便器がベニア板で隠されてちょっと女子用に改装したもの)があり、とても遠かった。ちょうど生理だったので行かざるを得ず、行って戻ってきたら、教室中、試験監督も含め、私一人を待っていた。びっくりした私は、「お待たせしました」あるいは「失礼しました」とか何とか言って入室した気がする。配布のため、早めに監督が来たようだった。

 ちなみに、現役の共通一次は、同じクラスでも男女別の会場となり、男子は学年ごっそり近くの高校だった。女子の会場では、現役女子の間に同じ高校の浪人生が座った。浪人に女子が少ない時代だったし、そもそもが高校自体、男女比率が決まっていた頃なので、受験会場では男子の方がやや多かった。
 浪人時には、私も現役女子の間に入ったが、その教室全体ではやはり半分強、男子だったと思う。

 浪人時の予備校の判定では、大阪市立大学でも可能だったが、大阪市立大は前年度の結果が共通一次が何点でも、二次で半分落ちていたので、そういう危険のない、大阪女子大学にした。

 合格した時、教務の事務担当者が「おめでとうございます。皆さんは過去最高60倍の倍率で合格されました❗️」と言ったので、皆、ワー‼️と湧き立った。何故というに、前年の倍率は2〜3倍だったからだ。少人数募集の大学はよくこのような隔年現象が起こる。
 しかし、大学に対する評価はさまざまだ。
 まず「そんなに共通一次で点数があったら、何で神戸大や大阪市立大学を受けへんかったん❓」と言われた。神戸大は(母が故郷兵庫は阪大より神戸大の方が上だと言って引かなかったが)文系でも二次試験に数学II Bがあって論外だったし、大阪市立大学は確立二分の一では、女子浪人で絶対国公立と言われていたら挑戦は出来なかった。
 それと倍率60倍且つ予備校資料でニ次逆転がほとんどない大学だったのに、現役生で610点台だったと言った人が2、3人いたことだった。これは予備校が出した合格最低点を下回っていた。
 さらに、驚いたのが、三歳上の先輩の言葉だった。「現役の時、大阪教育大学を受けたって⁉️大阪教育大学は二期校じゃない。大阪女子大は一期校よ❗️」
 大学に一期校二期校の別があったのは知っていたが、よもやまさか一期校だったとは知らなかった。教育大学は教育大で別の立ち位置なので、それが二期校であっても別に気にはしないが、それにしたって……。
 しかし、その大阪女子大学も府立大学に統合され、さらには大阪市立大学と統合された。いやはや。
 
 


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