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燃える氷華(レビュー/読書感想文)

燃える氷華(斎堂琴湖)を読みました。
新刊です。

大宮署の刑事・蝶野未希は17年前に息子の遥希を亡くした。雪の日に、廃工場の冷蔵庫に閉じこめられて死んだのだ。犯人は捕まっていない。
ある日、非番で大宮駅を訪れていた未希は、駅前で発生した車の爆破事件に遭遇。被害者の三上は、遥希の葬儀を執り行なった葬儀社の社員だった。さらに数日後、三上の同僚だった男もまた、大宮駅前で刺殺される。17年前の事件が、時を超えて動き出した――未希は捜査にのめり込むが、思いがけない出来事が彼女を襲う。

光文社「燃える氷華」紹介ページより(上記リンク)

日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品です。
帯には選者のひとりである辻村深月さんがコメントを寄せています。

日本ミステリー文学大賞新人賞は、メフィスト賞や鮎川哲也賞などと比べて基本的に本格テイストはそれほど強くない賞という認識ですが、あらすじを読んで気になった作品は読んでいます。
一昨年の、
・クラウドの城(大谷睦) や
四年前受賞作の、
・暗黒残酷監獄(城戸喜由) などが
自分の読んだなかでは記憶に新しいです。
「暗黒残酷監獄」は本格寄りの作品でした。
もう少し遡ると、葉真中顕さんの「ロスト・ケア」もこの新人賞の受賞作のなかで印象に残っている作品です。

さて、「燃える氷華」です。
本書を手に取ったきっかけとしては、なんとなく最近警察小説を読んでいないなと思っていたタイミングに見かけたこと、それと、あらすじにあるかつて事件で我が子を亡くした女刑事という主人公像に興味を惹かれたことです。

17年前に息子を亡くした女刑事は物語が始まった時点で51歳です。奥付を見ると作者の斎堂琴湖さんもそのくらいの年齢のようです。

私自身、子を持つ親であり年齢は40代です。徐々に気力体力の衰えを感じる瞬間があることは否めません。ただ、気持ちの持ち様しだいで、いわゆる「おじさん」であれ「おばさん」であれ、身体を張った「物語」の主役はまだまだ勤まるはずなのでしょう。本書で奮闘する蝶野刑事のように。

物語から刺激を受けたとき、「でも、これはフィクションだから」と言うのは簡単です。が、まずは自分の気持ちですよね。何をするにしても年齢ばかりを言い訳にはできません。読了後、そんなことを思いました。

ただ、やはり子供が事件に巻き込まれる展開は重たいです。苦手なかたはご注意ください。


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