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Notionで作るコーピングリスト

適応障害

去年適応障害を患って医者にかかった時に、コーピングという概念を教わった。

簡単に言えば自分が辛い時に少しでも気分を戻してくれるもののことで、例えば「温かいお茶を飲む」「深呼吸をする」など多岐に渡る。そしてこれは適応障害ではなく単に落ち込んだ時にも有効であり、リストにしておくと良いということだった。

しかしコーピングリストは真っ当に作ると数十個から百個にもなる。それをリストにして実際に見返すだろうか、と疑念を持っていた自分はこれまで作らずにいた。ただスマホ依存気味の自分はコーピングの種類が画面上に偏っていたし、画面を見ている時にこれが本当に今自分を楽にしてくれているとも考えていなかったので、コーピングリストを作成してより良い運用をすることで、自分の感情をより正確に捉えた対処が可能になるだろうとは考えていた。

Notion

そこで出会ったのがNotionだった。今年に入ってからタスク管理に利用していたNotionで利用することで、必要とするときに必要なものがすぐにわかるコーピングリストを作ることができるのではないかと思った。

Notionはあまりにも多機能なアプリなのでここで全容を説明するのは難しいが、今回のコーピングリストを利用するにあたりもっとも重要なNotionの機能は、以下のようなデータベースが作成できることだ。

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左側からリストの項目名、現在の自分の状態、今したいことが記されている。右側二つの項目はタグになっていて、検索に使用する。

検索をかけた画面は以下のようになる。実際には上の画像のようなデータベース表示ではなく、以下のようなギャラリー表示で運用していく。左上の「コーピング一覧」の右側の「一人で幸せになりたい」の部分が「ビューを選択する」という機能で、タグのフィルタ方法やコンテンツの並び替えの設定を保存しておける。この場合は2枚目の画像のように、「したいこと」が「満たされたい」タグ、かつ「状態」が「人と関わりたくない」タグであるものを検索している。

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また以下のように複数の条件をorで並べることもできる。

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ちなみにNotionのタスク管理など他のページでは画像を入れるなど手間のかかることはあえてしないようにしているが、辛い時は文字を読めなくなる場合があるのでここでは全てに画像を入れて一目で内容がわかるようにしている。これらの画像はNotion上に事前にアップロードされており、'cake'などで検索すると多数ヒットする。上記の画像は'afternoon tea'で検索した。また基本的に西洋人が画像を用意しているらしくアジアの画像は少ないため「囲碁」だけは自分で追加した。画像がいらない場合は最初のデータベース形式の他、リストビューなど名前だけの簡易な形式でも表示できる。

ページ表示

またNotionの面白いところはこれら一つひとつの列(この場合は「スイーツを食べに行く」という列)がページとして機能するところにある。例えばこの「スイーツを食べに行く」をクリックすると以下のようなページが開く。

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このページは最初に紹介したシートの列部分がページとして表示されたものなので、名前やタグ等の項目はそのまま表示されている。そして'Add a comment...'までの部分が列をページ表示した際の必須の表示項目で、それより下はただのノートのようになっている。このページではその部分に「お店リスト」を貼ってみた。

この「お店リスト」は他のページで運用しているもので、本来はレストランなどを含んだお気に入りのお店リストなのだが、ここではそのリストを「イートインスイーツ」で検索した状態で表示している。これをここに貼っておくことで、リストからお店を選んで行くだけで幸せになれるようになっている。もちろん他のページでは空白のところも多いし、以下のようにシンプルなコメントでも構わない。

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フィルタの種類を作る

現状のフィルタ方法は以下のようになっている。タグを論理的に組み合わせて検索結果を作成することもできるが、使用時の利便性を考えまず自分がどのような感情になったことがあったか、またその時に何をしたかったかを思い出し、それをベースに作成している。

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ここは残念ながら文字で記す他なく、また詳細にするほど多くの項目を読まなければならないという問題が発生している。全く文字が読むことができなくなった時のため、このリストのデフォルトの表示は以下のように全ての項目を精神の推定使用量が大きいものから表示するようになっている。コンテンツを上から見ていって今の自分にできることがあったらそれを実行する、という運用を想定している。

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それほど辛い時は精神使用量の小さいものを先に表示した方がいいのではないか、という向きもあるかもしれないが、その場合は以下のような比較的不健康なコンテンツが優先されかねないので現状の方がより良いと考えている。

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作成時の注意点

項目をリストアップする際には個人的に以下のことに気をつけた。

1. 繰り返し可能であること

「コーピングリスト」で検索すると「ニューヨークに行く予定を立てる」のようなものが含まれている場合があるが、ニューヨークへ行く機会はそれほどないため、このようなものを含むとリストの運用効率が落ちるか、あるいは高い頻度で更新する必要が出る。こういったものを含まないようにするか、例えば単に「掃除する」と書くところも「部屋で一番汚いところを探す」として常に違うところが掃除されるように設定しておけばより効率的に繰り返しが行われる。自分の気分が落ち込み能力が低下した時のため、より丁寧な案内が望ましい。

2. 習慣ではないこと

「ジムに行く」はコーピングリストによく見かける項目の一つだが、自分にとってジム通いは毎朝の習慣であって、コーピングリストに載っていてもそれを見てから行動しようがないので(その日は既に行っているので)リストには載せなかった。「ヨガ」は毎週2回の習慣ではあるが、リストに載っていれば更に追加して行くことも可能であるため記載している。

3. ある程度の時間がかかるものであること

ここは悩ましいところであったが、「深呼吸する」「骨盤の位置を整え丹田を意識する」など瞬時に行えるコーピングは確かに辛い時にこそ思い出されるべき事項ではあるものの、どちらかと言えば習慣として習得されるべきものであって、習慣であるならば2の条件に従ってここに記すべきではないと判断した。まだ習慣になっていないものに関しては毎朝のToDoに入れるなど別の方法で習慣化を目指している。

改善の余地

なお、このリストはまだ作成中であり、100が目安とされる項目もまだ30と少しにすぎない。また今後実際に自分の気分に応じた形で運用した際には、変更を加えるべきところが出てくると思われる。例えば以下のように「精神が辛い」で検索した時に、現状ではいくつかの単純作業もリコメンドされるようになっている。しかしこれまで実際に辛かった時に行っていたのは「リーゼを飲む」「寝る」「TikTokを観る」のみであり、「靴を磨く」という選択肢を勧められた自分が本当に靴を磨きたくなるのかは今のところわからない。

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タグに関しても、現在は「状態」と「したいこと」の2つのみでフィルタさせているが、他にも「家でできるかできないか」「どれほどの幸福を生むか」「どれだけの時間が必要か」などの振り分けが考えられる。しかし初期段階から項目を増やすと運用が難しくなるため現在は保留にしている。

まとめ

コーピングリストは作ることが目的ではなく、実際に自分を不幸から救わなければ価値がない。しかし今回作成したベースのリストに今後自分を幸せにしてくれるものを追加していくことで、自分の感情のコントロールが更に容易になるはずだ。

不幸を避ける道標としてのこのリストを育て続け、進む道をより明るく照らせられればと思う。

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