SLO/SLIが必要だと思う理由

SLO/SLIが必要だと思う理由は大きく以下3つあります。

・ITサービスの特性からサービスの品質を見える化する必要があるから。
・SLAのメリット、必要性が大きいと考えていて、そのためにまずSLO/SLIの安定が必要だから。
・SLO/SLIをベースに開発サイクルを回すことが高品質なサービス提供につながるから。

ITサービスの特性からサービスレベルを見える化する必要がある

ITサービスの品質とは目に見えないためサービス利用者の主観でしかなく、
満足感、ユーザーの期待を上回ったか下回ったかという個々の判断軸でサービスの価値が評価されると理解しています。

これに対して数値化により可視化する事で客観的に評価する「努力しています」「頑張っています」などの曖昧な表現ではなく、ユーザーにとって、より納得感のある表現で伝える事ができ、ユーザーの評価に繋がると考えています。

また市場からは、サービス提供者のブランドやイメージなどの定性的な満足感と同時に定量的な価値が強く求められると考えています。

SLAの必要性とメリットについて思う事

デジタル化が進み消費者のITサービスへの理解と依存が加速していく中でSLAは市場の要求として、より強くなると考えています。
市場の要求に合わせ多くのサービスでSLAが導入され、その結果SLAが当たり前になり、SLAがないサービスは契約自体されない、市場の選択肢に入れない状況になると考えています。

また、提供者側のメリットとして、SLAとして顧客に対してサイトの信頼性を約束できる事が主に以下2つの観点で大きなセールスポイントになると考えています。
反対に、前述の通り約束できないことが大きな損失になると考えています。

・サービスそのものの安定性や技術力の価値表現
・サービス提供者としての覚悟の表現

また、導入後は利用者の不安を取り除くための有効なツールとして機能すると考えています。

利用者の不安を取り除くための有効なツール

利用者の不安を取り除くための有効なツールについて詳しく書きます。「Google の新しい専門職 : CRE が必要な理由 」に以下の様に記述されています。

人は、自分の環境を管理したいと進化的に思ってしまうのです。これは、生き抜くための特性として本当に価値のあることです。そのため管理できないと感じると、あまりいい反応を示さなくなります。危険度が高ければ高いほど、管理できないことに対して、より大きく反応してしまいます。

引用: https://cloudplatform-jp.googleblog.com/2016/10/google-cre.html

これに対しSaasというビジネスモデルの中で信頼性は以下の様な関わりをすると解釈しています。

サービス利用のメリットと引き換えに、顧客自身でシステムをコントロールする権利を犠牲にしている。
顧客自身でコントロールできない事は常に不安で、許容できる不安を超えると離脱する。

サービス提供者は導入から活用までユーザーに安心してもらう必要があり、手段として、サービスレベルという数値を客観的で分かりやすく表現する事が有効な材料の一つだと考えています。

上記の様にSLAの導入は必要性、メリットが高い一方で、導入するまでにはSLO/SLIの内部運用が必要だと考えています。

サービス運用する開発組織への影響

サービスを運用していく上で、自分達の提供するサービスレベルを把握する事で、最低限のコストで価値提供とサイト信頼性を最大化する事が実現できると考えています。

コストについて

チームを運営していく上で以下の様な見え難く大きいコストはたくさんあると認識しています。

・利害関係の調整コスト
・コミュニケーションコスト
・チームの業務マネジメントコスト

チーム内とチームのステークホルダーで、原則となる指標を共有する事で意思決定の高速化や自己組織化されたチームへの手助けになりコスト削減につながると考えています。

価値提供とサイト信頼性

価値提供を最大化するには確度の高い仮説を高速で検証していく必要があり、その時にサイト信頼性を把握していないと仮説検証自体がユーザーにとってペインになったり正しい検証ができなくなってしまいます。

また、サイト信頼性自体の改善を含むプロダクトの施策選定時の意思決定の手助けになり結果、開発スピードが上がると考えています。

最後に

これまでの話は、扱っている領域や提供しているサービスの種類がシステムに近いだけで、顧客心理を想像した考え方や問題の解決方法としては、顧客がサービスを利用する事で達成したいゴールまで搬送する「カスタマーサクセス」や、ユーザーが機能活用する上での問題解決をする「カスタマーサポート」と近いCRE(顧客信頼性エンジニアリング)の理解に近いと感じています。