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身近に感じる「ビックモーター事件」、真の経営者は本当に「人」を大切にする(最後に)

 ビッグモーター事件を3回取り上げてきました(1回目2回目3回目)。とても気付きとして良い(悪い)題材
不祥事防止のために自分の会社のミッションやビジョンを伝えることが大切だと気づく経営者。しかし自分の会社のビジョンやミッションに共感できないZ世代や若者たち。どれだけCSR活動や、コミュニケーション、コンプライアンスの向上などに力を入れたとしても、逆に仇になるケースは多い。

CSR活動など企業の信頼や評判を高める施策が逆効果になることを知ってるか?

 CSR活動やコミュニケーション、コンプライアンスの向上は、適切な内容や方法で行われる必要がある。そのためには、自社の事業やブランドに見合ったCSR戦略を立てることや、消費者やステークホルダーの声を聞くことや、従業員や取引先と協力することなどが重要である。

  • CSR活動が社会的な問題やニーズに対応していなかったり、自社の事業やブランドと関連性が低かったりすると?

  • CSR活動が自社の利益や宣伝目的で行われていると感じられたり、CSR活動と実際の経営方針や行動が矛盾していたりすると、消費者やステークホルダーからの反応は?

  • コンプライアンスの向上が形式的だったり、表面的だったりすると、、、
    また、コンプライアンスの向上が過剰だったり、厳格だったりすると、従業員や取引先からも不満を招く。

現場(従業員)がしらけてしまうことを、肌身で感じられているか?

 過剰な文問やPRはしらけてしまう、適切かつ正直でなければならない。身の丈という言葉がある通り、背伸びしてはいけないのである。過大な自己PRで偉そうにしている人間が嫌われる原理と同じである。

 エンドユーザーもCSRや環境対策などのESG経営を自社の宣伝やプロモーションに活用していればどこか怪しいと感じとってしまう、つまりは利益至上主義に取られてしまう。従業員もすぐにわかってはいるが、やれやれと思っている場合もある。

大切なのは社員をどれだけ大切にしているかである。

 昨今、人的資本経営が大切と叫ばれている。今さらのことなのか、社員をどこまで大事にしているか経営者の方から伝わってこないと、信頼やモチベーションを築き上げるのは厳しい。日本の人口減少と相成り、人手不足がクローズアップされてのことなのか、これも同様に企業の本気度か見掛け倒しかが試される。例えば年齢を重ねると早くやめて欲しいと願う企業、そんな会社に貢献しようとするでしょうか?

  • 社員を大事にしているかどうかは、経営者から伝わってくるメッセージだけでなく、実際の行動や制度でも示されなければならない。

  • 社員を大事にしているかどうかは、年齢やキャリアに関係なく平等に扱われなければならない。

  • Z世代や若者も、年齢を重ねると早くやめて欲しいという雰囲気を醸し出すと、社員はその会社に貢献しようとは思わなくなるだけでなく、不満や不安を抱くことになる 。

  • 年齢を重ねると早くやめて欲しいと言われることは、高年齢者雇用安定法や労働契約法などの法令に違反する可能性も出てくる 。

 社員を大事にしているかどうかは、経営者の方から伝わってこないと、信頼やモチベーションを下げさせるだけでなく、法的なリスクも生じることがあります。そのため、経営者は以下のような対策を行うかも知れない。

  • 社員に対して明確で正直なメッセージを伝える

  • 社員に対して適切な報酬や福利厚生を提供する

  • 社員に対して公正で柔軟な人事や評価制度を適用する

  • 社員に対して多様なキャリアや教育の機会を提供する

  • 社員に対して健康や安全の配慮を行う

ただし以上の事は、これも見掛け倒しと誤解されないように行わなければならない。

最後のまとめとして東レの記事を。

 東レの社長いわく「まさに雇用こそ、真のサスティナビリティー、日本的経営に回帰せよ」と言う記事にとても共感する。
ポイントをかいつまんでまとめて見ると、

・世界は新型コロナウイルス禍からの正常化が進む中、企業活動の面では回復が非常に遅れていると指摘。
・その背景には、欧米の金融資本主義的な考え方があると。つまり、事業が傾けば従業員を解雇し、仕事がなくなったら会社も清算するという欧米手法。
・このような考え方は、従業員や社会に対する責任感や信頼関係を失わせるだけでなく、市場や需要の回復も遅らせるという悪循環を生み出している。
・そこで、日覺氏は、「まさに雇用こそ、真のサステナビリティー」とうたっている。
・日覺氏は、雇用を守ることが、従業員や社会に対する責任や信頼を築くことにつながり、また市場や需要の回復も促すことと。
・そして「日本的経営に回帰せよ」と呼びかけているが、日本的経営とは、長期的な視点で経営を行い、従業員や取引先などのステークホルダーとの協調や調和を重視する経営スタイルだと。
・日覺氏は、日本的経営が持つ雇用安定や人材育成などの強みを再認識し、欧米型の金融資本主義的な経営から脱却することが必要だと。

東レ・日覺氏「まさに雇用こそ、 真のサステナビリティー」(日経ビジネス)

 どうでしょう、ここまで言ってくれる経営者だと安心して働けるし、自然とモチベーションも上がり、不祥事など起こさないのではないでしょうか?
自分達がやっていることの理解、社会への還元、役立ちなど。

 ビックモーターの不祥事から私が導かれた結論は、やはり"人"であったのです。

(終わり)


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