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畜肉の飼育環境と水産物の資源状況を開示する|Whole Foods Market

世界の食トレンドと消費者が食に求める3つの役割で紹介した通り、食事が栄養補給から自己実現への手段へと変化するなか、消費者が食に求める役割は、主体的な選択、コミュニティへの帰属、パーパスの発見の3つに分けることができます。

このうちの「主体的な選択」をしたい消費者のニーズを満たしてくれる小売店の事例には、どのようなものがあるでしょうか? 本記事ではアメリカのホール・フーズ・マーケットの取り組みを紹介します。



1. ホール・フーズ・マーケットとは


ホール・フーズ・マーケット(以下、ホールフーズと記載)は、アメリカのテキサス州オースティンを拠点に、1980年に創業したスーパーマーケットです。2022年10月末現在でアメリカ国内に513店舗を展開し、カナダやイギリスにも進出しています。

まだ日本には進出していませんが、イメージは成城石井や紀伊國屋のより大きな店舗や、兵庫県で展開するヤマダストアーのような、比較的高級でグルメ志向の消費者から高い支持を得ている食料品小売店です。僕も渡米時には必ずお世話になる、大好きなお店です。

ホールフーズのシーフード売り場|2018年6月に筆者撮影


ホールフーズの創業者で共同CEOのジョン・マッキー氏はコンシャス・キャピタリズム(意識的な資本主義)の提唱者としても知られ、「世界でいちばん大切にしたい会社」という著書や、「社会はビジネスを必ずしも必要としないが、ビジネスは社会を必要とする」という言葉を残しています。

彼の理念や言葉をそのまま体現しているかのような店内には、地元で採れたオーガニックの生鮮食品をはじめ、一般的なスーパーマーケットとは一線を画す商品が並べられています。

本記事ではそのなかでも消費者の主体的な選択を応援している象徴的な取り組みを紹介します。

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世界各国でのフィールドワークをもとに、最新の食トレンドと消費者インサイトや、日本の食産業が進むべき未来とそのステップを、国内外の豊富な事例…

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