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うつ病になった自分が、うつ病に対する会社(上司)の無理解が、いかにキツイことなのかを伝えたい。

約3年前、私はうつ病になりました。その時のことを思い出すきっかけがあったので、当時のことを振り返ってみたいと思います。

それは突然やってきた・・・

2017年12月、私はうつ病を発症しました。
それは、本当に突然でした。朝、起きると体が動かず、会社へ行けなくなってしまったのです。何もやる気が起きず、ただただネガティブな気持ちに苛まれていました。
少し休めば会社いけるようになるだろうと考えていたのですが、3日経っても状況はよくなりません。これはおかしいと思い、近くの心療内科に行くことにしました。結果、医師から「うつ病」だと診断されました。1~2ヶ月の休養・加療が必要との判断を受けました。

まさか!自分がうつ病になるなんて。

医師からの診断を受けたときの気持ちは、複雑でした。まさか自分が!という驚きと、自分の不調の原因が分かった安堵感と、、、言葉にはできない気持ちでした。しかし、その後すぐに不安が襲ってきました。

「会社に伝えたらどうなるだろうか、、、」

私は、2017年10月にマネージャー職へ昇進していました。私の勤めていた会社は少し変わっていて、マネージャーへ昇進するためには、役員をはじめとした経営層や他部署の役職者にプレゼンをし、承認されて昇進できるというシステムでした。
私も、2017年9月にこのプレゼンを無事通過して昇進しました。プレゼンの準備はかなり大変で、それこそ寝ずに準備したくらいです。こんな大変な過程を経てやっとの思いでマネージャーに昇進したのに、たった2ヶ月でうつ病になるんて・・・これまでの努力がすべて無意味だったのではないかと感じていました。

上司から言われた衝撃の言葉

上司へうつ病になった旨を伝えることにしました。ただ、どうしても自分で連絡することができなかったので、妻に間に入ってもらうようにしました。上司へ伝えると休むように言われましたが、人事部には私がうつ病になった旨は伝えたくないとのことでした。
私がうつ病になってしまった一番大きな原因は、働き過ぎです。うつ病になる直前の半年間、平日は1時まで働き、土日も仕事をしていました。残業時間は120時間を超えていたと思います。そんな生活をしていたせいか、慢性的に疲労感は取れず、常に何かに追われている感覚があり、自分で自分をコントロールできていませんでした。こんなハードな労働状況にあったことを上司は把握しておらず、仮に、過労によりうつ病が発症したことが会社に知られたら、、、当然、管理監督者としての責任を問われるだろう、おそらく上司はそのようなことを考えたに違いないと思います。そして、私は妻を通じてこう言われました。「3週間以内に復帰して欲しい。そうすれば人事には伝えない。3週間以内に戻らないと、元のポジションには戻れないし、出世の道もなくなる。」と、、、

自己否定感と焦り。出口の見えないトンネルを歩いているようだった。

その当時の私は、上司から言われた3週間という期限になんとか復帰しようともがいていました。復帰までのタイムリミットを設定することは、前に進むために必要なものだと考えていました。目標達成のためは、具体的な期日を決めて実行することが大事だと言われているからです。ところが、この期日というのが、逆にプレッシャーになり、自分自身をさらに追い詰めていました。
うつ病になる人は、自分自身に対して過度に責任を感じてしまう傾向があるらしいのですが、期日までに復帰するという目標が達成できない自分はダメな人間だ、という風に思考が進んでいました。
うつ病になってからは、とにかく自己否定感と焦りに苛まれ続けました。どうしてこんなことになってしまったのだろう。うつ病になった自分は価値がない。みんなに迷惑をかけてしまい申し訳ない。早く復帰しなかければ。など自分を否定する多くの言葉が浮かんでは消えていきました。そしてとにかく寝ることができません。ちょっと寝ることができても、仕事の夢を見て目が覚めてしまいます。自己否定、不安、焦りを繰り返し、出口の見えないトンネルに入った気分でした。

うつ病治療に期日を設定してはいけない。

結果的としては、3週間での復帰は無理でした。しかし、達成できなかったことで、気持ちが楽になりました。自分を縛っていたタイムリミットから解放された気分でした。その後、本当の意味でやっと休めるようになったんだと思います。もし仮にあの状態のまま、無理に復帰していたら、おそらくうつ病を再発していただろうと思います。うつ病の治療においては、本当に焦りは禁物だと実感しています。
うつ病治療の第一歩はしっかりと休むことです。うつ病になって約一ヶ月の間は、会社から求められた期日に対して焦りがあったため、しっかり休むことができませんでした。
会社から言われた期日までに復帰できなかったことで、結果的に精神的にも少し楽になりました。また、年末年始の休暇が自分の休職期間と重なったこともプラスに働きました。自分だけでなく、会社がオフィシャルに休みになったので「働けていない」という焦りが和らぎました。
うつ病治療の休むとは、ただ単純に体を休めるだけでなく、心身ともにしっかりと休養することです。そのためには、家族や会社という周囲の協力や理解が不可欠です。私の場合は、上司のうつ病に対する理解が浅く、私に早く復帰するようにプレッシャーをかけてしまいました。上司には悪気はなかったとは思いますが、私にとっては、「早く復帰しなければ」という焦りがうつ病の治療にマイナスに働きました。うつ病患者への接し方は治療において非常に重要な要素だと痛感しています。

うつ病に対する無理解は人を潰す。

もし、上司にうつ病に対する正しい知識があれば、復帰を焦らすようなプレッシャーはかけなかったと思います。うつ病は他の病気とことなり、外から見てもその辛さはわかりにくいものです。上司は、心の底では、「うつ病なんて気持ちでなんとでもなる」と考えていたのだと思います。うつ病に対する無理解がそこにあったんだろうなぁと思っています。
結局、その会社は退職し、今は某在宅医療クリニックで働いています。今は本当に人的にも環境的にも恵まれていて、感謝の気持ちしかありません。うつ病を患ったことがあると転職活動で苦労すると聞いていましたが、全くそのようなことはなく、私の病歴を理解した上で、快く受け入れてくれました。また、私がうつ病になる直前のハードな働き方をしていたときに、当時の部下たちは私を本当によく支えてくれました。そして復職したときもあたたかく迎え入れてくれました。当時は本当にハードな働き方で、マネージャーとして部下を管理しなければならいのにも関わらず、部下がサービス残業をしていたことを見て見ぬ振りをしていました。そのことは今でも心のトゲとして残っています。もしも、自分ではなく自分の部下が潰れてしまったいら、、、考えると恐ろしくてたまりません。本人はもちろん、その家族も大変な思いをさせるところでした。ありがたいことに元部下とは今でも交流があります。部下が一生懸命働いてくれるのは本当にありがたいことですが、だからと言ってサービス残業を見過ごしたりするのは、「マネージャーの甘え」だと強く思っています。マネージャーの管理力不足を部下に押し付けているだけだと。自分はそんなマネージャーには絶対なりたくありません。
自分がうつ病になって、いろいろなことを学べました。自分は人の気持ちや状況に寄り添える人間でありたいと強く思っています。