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原宿 1980 夏_1


  No.1clock

     ガッ プッシュー

原宿 はらじゅくー

ホームに降りたつ。

つっ あっつー。

アタマの黒薔薇ジャコーのグリースが38度超えの夏の灼熱に溶かされて

キャッツアイのグラスをナメて目に染み込んでくる。

この感じこの感じがいいんだよね。

5センチ幅の赤黒の横縞のTシャツ、自力で300発以上ビョウを打ち込んだダブルの革ジャン背中には手書きのドクロマーク、ポッケにはジッポーにハイライト、ビョウ打ちのベルトに鎖につながれたビョウ打ちの皮のサイフをヒョウ柄のコームと一緒にブラックジーンズの右のケツに押し込む。

そしてあしもとは赤黒のソックス、それに蛇のように頭をもたげたデッドストックのトンガリ靴。

コレコレこれじゃないと駄目なんだよね。

頭中にはロックンロールが流れエイトビートを刻みながらホームの階段をペンギンのように足をハの字にして登ってゆく。

コレこのダサさがカッチョいいんだよね。

暗い通路を抜けていくと改札が見えてくる。

おっとその先にはちょっと怖めのテディボーイにテディガールが集まってる。よく見るとウチのチームのメンバーでした。

オサムにトモジにカノウにテツヤ、トモコにアッコにメグミにカズコ、うーん昭和ティストのネーミングですな。

ヨッお待たせ。

そして全員とワンツースリーホォーのロックンローラーの握手。

テンションが上がってくる。今日もみんなバッチリ決まってるぜ。

ハイライトを一本クチにくわえる。

横からオサムが片手でジッポーの火を指しだす。

フー、、、

よし行こうぜ。




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