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霊的開眼とは何か あとがき

なぜか、こんな形で終わるとはおもっていなかったので、意外な結末となった。
未完である。
当初、本にしようと書き出したのだけれど、出版社から出版を断られたことから、ブログのままで、出そうと残り三章を掲載した。ブログではあまりに長すぎるので、不適当なのだけれど、本にしようとした原稿と考えてもらっていい。それでも、これからも探究は続くということだ。
8章はすでにブログで発表したものを転載している。

https://note.com/sodou2021new/n/n6e1b5a91d979

要約すると

霊的開眼とは、スピリチュアルなものへの眼ざめであり、体験であり、もう一歩進んで、悟りなり解脱をも含んでいる。仏教では従来より見性(けんしょう)と呼んできた。それらを一括して霊的開眼と呼んだのは、本文にも出てくるが、ダンテス・ダイジが使っていた言葉をお借りして称しているものだ。

それはむしろ絶対真理への開眼といった意味あいにちかい。

それを何んと悟ったのかというと「人は生きていくことに意味はないし、価値もない」と悟ったのだと冒頭に述べている。

このままではなんだかわからないので、様々な本の文脈をたよりにその見解に迫って議論してみたのが本書である。悟り内容をそのまま言葉にしても、取りつく島のない言葉では全く理解されないので、それぞれの書物にからみあって、論じてみた。

著者は、中観の空概念に大きく影響されている。いわゆるナーガールジュナの『根本中頌』の空だ、無自性空という空のことだ。著者は、『根本中頌』にならって、すべては空であるという一切皆空を「空化」と呼んでいる。

もう一つは、本文になんども登場する永井均の〈私〉哲学に影響されていて、この二つが大きな柱になっている。

 かいつまんで要約すると以上だが、かなり混乱しているところも見える。でもなんとか書き連ねてきた。

冗長な文章になってしまったが、少なくとも作者にとっては、一つの解放になったことは間違いがないと思っている。なぜ、そのような結論に至ったのかは幾分かはわかってもらえるのではないだろうか。

あるひとから、Kindle Unlimitedで出してみてはどうかとのサジェスチョンをいただいた。検討してみるつもりだ。

でも、すでに4年以上前の論考で、私はもうそこにはいないので、おそらく困難だろう。

 参考文献

第1章
ダンテス・ダイジ『ニルヴァーナのプロセスとテクニック』森北出版1986

第2章
大竹晋『「悟り体験」を読む』新潮選書2010
藤田一照・山下良道・ネルケ無方・永井均『哲学する仏教』サンガ2019

第3章
古井由吉『神秘の人々』岩波書店、1996
古井由吉『魂の日』福武書店、1993
マルティン・フーバー『忘我の告白』法政大学出版、1994
『エックハルト説教集』岩波文庫、1990

第4章
黒崎宏『純粋仏教』春秋社、2005
黒崎宏『啓蒙思想としての仏教』春秋社、2012
田中龍山『セクストス・エンペリコスの懐疑主義思想』東海大学出版、2004
拙著『〈気づき〉への驚きを伝える短編集』ボイジャー・プレス、2020

第5章
谷口亜沙子『ルネ・ドーマル 根源的な体験』水声社、2019
オルダス・ハックスレー『知覚の扉 天国と地獄』河出書房新社、1976
ルネ・ドーマル『類推の山』河出文庫、1996
シャンカラ『ウパデーシャ・サーハスリー』岩波文庫、1988
金倉圓照『インド哲学史』平楽寺書店、1971
片岡啓「仏陀の慈悲と権威をめぐる聖典解釈と仏教論理学の対立」東洋文化研究所紀要第142冊
吉水清孝「クマーリラによる「宗教としての仏教」批判」RINDASワーキングペーパーシリーズ25 龍谷大学現代インド研究センター2015

 第6章
藤田一照・山下良道・ネルケ無方・永井均『哲学する仏教』サンガ、2019(再掲)
藤田一照・永井均・山下良道『〈仏教3.0〉を哲学する』春秋社、2016
藤田一照・永井均・山下良道『〈仏教3.0〉を哲学する バージョンⅡ』春秋社、2020
京極夏彦・町田尚子・東雅夫『いるのいないの』岩崎書店、2012
内山興正『進みと安らい』株式会社サンガ、2018
熊野宏昭『瞑想と意識の探求』サンガ新社、2022永井均・森岡正博『〈私〉をめぐる対決』明石書店、2021
永井均『世界の独在論的存在構造』春秋社、2018
内山興正『拈自己』大法輪閣、2019
日本大学文理学部『知のスクランブル』ちくま新書、2017

第7章
香山リカ『マインドフルネス最前線』サンガ新書、2015
永井均『哲学の賑やかな呟き』ぷねうま舎、2013
桂紹隆・五島清隆『龍樹「根本中頌」を読む』春秋社、2016

第8章
中村元・紀野一義訳注『般若心経・金剛般若経』岩波文庫、1960
三枝充悳『般若経の真理』春秋社、1971
渡辺章悟『般若経の思想』春秋社、2019
スマサナーラ『般若心経は間違い?』宝島社
真下尊吉『般若心経入門』東方出版、2018
ティク・ナット・ハン『ティク・ナット・ハンの般若心経』野草社
原田和宗『「般若心経」成立史論』大蔵出版、2010
井筒俊彦『意味の深みへ』岩波文庫、2019

第9章
マイケル・ポラニー『個人的知識』ハーベスト社、1985
マイケル・ポラニー『暗黙知の次元』1980

 

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