ニガイナースノスポーツ

中塚武さんの「JIAトーク2018」で見たもの

先月の9/5(水)、JIA日本建築家協会主催の「JIAトーク」に中塚武さんのサポートで参加しました。このイベントは1976年から行われている歴史のあるもので、かつては作曲家の武満徹さんをはじめ各界の著名人が講演しています。
(講演者一覧)

講演といえば”話す”のが一般的ですがそこは中塚さん流。与えられた2時間で楽曲制作の全て、<アイデア構築>→<作曲>→<アレンジ>→<トラック制作>→<楽譜作成>→<演奏>を見せようというもの。さらに作曲のアイデアはお客様が入場時に書いた”お題”をランダムに三つ選ぶというスリリングな企画。

引き当てたお題は「ニガミ」「ナース」「スポーツ」の三種。
会場からどよめきが起こる中、『トラックメイキングの現場(〜作曲三題噺〜)』がスタート。(18:30〜)

ピアノに向かい三つのワードからアイデアを導き出して作業を進める中塚さんを見守りながら、司会者とアコースティックギター石垣健太郎さんと三人で作業解説。時折中塚さんも会話に加わり和気あいあいの雰囲気の中、傍らにメロディとコード、構成が書かれたメモがどんどん積まれていく。速い。

その後、MACの置かれた打ち込みスペースに作業場を移しプログラミングが開始される。MACの画面はプロジェクターに映されお客様に共有されていました。アイデアの潤沢さと思い付くはやさ、取捨選択する判断力に圧倒される。どんどん思い付いては瞬間で採用・不採用を判断し停滞することなく音が重ねられ、最初はコードとメロディーだけだったものがみるみるうちにグルーヴィでクールなトラックへと変貌していく。

なんてことだ。

打ち込みのスピードだけなら鍛錬で近づくかも知れませんが、アイデア量と判断力はそうそう真似できるものではありません。

それでも2時間の制約は厳しくタイムリミットが近づいてくると会場全体に「間に合うのか!?」という緊張感が漂いはじめる。あと10分というところでトラック完成のコール。会場が安堵する。演奏の打ち合わせ後ライブへ。音源は下記リンク。

【音源】 → https://goo.gl/ebdAVB

Title:【ニガイナースノスポーツ】
Music and Arrangement : Takeshi Nakatsuka
Saxophone : Naomu Soeda
Guitar : Kentaro Ishigaki
Piano and Other Sounds : Takeshi Nakatsuka
Artwork : Takeo Narita

この曲を初めての演奏するのが本番という手に汗握る緊張感タップリのライブでしたが無事に終え、拍手喝采の中時計を見たらジャスト2時間。(20:30)
”もってる”としか思えないタイムマネージメント。
ちょっとドラマティック過ぎる。

中塚さんの制作が速い速いという噂は聞いていましたが、作業の最初から最後まで間近で見て想像を遥かに上回る速さに大興奮。しかもしばらくたっても興奮がおさまりませんでした。この日を境に心の中の”制作推進派”が「やれよ!やれよ!」と大暴れ。演奏の仕事が続くと制作に手がつけられなくなってしまうけど、心底やりたいことだから時間がなくてもやると腹を決めるしかない。

やる!

貴重な体験に感謝。

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