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企業の悩みに寄り添う「伴走支援」を活かしてVUCAを駆け抜けよう!

新型コロナウイルス感染症の拡大などにより社会の動向が不確実となっている現代では、企業の持続的な成長や、組織におけるプロジェクトマネジメントが難しくなっています。これはビジネスだけでなく、教育や行政などの領域でも同様です。明確な答えのない課題に直面し、正確かつ迅速に判断を下さなければならない場面が増えています。

このような状況下で、ビジネスや教育の世界で注目を集めているのが「伴走」という概念です。弊社は創業以来、顧客企業の組織変革において伴走型サービスを提供してきました。

伴走とはどのようなものなのか、伴走において求められるものは何かを解説していきます。


「伴走」とは?

ソフィアは、これまで10年以上にわたり、大手企業のビジョン浸透や組織変革の支援を行ってきましたが、近年、企業自体のあり方が変化しているという声をよく耳にします。企業のご担当者とお会いした際には、組織運営に関する悩みや相談を伺うことはあるものの、何を解決すべきかが明確に定まっている企業はほとんど存在しません。そのような状況から、ソフィアでは以前から「伴走型支援」と呼んでいる支援の方法が、一層求められているように感じられます。

伴走は元々マラソンなどで、走者と一緒に走ることを意味します。もしくは、「伴走者」という言葉から、パラ陸上競技において視覚障害を持つ選手と一緒に走る「ガイドランナー」を思い浮かべる人も多いかもしれません。

近年は福祉や教育、ビジネスの現場でも「伴走」という言葉がよく使われるようになっています。たとえば、社会福祉の文脈では厚生労働省が認知症患者や生活困窮者に対する伴走型支援を提案しています。ここで言う伴走型支援とは、従来のように相手の状況や必要性に応じて役所の異なる窓口や専門機関へ誘導するのではなく、当事者を主体として行政や専門機関が長期的かつ包括的に継続的な支援を提供する方法を指します。

ビジネスの分野では、経済産業省は近年の経営環境の急速な変化を考慮し、中小企業の経営力再構築を図るために「経営力再構築伴走支援」の全国展開を進めています。これは、中小企業の経営者と第三者(地域の商工団体や士業、金融機関など)が継続的に対話を重ね、課題設定や課題解決の支援を行うことで中小企業の経営改革と自走化を促していくものです。つまりは、社内を変える人(ハイプレッシャーな人)に対してのコーチャー機能です。

福祉とビジネスの文脈において「伴走」に共通する点を考えると、

・走る主体は当事者であり、伴走者は当事者が走れるように支援する役割を果たす

・伴走者は特定の専門性を発揮するのではなく、包括的に支援する役割を持つ

・当事者との対話を通じて、最終的には自らで進むことを目指す

と言えます。

企業に伴走が必要とされる理由

日本経済が右肩上がりに成長していた頃、企業で働く方々は、組織の中で特定の役割を持ち、決められたタスクを計画通りに遂行し、確実に次の工程へと進めることが求められていました。仕事はトップダウンの指示に基づいて進められ、その目標を達成することで成功が見込まれる状況でした。そのため、第三者の伴走支援は必要とされませんでした。

しかしながら、現在はVUCAの時代と言われ、未来は予測不可能で、市場環境は急激に変化しています。確実な成功モデルが存在しない上、事業環境も変わるため、一つの部署やプロジェクトの担当者が限られた人数で組織の問題を解決したり、新しい取り組みを進めたりすることは難しくなっています。以下で伴走支援が必要とされるようになった背景を詳しく見ていきましょう。

急速に変化する事業環境

次々と状況が変化する中では、組織の問題は意識できても、取り組みのゴールをどこに置くべきか決めることは難しいものです。

2020年春頃から現在まで私たちの社会が直面してきた状況を振り返ると理解しやすいかもしれませんが、状況が変わればゴールも変わるため、何度も取り組みの方向修正が必要になることがあります。しかし、それを判断するための情報もさまざまであり、組織内で適切な意思決定を行うことは困難です。そのため、ビジネスに幅広い知識を持ち、必要な判断材料を提供したり、意思決定をサポートしたりする外部のアドバイザーが求められます。

企業の問題解決における関係者の多さ

コロナ禍への対応はもちろん、たとえばDXやSDGsの推進、働き方改革、組織風土変革など現代的なテーマにおいては、一つの問題に多くの専門分野が絡んでいるため、一担当者や一部署で解決することは不可能です。社内外の多くのステークホルダーを巻き込み、対策にあたる必要がありますが、社内における組織間の利害関係などによって、コミュニケーションが困難になるケースが多くあります。そのため、組織のハブ役を務める第三者の存在が重要となります。

プロジェクトの煩雑さ

上の項目とも関連しますが、組織内での問題解決には、経営戦略、データ解析、コミュニケーションなどの複数の知識やスキルが求められる場面が増えています。仮に当該プロジェクトのメンバーが専門性の高い内外のパートナーの協力を得ようと考えても、誰にどのように頼んでよいかわからないというケースも多いでしょう。そのため、プロジェクトメンバーと内外のパートナー双方の間のコーディネートをする人材、すなわちコーディネーターが必要とされているのです

組織構造、人間関係におけるリスク

組織の問題を解決する際には、上司や経営陣を説得したり、他の部署を巻き込んだりすることが必要です。また、これまでの組織内の取り組みや当然とされていた常識を覆す場面も出てくることがあるでしょう。しかし、このような場面で社内の人間が矢面に立つと、感情的な対立が生じる可能性があります。その結果、当事者の立場が悪くなったり、感情的な要因で議論がまとまらなくなったりするリスクもあります。そういった意味でも、第三者の存在が求められます。

人材育成におけるニーズ

ここまでの内容とは少し異なりますが、企業が抱える可能性のある課題を解決する人材を育成する必要性も、企業が伴走者を求める背景として挙げられます。

これまでの多くの日本企業では、チームを管理しつつ、事前に定められた計画を確実に実行できる人材が重宝されてきました。そのため、ロジカルシンキングやコミュニケーションスキルなどの研修を実施していても、社員は実践的な経験に乏しく、課題設定や問題解決、戦略や企画の立案、合意形成などのスキルを十分に身につけていない、という現状が見受けられます

もちろん、大手コンサルに依頼すれば戦略や施策は提案されますが、高額な費用がかかる上に、提示されたプランが社内で実現可能かどうかは保証されません。企業が持つリソースを最大限活用するためには、企画とその実行が可能な社内人材を育成し、組織能力を高めていく必要があります。そのためにも、「社員が主体となって意思決定する」という前提で、伴走支援が必要とされています。伴走支援を受けながら、社員が自ら企画を立案したり、社内の合意形成をリードしたり、意思決定の経験をすることで、課題設定や問題解決の能力を持つ人材を社内で育成することができます

伴走支援がフィットする課題

伴走支援は、組織が困難な局面や複雑な問題に直面している場合に効果を発揮します。しかしながら、伴走支援を導入しても必ずしも効果が現れるわけではありません。伴走支援が適しているのはこれまでの組織内のリソースでは対応できないような難易度の高い課題に取り組むケースです。もし、組織で伴走支援の導入を検討している場合は、以下に当てはまるかどうかをチェックしてみてください。

組織内に前例のない新しい取り組み

組織内で前例のない取り組みを開始する場合、組織内外からの反対意見に直面することも多く、さまざまな関係者との調整が必要になります。また、取り組みに関連する知識や技術を持つ外部の専門家の協力を仰ぐ場面も生じます。このようなケースでは、プロジェクト全体に関してアドバイスやコーディネートを行う伴走者の存在がプラスになるでしょう。

多様な関係者の合意形成が困難な場合

多様な関係者の合意形成を得なければならないケースも、第三者としての伴走者の存在が重要です。組織内の担当者はこれまでの利害関係や上下関係があり、今後の会社生活も考慮しなければならないため、リスクを取りにくく、率直に意見を言いにくい相手や場面が生じることがあります。そのため、フラットな立場から是々非々で意見を述べることができる第三者の存在が不可欠です。

既存の取り組みの再編などに関わるセンシティブな課題

明確な組織間の利害対立や感情的な反発が予想されるような場面において、社内の担当者が矢面に立つと、その人自身や所属部署が非難されることがあります。このような場面でも伴走者がクッション役となって仲介することで、互いに感情的にならずに問題を解決し、話を前に進められることがあります。

逆にあらかじめ問題の原因や解決方法が明確な課題や、社内で十分に解決可能な比較的小規模な問題、担当者に解決の責任や権限がない課題については、伴走支援は適していません。伴走者を付けても効果が現れないだけでなく、投資が無駄になるばかりか、状況が悪化する可能性もあるため、注意する必要があります。

「伴走される人」に求められる条件

伴走支援が適する場合には、伴走支援の導入を検討できるでしょう。ただし、伴走支援を導入すれば必ずしもすべて順調に進むわけではありません。伴走支援を受ける側にも適した条件が求められます。

強い当事者意識がある

伴走支援を受ける側は、取り組もうとしている課題に対して、組織の中で誰よりも強い当事者意識を持っていることが必要です。伴走者に当事者意識があっても、伴走される側の当事者意識が欠けている場合、目的の達成は困難です。なぜなら、伴走者はあくまで担当者の「伴走」を行い、実際に組織を動かすのは伴走される側だからです。伴走される側は、伴走者から常に当事者意識を問われ続けることを覚悟する必要があります。

業務負荷増大への覚悟がある

伴走支援を受けても担当者の負担が減ることはありません。伴走者のサポートを受けつつ実際に組織を運営していくためには、伴走者や関係者との密なコミュニケーションを重ねる必要があるため、業務負荷は一時的に大幅に増加することが予想されます。もし、自らの手足として活動してくれる人を求めているのであれば、伴走支援ではなくBPOの導入を検討した方が適切かもしれません。

成果を求めることに対して妥協しない

伴走者がコミットするのは、組織の将来にとってプラスになる成果を出すことです。そのため、たとえ伴走される側が「ある程度やったからこのくらいで十分だ」と言っても、それが組織の利益にならない場合、伴走者が断ることもあります。伴走者を付けることは、個人的な都合や所属部署の都合を優先し、全体の成果に妥協することが許されないことを意味すると考えてください。伴走される側は、常に伴走者によって「必ず成果を出す」という覚悟を求められる立場になります。

まとめ

ビジネスにおいて注目を浴びている「伴走」「伴走支援」は、問題に直面している当事者が自ら解決策を見出せるように包括的な支援を提供することです。そして企業が伴走支援を必要としている背景には、事業環境の急速な変化や組織が直面する複雑な問題、多様な関係者との協力が求められる状況があります。

しかしながら、伴走される側はそれなりの覚悟が必要です。軽率な導入は効果を期待することができず、逆に悪影響を及ぼすリスクも存在することを肝に銘じておかなければなりません。

私たちソフィアには、より良い社会の実現を目指し、お客様と綿密なディスカッションを行うことのできるメンバーが揃っています。困難な組織の問題に直面した場合は、ぜひ弊社サイトをご覧ください。