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フリーナのモチーフ考察[原神]

今回はフリーナのモチーフ考察をしました。

かなりオペラ要素が強いキャラです。
命の星座、服装、食べ物、全体的にオペラモチーフ。
君主と指揮者の両面を合わせ持ちます。

名前

フリーナFurinaの名前の由来は、古代ローマの泉の女神だと思われます。
フォンテーヌの中でもエピクレシス歌劇場がある辺りは特に古代ローマモチーフの伝説が残っています。

この歌劇(オペラ)場は、フリーナによって建てられたと言われており、フリーナはオペラの歴史を体現したようなキャラになっています。

お菓子

まずフリーナのお菓子はオペラケーキに見えます。このケーキはパリ・オペラ座の形をイメージして作られたと言われています。

パリ・オペラ座は、元々はオペラ公演の中心地であるガルニエ宮の呼び名でした。

エピクレシス歌劇場の内装はガルニエ宮(パリ・オペラ座)を参考にしているようです。

ちなみにこのパリ・オペラ座には非常に有名なバレエ団もいます。

天賦とサロンメンバー

フリーナは、オペラやバレエにおける独唱者かつ独舞者(どちらもソリスト)としてデザインされているように思います。

これはフリーナが常に孤独を感じていることや、主役(スター)として万民の視線を一身に集める存在だと匂わせるための設定だと思います。

フランスの歴史において、歌劇場(オペラ座)には、サロン(社交の場)が併設されているということがよくありました。また同時に、様々なものを楽しむサロン(例えば文学サロンとか絵画のサロンとか)があり、オペラをサロンで披露するということもありました。
オペラの発展とサロンは切り離せない存在です。

フリーナは、「サロン·ソリティア」という天賦によって、「サロンメンバー」や「衆の水の歌い手(オペラの歌い手)」を召喚します。

サロンメンバーも一応紹介しますね。

重甲ヤドカニ姿の「クラバレッタさん」Mademoiselle Crabaletta
① Mademoiselleフランス語でお嬢さん
②オペラの二重唱形式のアリア「カバレッタ」Cabaletta由来。

アワアワタツノコ姿の「シュヴァルマラン婦人」Surintendante Chevalmarin
①Surintendanteは元々フランス王家に対して監督・教育する立場の女性を意味する。
②フランス語Cheval marinタツノオトシゴ

マンマルタコ姿の「ジェントルマン・アッシャー」Gentilhomme Usher
The Gentleman Usher16世紀ごろのイギリスの使用人の階級。このタイトルの喜劇もあります。

命の星座

頌歌者座
英語版:Animula(魂) Choragi(導く/合唱団の指揮者)

頌歌とは、合唱の歌を意味し、神の栄光を讃える歌です。
しかし元々は合唱の歌だけではなく、抒情詩としての性格が強いものも頌歌と呼んでいました。
オペラのなかでも抒情的かつソリスト(独唱)的なものをアリアと呼びます。

このソリストのアリアをテーマとしたのがフリーナの命の星座だと考えられます。

1「愛は野の鳥 哀願しても手懐けられぬ」
フランス語版
L'amour est un oiseau rebelle que nul ne peut apprivoiser

フランスのジョルジュ・ビゼーのオペラ『カルメン』のアリアである「ハバネラ」由来。
ハバネラの歌詞の冒頭からそのまま連れてきた文です。

2「女は気まぐれ 水面に揺らぐ浮草のよう」
イタリア語版
La donna è mobile qual piuma al vento

イタリアのジュゼッペ・ヴェルディのオペラ『リゴレット』のアリアである「女心の歌」由来。
こちらも女心の歌の歌詞の冒頭からそのまま連れてきている文です。

3「秘密は心に秘められた 誰もこの名を知り得ない」
イタリア語版
Ma il mio mistero è chiuso in me, il nome mio nessun saprà!

イタリアのジャコモ・プッチーニのオペラ『トゥーランドット』のアリアである「誰も寝てはならぬ」由来。

誰も寝てはならぬの歌詞の中盤からそのまま連れてきている文です。

4「地獄に堕ちずして いかに生の価値を知る!」
フランス語版
Si l'on comprend la vie, amis, c'est en enfer!

ドイツ出身、フランスの作曲家ジャック・オッフェンバックのオペラ『地獄のオルフェ(天国と地獄)』の、第二幕合唱シーンからそのまま連れてきている文です。

5「あぁ!その者の名は…!」
イタリア語版
Conosco il nome dello straniero! Il suo nome è...

3凸と同じく、『トゥーランドット』の第三幕から。
3凸のアリアの間に挟まっている「Il nome suo nessun saprà... (誰も彼の名前を知らない…)」という合唱シーンに答えているのが、5凸に引用されている第三幕の「Il suo nome è...(彼の名は…)」という文です。
ちなみに「il suo nome é amor!(その者(彼)の名は愛!)」と続きます。

6「僕の歌を聴きたまえ__さあ愛の杯を掲げよう!」
イタリア語版
Libiamo ne' lieti calici!(幸せの杯を飲もう!)

2凸と同じくイタリアのジュゼッペ・ヴェルディのオペラ『椿姫』第1幕のアリアである「乾杯の歌」からそのまま連れてきた文です。

乾杯の歌には愛の杯が出てきますし、イタリア語版は歌詞そのままになっています。

全てイタリアとフランスの有名オペラから引用した文ですね。

1凸から6凸まで全体的に愛がテーマとなっています。
1凸~3凸はまだ愛の難しさを感じていたり、愛がよくわかっていなかったりするのに対し、
4~6凸にかけて愛の意味を知り始めます。
愛を実感するまでの過程が1凸から6凸までで描かれているようです。

6凸で愛に乾杯するところが面白いですね。

祝杯を呼びかけるフリーナ

フリーナがオペラのような音楽に合わせてグロシ(グラスの誤訳)を掲げていたのは、6凸の伏線だと思います。

すでに修正された誤訳グロシ(グラスのこと)

Xではグロシの誤訳がかなり突っ込まれていましたが、重要な伏線だったのかもしれせん。

モチーフ武器とクリスマス

静水流転の輝き
こちらは、ヨーロッパの国王が持っていた権威の象徴である王笏(杖)と、
音楽を奏でる者たちを統率する指揮杖をかけ合わせたデザインだと思います。

フリーナの天賦には万民のカルナバル(カーニバル)という表記があり、フリーナにはカーニバルの音楽隊を統率する役目があるようです。

カーニバルが始まると、サロンメンバーも含めて「もろびとこぞりて」状態に入ります。
これは賛美歌「もろびとこぞりて」を一緒に歌うという暗示だと思います。

〈歌詞〉
諸人こぞりて 迎えまつれ
久しく待ちにし 主は来ませり
主は来ませり 主は、主は来ませり
悪魔のひとやを 打ち砕きて
捕虜をはなつと 主は来ませり
主は来ませり 主は、主は来ませり
この世の闇路を 照らしたもう
妙なる光の 主は来ませり
主は来ませり 主は、主は来ませり
萎める心の 花を咲かせ
恵みの露置く 主は来ませり
主は来ませり 主は、主は来ませり
平和の君なる 御子を迎え
救いの主とぞ 誉め称えよ
誉め称えよ 誉め、誉め称えよ

神を讃える歌ですので、主は神を意味します。
フリーナはキリスト教の要素が強く、特にプネウマのフリーナは聖霊(神のような)要素が強いと考えられます。
(ただプネウマとウーシアが結びついている状態が白フリーナだとも考えられるので、白フリーナはまだ完全な聖霊体ではないと考えることもできます。)

対してウーシア黒フリーナは人間の要素が強いです。4.2実装前にギリシャ哲学と結びつけて考察しました。🔗ギリシャ哲学とフリーナ

ウーシアは悪、プネウマは善と言われることもあり、ウーシアとプネウマが結びついている状態(ウーシアにプネウマが閉じ込められている状態)から、

神としての完全なプネウマを解放し降臨させる伏線がこのもろびとこぞりての歌詞と結びついているようにも見えます。

悪魔のひとや(牢屋のこと。恐らくウーシア=肉体)を打ち砕きて(処刑して)
捕虜(プネウマ=魂)をはなつと 主(真の水神)は来ませり

詳しくはギリシャ哲学の考察を見てください。

このもろびとこぞりてはクリスマス賛美歌ですが、クリスマスはそもそもキリストの聖誕祭を意味します。
神やキリストの降臨や誕生を祈っていることと「水神処刑」を結びつけるために設定したとしか思えない…というのが現時点での感想です。

補足※この考察は4.2魔神任務を見る前のものです

衣装

まずフリーナの服が全体的に青なのは、単に水元素と言うだけではなく、フランス王家(特にブルボン朝)の特徴的な色だからだと思います。


これを「bleu roi(王家の青)」と呼びました。フランス国王の色であり、青地に金色の装飾を施すのが定番です。

青・金・白の組み合わせが多いと言われています。

ブルボン朝はフランス革命で処刑され倒された王朝としても有名ですね。フリーナも処刑されています。

以前考察しましたが、ウェンティも実はドイツだけでなく、フランスの要素が強いです。フランス風の服装をしています。

ウェンティやモンドには、フランス王家によく見られるフルール・ド・リスという紋章が散りばめられています。

フリーナやヌヴィレット、クロリンデなどフォンテーヌキャラにも、同様の紋章をアレンジしたものがついています。

フリーナの袖口、帽子の模様など。

帽子はシルクハットと王冠を合わせたデザインになっています。

フリーナの後ろに長いコートは、
日中の正礼装であるモーニングコートからインスピレーションを得ているそうです。(公式から言及が少しありました。)

モーニングコートの後ろに長い部分は、ペティコートをアレンジしたものだそうです。
(中国語版でもモーニングコートと言っています。)

ただ、これちょっとおかしいです。モーニングコートであれば、前裾は斜めのカットでなければおかしいのに、
燕尾服のような直角カットの前裾になっています。

※ 燕尾服…夜の正礼装でイブニングコートとも呼ばれる。モーニングコートとは異なる。

混同したのか、混ぜてデザインしたのか…
どちらにせよいわゆる紳士服で、男性が着ていました。

またウェンティもしていたクラバット(フリフリのネクタイみたいなもの)をフリーナもしています。フランスから流行りだしました。

シルクハットは燕尾服やモーニングコートと共に着用するのが普通です。
オペラハット(折りたたみ式のシルクハット)も同様の形をしているため、もしかしたらオペラモチーフであるのに合わせて、この帽子が選ばれたのかもしれません。

ちなみに白っぽいクルクルの髪型は、中世貴族(特にフランス)の間で流行ったカツラがモチーフだと思います。

白つながりで言うと、フリーナは白い手袋をしています。
手袋というのは貴族の間で流行っていた装飾品(ファッション)であり、権威の象徴でした。
特に白いグローブをつける平民はほとんどいませんので…。

フリーナは紳士服を来ていますが、もしフリーナがドレスを着ていたなら、もっと長いオペラグローブという、女性がよくつけるグローブをしていたと思います。

更にフリーナが身につけている白といえば…
フランス貴族や王族が首につけていた白いフリフリの襟・コルレットColleretteを、何故かフリーナは足に巻いています。ColleretteはFraiseとも呼び、どちらもフランス語です。

英語ではラフと言います。
日本語では壁襟。

フリーナは全体的に16世紀から19世紀前半あたりのフランス紳士をモチーフにしているようです。

更に、魚の尾のような装飾はリトルマーメイドからインスピレーションを得たそうです。

PVのフランス語やオマージュ

Le monde n'est qu'une scène.
Il vaut mieux rire que pleurer,
car le rire est le propre de l'homme.
Riez de tout cela, ne vous inquiétez pas.
Profitons d'aujourd'hui.

歌詞概要:
世界は舞台に過ぎない。
泣いて演じるより、笑って演じるほうがいい。
なぜなら、笑うことができるのは人間だけなのだから——
笑おう、憂慮する必要はない、
今日という日を楽しむんだ。

シェイクスピアのお気に召すままの有名な一節と、
ラブレーのガルガンチュワ物語の一節を連れてきています。

また、フリーナがくるりと回るシーンは雨に唄えばという、かなり有名なミュージカルのオマージュだと思います。PVもミュージカル風。

フリーナはとても芸術的なキャラだと思います。フリーナという孤独なソリストが、みなさんにより愛されますように。

※今回の考察はXにて先行公開していたものです。普段モチーフ考察はXにて投稿していますが、これからnoteにもまとめていこうと思います。(HanaのXアカウント)

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