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ギリシャ哲学とフリーナ[原神]

今回は、フリーナがギリシャ哲学をモチーフとしていることについてまとめたNoteです。

今回の考察は元々、4.2魔神任務がリリースされる前に考察したもので、それを再編しています。

プネウマ・ウーシアと水神の死刑

プネウマとウーシアという名前は、ギリシャ哲学に基づいたものです。

ギリシャ哲学において、
人間はプネウマ(魂や聖霊)の要素と、
ウーシア(実体、肉体)の要素を持ち合わせています。

人が生きているということは、プネウマとウーシアが結びついているということです。

ここでプラトンの「肉体は魂の牢獄」という有名な言葉を用いて考えていきます。

淵下宮の禁書にパネースという原初神が登場していましたが、パネースはギリシャ神話のオルフェウスが語る創造神です。

そしてこの「肉体は魂の牢獄」は、プラトン自らが生み出した考えではなく、オルフェウス教の教義に基づいた考えを指しています。
(グノーシス主義も少し関わってきます。)

フリーナとギリシャ哲学を照らし合わせて考えてみます。

プネウマ(魂、聖霊)とウーシア(物体、人間性としての肉体)の内、

処刑後の伝説任務ではウーシア(物体、人間性)版黒フリーナとなっています。

「肉体は魂の牢獄」という言葉は、肉体が亡くなったときに魂は開放されるという前提があります。

フリーナの公式紹介にこんなことが書かれていました。

「お願いだ。審判によって、魂の鎖を開放してくれ!」
「孤島に囚われたこの身を、独りぼっちで踊らせないでくれ…」

つまり審判(死刑)によって、肉体(ウーシア)から魂(プネウマ)の鎖を開放するとは、

肉体と魂がくっついた状態からフリーナを処刑(仮)することで、魂(神の要素としてのプネウマ版白フリーナ)を解放し、
ウーシアの黒フリーナだけが残されることを意味しているのではないでしょうか。

エピクレシス歌劇場のエピクレシスという言葉は、聖霊(プネウマ)への呼びかけを意味します。

つまり、歌劇(オペラ)のようなフォンテーヌの出来事は、

審判の日に水神が処刑され、

プネウマがウーシアのフリーナから切り離されて初めて本当の意味で姿を現す(=魂の鎖の開放、肉体の牢獄から魂が解放)ための、

エピクレシス歌劇(聖霊への問いかけ)だったのではないでしょうか。

白フリーナから本当の意味で解放されて、分離した黒フリーナと神格フリーナ

フォンテーヌ人は原始胎海の水に溶けます。

でもフォンテーヌの鍛造武器には、
不完全な水に溶ける存在(純水精霊だった人間)に対して、
水に溶けない完全な存在(完全な人間)を目指すから大丈夫だと語る偽神の話が書かれているんです。

そして、グノーシス主義によれば、
人は実体(原神で言うところのウーシア)の中にプネウマ(聖霊)を持っていて、
グノーシス(神の心)によって聖霊を呼び覚ますことが出来るんです。

カーディナルの動力源である神の心の審判がトリガーとなり、プネウマとウーシアの分離が出来ました。

鍛造武器の解読・翻訳

フォンテーヌの鍛造法器(純水流華)の文章を解読すると、古代ギリシャの哲学者・プラトンの対話篇『ティマイオス』の文になります。

神の缶詰知識に関係する文かも…と思って調べたのですが、宇宙の創造者(神々を創った神)の言葉を引用しているようです。

Wherefore, since ye are but creatures, ye are not altogether immortal and indissoluble, but ye shall certainly not be dissolved, nor be liable to the fate of death, having in my will a greater and mightier bond than those with which ye were bound at the time of your birth.

この文の意味は専門家ですら意見が分かれるくらいに難しい。(哲学、神話などあらゆる観点で見なければいけない文)
ということで、和訳はやめておこうと思いましたが、知りたい方もいると思うので、私なりに訳します。(間違っていても許してください🙇🏻‍♀️)

《それ故に、あなたは生み出されたものなので、不死ではない。(あなたを)溶かすことができない訳でもない。でも、あなたが溶けることは決してなく、死の運命にさらされることもない。あなたが生まれた時に持っていた絆よりも、大いなる強力な私(神)の絆(意志)を、あなたは握っているからである。》

※意味不明に聞こえるかもしれませんが、元の文が難解だからです。

これは私の『ティマイオス』の解釈ですが、
"宇宙とは本来生成変化し、崩壊していくはずである。しかし、そうした崩壊の秩序を逃れ、宇宙が崩壊しないように働くのはデミウルゴスの意志である。"
という主旨のことが書かれていると解釈しています。

宇宙や世界の不完全さは決まっているものであるが、崩壊の運命に関与して、世界を完全にする神の働きもあるという…なかなか難しい話ですが、これは原神の運営が参考にしていると公言していた、グノーシス主義の考え方にも繋がっていきます。

更にこれをフォンテーヌに置き換えて読むことができます。

『(あなたを)溶かすことができない訳でもない。』
→ 原始胎海の水に溶けるフォンテーヌ人

『でも、あなたが溶けることは決してなく、死の運命にさらされることもない。』
→水神死刑とともに、神性(純粋精霊としての要素)が消え、完全な人間(ウーシア)となり、溶けなくなった。

人間を完全な存在にしようとする創造神デミウルゴスを、
純水精霊を完全な人間にしようとする創造神フリーナに置き換えたようです。

※今回の考察はXにて先行公開していたものです。普段モチーフ考察はXにて投稿していますが、これからnoteにもまとめていこうと思います。(🔗HanaのXアカウント)

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