あの味を、再現できないさみしさ。
焼きビーフンを作った。
昔よく食べてたのに、実は作り方はよくわからなくて、いくつかレシピを検索してそこそこおいしくできた。
子どもたちや夫からも好評だったし、自分でもおいしいと思ったけど、何か違うんだよな。
祖母が作ってくれた、あの味じゃない。
桜エビを買い忘れたから?
塩気が足りない?
…正直、わからない。
おばあちゃんの作るビーフン、食べられなくなってもう26年。
あの味はもうかすかな記憶になってしまったから。
「おばあちゃーん!」
母が働いていたので、いつも祖母が見ていてくれた。
そんな時「おばあちゃーん」と叫ぶと来てくれた。
近所でしょっちゅう転んで大声で泣いては、「大丈夫?」と飛んできてくれる祖母。
祖母の背中にピタっとくっついて寝ると安心した。
「忘れ物した」と電話すれば、すぐ届けてくれる。
部活の帰り道、迎えにも来てくれた。
近所に友達が大勢いて、買い物の行き帰りで数時間かかることもあるくらい人と話すのが好き。
それを横で見ていたおかげで私もそっくりになった。
元学校の先生なので、"ら"抜き言葉や幼い頃特有の「さっちゃんね、」と自分を名前やニックネームで呼ぶのには、みっともないからダメとピシャリと怒る。
欠点のない人かと思いきや、家事全般、特に料理が苦手で当たり外れが大きく、本当においしくないのを食べた記憶が何度もある。
その祖母の、唯一失敗しない料理がビーフン。
祖母は、私が高1の秋に亡くなった。
急な入院のあと、退院前の検査で意識不明になり1ヶ月後目を覚まさないままだった。
今でも悔やみきれないのが、最後のお見舞いへ行かなかったこと。
退院直前に本当はお見舞いに行く予定があったのに、「もうすぐ退院だからいいや」と部活帰り友達とのおしゃべりを優先して、行かなかった。
何度考えたって、時間は戻せないし後悔しかない。
あんなに愛情をいっぱいもらったのに、ちゃんとお礼も言えず。
たとえお見舞いに行ってたとしても、まさか亡くなると思ってないから「これまでありがとう」なんて言えなかっただろうけど。
でも、当たり前にずっとそばにいてくれると思ってた自分がアホだったと今も思う。
あー、ビーフンの作り方を聞いておけばよかった。ちゃんと見ておけばよかった。
どだい無理な話だけど、ひ孫に会ってもらいたかったな。
子ども好きだからきっとすぐに仲良くなったはず。
もうあの味にたどり着けないかもしれないけど、作る過程でおばあちゃんをまたいっぱい思い出せるから、また何度もトライしよう。
↓つい最近も書いてる、ビーフンの話。
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