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2024年春 シラカバ樹液採取

長野県上田市の菅平高原で今年から取り組む草原再生の一環で、シラカバの有効利用を考えるにあたっていろいろテストしています。


今回はシラカバの樹液の採取テストです。

樹液と言ってもクヌギなどでイメージされるようなベトッとしたものではなく、一年のうち3月下旬から4月上旬にかけての短期間だけ、シラカバが勢い良く吸い上げる、水のようなさらっとした樹液です。


樹液と言ってもクヌギなどでイメージされるようなベトッとしたものではなく、一年のうち3月下旬から4月上旬にかけての短期間だけ、シラカバが勢い良く吸い上げる、水のようなさらっとした樹液です。

初日、4月2日はまずは本当に採れるかのテスト(半信半疑…)で、空いたペットボトルと細いチューブで。この日は三時間でおよそ400㏄ほど採取できました。ほんとにポタポタ出てくる…!

初日、4月2日はまずは本当に採れるかのテスト(半信半疑…)で、空いたペットボトルと細いチューブで。この日は三時間でおよそ400㏄ほど採取できました。ほんとにポタポタ出てくる…!


で、日が開いてしまいましたが4月10日。いよいよ本格的に採取します。
今回は前回よりも太いチューブ(内径22㎜のビニールチューブ)にノズルを付けて気に挿します。ドリル刃は15㎜。深さ4㎝くらいです。

ノズルは先端がテーパーしているのでしっかりと固定できています。しかもビニールチューブとシンデレラフィット!
タンク側に付属の、本来注ぎ口となるフレキシブルなノズルにもぴったりです。
我ながらよくできた採取システム!

今回、地元企業さんがお酒や飲料関連への利用、付加価値的な素材となるかなどをテストしてくださることになっており、最低でも2Lは欲しいところ。
前回より日がたっているためか、樹液の出が思ったより悪く流出がゆっくりなので祈るような心持ち。点滴を眺める気分です。

保険の意味も兼ねて10Lのタンクを3本のシラカバに設置します。こちらは二か所目。

三本目。どうかしっかり採取できますように!日付は一晩おいて取りに行った時のものなので翌日になっています。
今回は直径25㎝くらいかそれ以上のものを狙っての採取です。


果たして設置翌日、約24時間後に行ってみると…
全部ほぼ満タン!約30L採れました!
とっても嬉しい重みです。

採取したその足で企業さんにお届けしました。「こんなにいいんですか?」と言っていただけたので、テストのし甲斐があるんじゃないかと内心期待しています。

ちなみにこのまま飲むこともできるということで、4月2日に採取したものを飲んでみました。
味は、甘味を遠ーくにほんのり感じる、まろやかな軟水といった感じです。

言われなければわからないくらい。水と言って渡されたら気付かない人もいそう。すごく飲みやすくて夏場にキーンと冷やしておいたらどんどん飲んじゃいそうです。
すっと消える不思議な甘味は清涼感があっておいしい!のですが、それもそのはず、ガムなどに入っているキシリトールはシラカバから採れるのだそうで。

なぜこの時期にだけ大量の水をシラカバが吸い上げるのか、どれくらいの深さに穴をあけるとよいのかなどを調べていたら、神戸大学の先生が書かれた詳しい記事を見つけました。


樹木の組織・構造と水分通導(リンク先、専門用語だらけですがめっちゃ面白いです)

”広葉樹では葉が展開していない早春に木部樹液が上昇する現象が見 られる。気温が0℃前後で変動し木部樹液(師部の液ではない)が凍結融解を繰り返す時期にシラカバやカエデの樹液(メープルシロップの原料)が採取できる。樹液が出る理由にはいくつかの説明があるが,科学的な証明はなされていない。”(上記リンク先の記事より)

よくわかっていないんですね!神秘的です。
また、

”樹幹にドリルで穴をあけても,簡単には枯らせない ものである。道管や仮道管の一部に空気が入った場合,木部樹液はその部位を迂回して上昇する。これはきわめて精巧なシステムと言える。”(同)

ということで、採取後の穴は木の枝で栓をしておいたものの傷をつけているわけで少々心配だったわけですがちょっと一安心です。
終わりに、今回の採取は地権者および関係機関に特別な許可をいただいて実施しています。もし皆さんのお近くにシラカバがあっても、山には必ず所有者さんがいらっしゃるので、許可をもらって採取してくださいね。

また、シラカバ樹液は日持ちしないとのことなので、採取、飲用される方はご注意ください。


草原に初めに進出して森へと遷移してゆく先駆植物であるシラカバですので、草原再生においては食い止めたり伐ったりしてゆくべき木。
なんです。なんですが、菅平高原には現状、伐り切れないほどたくさんのシラカバが生えているので、利用することも考えつつ草原再生に取り組んで行ければと考えています。

根子岳(左)と四阿山(右)
北アルプスの山並み

頭の中に清涼剤です(*^^*)


春はすぐそこです。

化粧水や健康食品など、白樺の樹液をご利用になりたい方は信州草原再生の会までお問い合わせください。

shinshu.sogen@gmail.com


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