料理とのつきあい方

料理が好きです。凝ったものは全くできないし道具もないしやる気もないのですが(そもそもキッチンスケールすら持っていない。というか、キッチン測りを「キッチンスケール」って呼ぶの本当に1週間くらい前に知りました)、野菜を切ってお肉や卵や豆腐、ものすごく時々お魚など炭水化物と合わせて、煮るor焼いておわり、の超簡単料理で結構満たされます。

母がかなりしっかり、きっちりとした料理をする人で、本当に料理が上手で何を食べても美味しかったので、実家にいるときは全く料理をしませんでした。20代の頃は「食べ物に興味がない方がかっこいい」という謎の尖り方をしており、特に食へのこだわりもなく、何を食べていたのかそもそも自炊をしていたのか(してたんですけど)全然覚えていない。

ただ、大学生の時にある料理本を買って(もう名前も覚えていないし、多分本自体も捨ててしまった)、そしたらその本が結構よかったんです。

覚えているのは、トマトソースベースの海鮮パスタや、クラムチャウダーの作り方が乗っていて、どっちも大好きでバイト先でいつも食べていた(いっとき「ペスカトーレの人」とも呼ばれていた)ので、自分でも作りたい!と思ったのか、あと友達が遊びに来るタイミングだったのか、どっちもつくってとても美味しかったのです。

その後、人生の時々に出会う大事な人や仲良くなる人が、とにかくみんな料理が上手で食に興味がある人ばかりでした。
そして、単純な私は「食が好きな人ってかっこいい!!!」と思い、自分も周りの素敵でかっこよくチャーミングな人たちのようになりたくて、少しずつ意識的に料理を始めた気がします。

時代は土井先生の「一汁一菜で良い」だったのも良かった。

一人暮らしを始めた頃、母から「出汁はきちんととって凍らせておくといい」と言われていましたが、とにかく出汁を取るのがめんどくさいし、凍らせたところで当時の私には使い方がまったくわからなくて(お味噌汁も本当に食べなかった)、とても使いにくかった。なので結局半永久的に凍ったままでした。今思えば、自分の生活スタイルと素材や食材との付き合い方がわかっていなかったし、合ってなかったんだと思います。今なら、出汁とって冷凍したものもちゃんと使えると思います。

働き始めてとにかく忙しくなった自分に合っていたのは、だいたい次の3つです。

・冷凍できる食材は何でも冷凍
・冷凍餃子を常備
・好きな調味料を常備

そして、その日の気分や体調に合わせて適当に料理をするのです。

高谷あゆさんの『終電ごはん』という本があって、一時期本当にカバンに入れて持ち歩いていたのですが、この本がめちゃめちゃ良かった。

本当に終電で帰る日も多かったので、とくかく楽、工程が1つ、洗い物が少なく、パパっとできて身体にも優しいレシピをたくさん紹介しているこの本は天からの贈り物のようでした。
(「これ15分じゃできないよ!」というレシピもありますが、それは時間がある時やれば良いのです)

この本のさらに素晴らしい点は、巻末に掲載されている「便利グッズカタログ」や「終電ごはんをのりきるコワザ」です!!!
「冷凍餃子を常備」といは「コワザ」コーナーに書かれていた金言で、このアドバイスに何度助けられたことか、、、読み物としても面白い本だと思います。

時代の変化に伴い、料理は「無理しなくても大丈夫。手抜きでも大丈夫。むしろ手を抜けるところはどんどん楽をすればいいじゃないか!」という方向に変わっていったような気がします。そして、料理家の方達が肩を張らない気軽なご飯をたくさん提案してくださり、そのことにどれだけの人が救われたか。私も確実にその一人です。

今日は大好きな有賀薫さんのこちらのスープをつくりました。


味付け塩だけなのに、本当にめちゃくちゃ滋味深くて美味しかった。有賀さんのレシピは素材を信頼している感じがとってもして本当に大好きです。シンプルで美味しい。『スープ・レッスン』掲載の、トマトとブロッコリーのスープの美味しいことよ!!!!!

↑noteにもレシピがありました。

思い返せば昔から料理本を眺めているのが好きでした。高校生のころ、寝る前に読むのは栗原はるみさんの『すてきレシピ』でした。全然料理しないのに、すごい好きだった。確か栗原さんが「料理をすると人に食べてもらいたくなる。だから部屋を整えたくなるし、掃除もしたくなる。料理をすると生活が豊かになるんです」という趣旨のことをおっしゃっていて、『すてきレシピ』や『ごちそうさまが、ききたくて』では当時から料理を中心としたライフスタイルを提案されていたので、当時の私はそこに惹かれていたんだと思います。

今も揚げ物はできないし、炒めるレシピは信じられないほど下手くそだし、お肉の部位や魚の種類もわからないけど、今のところ自分にあったスタイルで料理と付き合えている気がします。大人になった!