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子ども•若者の意見を聞きながら、居場所のルール作りを行いました!〜子ども•若者をこれ以上、社会から置いてきぼりにしない居場所のルールづくり〜


こんにちは、
特定非営利活動法人あいむの藤野です。

note記事は久しぶりになってしまいましたが、どうしても書いておきたいことがあり、居場所が始まる前の時間にこのnoteを書いています。

活動の紹介

あいむは、現在の活動として、

  • 夜間の繁華街での声掛け

  • 居場所(フリースペース兼こども食堂)

  • 相談支援

  • 同行支援(病院、行政、他団体など)

を行っています。

当事者の子ども•若者の様子

当事者は、いわゆる、トー横、グリ下の福岡版である、「警固界隈」と呼ばれる子ども•若者たちで、当事者の様子としては、8-9割方が未成年で、非行に走ってしまう環境にある子ども•若者たちが多く、家出•売春などをしていることもよくあります。

今までの居場所の運営方法とルールづくりをすることになった背景

今回、その当事者の子ども•若者たちが利用する居場所のルール作りを当事者の意見を聞きながらしました。

今までは、特にルールは設けず、彼らの自治機能に任せて、運営は出来ていたのですが、色々と課題もあり、当事者の子たちがみんなが安全に•気持ちよく利用出来るように、そして、何よりもスタッフの安全を守るために、ルールを決めた方がいいという判断になりました。
また、自治機能に任せていたというところで、当事者の特性から考えて、大丈夫だったの?と、思われる方もいると思いますが、信頼関係ができている子ども•若者が来ることが大多数であり(ここ、大事)、「あいむがやっている活動なんだ」と感じ取ってくれて、「◯◯していい?」と細かく確認をしてくれたり、基本的に常識の範囲のルールは守れていました。
信頼関係が出来ていているからこその自治機能だったと感じています。

しかし、居場所も開催回数を重ねていき(昨年の12月から月に1-2回程度開催)、居場所自体にアウトリーチ機能ができてきて、はじめましての子ども•若者が来るようになったり、居場所を手弁当で作り始めていた頃のような、
「(スタッフも含めて)みんなでつくりあげていく」という雰囲気はなくなっていました。

そこで、問題も起きるようになり、今回のルールづくりに至りました。

「ルールを当事者の子ども•若者の意見を取り入れて、つくりたい!」と思ったのはいいのですが、現場の居場所運営に関わるスタッフからは、「(当事者の子ども•若者と一緒にルールを決めるなんて)それは、夢です」と言われたり、客観的に見ると、なかなか難しく見えたようです。

「やっぱり、難しいかな」と思い、普段からメンター的な役割をして頂いていたり、コーチングのコーチをしている方々との対話をして、「それでも、子ども•若者たちの声を聞かないと、また子ども•若者が世の中から置いてきぼりにされる姿を見るのはありたい姿ではないし、嫌だな」と、思い、様々な方の協力を得ながら、ルールづくりをしました。
また、最初は、ルールをつくり場、意見をヒアリングする場をかっちり設けようとしたのですが、そもそもかっちりした場には来たがらない子ども•若者ですし、大人数いたりすると、意見がまとまりにくかったり、悪い方向に意見が持っていかれたら、取り戻せなくなったり、ファシリテーションが大変になると懸念して、個別に意見を聞くことにしました。
ファシリテーションなどができる第三者の大人を入れることも検討しましたが、雰囲気に合うか、当事者の子ども•若者が萎縮しないかなどを考えた上で、今回はあいむのスタッフと子ども•若者のみで行うことにしました。

ルールづくりまでの流れ

まず、行ったのは、
ボランティア含め、居場所の現場に関わってくださっている方や協力していただいている警察の方に、当事者の意見を組み入れたルールづくりをしたいと話すことでした。

「ルールを守れなくて、今のところに行き着いているから、ルールをかっちり決めたら、また社会の端っこに子ども•若者たちを追いやってしまう。とは言え、色々起きているので、コンセンサスを取ることは必要だから、バランスが必要。」と言うような、なるほどなと思う意見を沢山頂きました。

また、その間に、居場所をしている他団体に
・ルール作成プロセス
・改訂プロセス
・成果物、作成プロセス、改訂プロセスそれぞれで、うまく行っていることと課題
を伺いました。
(協力していただいた方々、ありがとうございました。)

ルールづくりをした時の様子

そして、メンバーやメンターの方々と途中で話しながら、次のステップとして、当事者からのヒアリングをしました。
意見を聞いてみると、びっくりしたのですが、意外とこちらが想定するような、常識の範囲内の意見が出てきました。

また、「意見を言ったのに、反映されていない」などを防ぐために、紙に意見を聞きながら、書いて可視化しました。

例えば、こちら2つ。


  • リスカ、危険行為

  • その場で、ODしない

  • 刃物

  • ものに当たらない、壊さない

  • 営業行為

  • ゴミはゴミ箱へ

  • おもちゃは片付ける

  • けんかしない

  • 人のモノは盗まない

  • 意識がない状態で来ない

が挙がりました。

むしろ、こちらが想定しているより、他団体がスタッフ間で決めたようなルールが並んでいました。

実際に決まったルール


正直、子ども•若者の意見だけを聞いても、ルールにならないんじゃないかと心配していました。
けれど、結果的にこちらで決めたルールは当事者の子ども•若者が決めたルールが8割方でした。
決めたルールはこちらです。

  • 危険行為(暴力、OD、自傷)

  • 盗難

  • 営業行為(夜職、クスリ)

  • 飲酒

  • お金の回収、やり取り

(お金の回収•やり取りのみ、こちらで付け加えました)

なるべく、ルールは少なくしようとした結果、こうなりました。

また、ルールは、おかしいと思ったら、変えることが出来ることも、ルールと一緒に伝えました。

見方によっては、「居場所でその事象が起きたから、まだ良かった。外で起きていたら、暴力沙汰になっていたはず」という意見もあり、居場所で、大人の目があるから、防げることもあると思いますが、当事者の子ども•若者の意見も聞いて、上記のような結果になったし、何より、平和に居場所を運営していると、「本来の16,17歳ぐらいの子たちがあるべき姿を取り戻しているな」と思うことも多く、運営側としては、安心•安全を取り戻せる居場所であって欲しいと思うので、このルールを設定しました。

当事者を入れたルールづくりをしての感想

当事者の子ども•若者の意見を聞いてのルールづくりをしてみて、
やっぱり、やって良かったなと思うし、
意見を聞かず、ルールを決めていたら、またこと•若者たちを社会から排除し、彼らの居場所を奪うことになっていたかもしれないなと思います。

このルールで運営してみての状況にまた変更があればと書こうと思いますが、一旦、これでやっていこうと思います。


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