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バランス

先月は忙しすぎて、Noteの下書きすらも手を付けられなかった。
8月に今の会社に転職して、早3か月。
もっとスタートダッシュできるかと思っていたけれど、本来のRoleとは別なことに入社早々関わることになり、色んなことが停滞したまま名ばかりの試用期間も過ぎ、今日で漸くその巻き込まれ案件も終わって一息つくことが出来た。

先月なんてあまりに雑に振られた仕事(同僚曰く、パワハラレベル)の対応に追われ、ちょうどPMSとも重なって精神的に不安定になり、”前の会社に戻りたい”と思ってしまったりもした。
同時期に前職の上司や、退職時にとても残念がってくれた人達が声をかけてくれて、何人かとお会いしたり(COVID陽性で退職のご挨拶が出来ないまま、去ってしまったから)、ありがたいことに”戻ってきてよ”と言っていただいたり、懐かしい場所に後ろ髪を引かれるようなこともあったけれど、徐々に新しい場所にも居場所と人間関係が出来始めて、戻りたい気持ちは自然と萎んでいった。

仕事上でも、プライベートでも、居場所を変えることは、それがたとえ短期間であったにせよ、心の負担になるものなのかもしれない。
バランスを崩したひとを沢山見てきたし、自分も細い平均台の上を歩いているような、心細さを感じることが多々ある。

自分で決めたことであっても、その後どうにも出来ない事態が重なったとき、つい誰かのせいにしたくなったり、対処できないことに苛々したり、居場所がしっくり来ていないと尚更、視界が狭くなりがちだ。
その時々に自分の気持ちをどうコントロールするかで、自分の人間性や成長度合いが分かるなぁ、とこの1年弱を振り返って思う。

今も少し、引っかかっていることがあるけれど、数年前の私だったらもがいて苦しんでどうにかしようとしていたことを、他人の手にあることはもう自分の与り知らぬことと割り切って、自分から切り離してみることにした。
胸の奥にしこりは残っていても、今の私にはなにも出来ないから。

距離を置いていればそのうちに、しこりは消えてなんの感情も無くなる。
何か問題が起きた時、渦中にいると物凄く大きなことのように心を痛めたりするけれど、冷静にそのことが自分の人生の中でどれくらい大切なのか考え直してみると、自分の傲慢さや盲目さが見えてくるものだし、いつかは記憶の片隅に追いやられて、”なんであんなに大騒ぎしてたんだろうね?”と思う日がやってくる。

仕事も、人間関係も、実は人生においてそんなに重要なものではなくて、ただ単に私たちがアイデンティティを守りたいがためにしがみついているだけなんじゃないか、と思う。
それなのに、そんな些細なものに私たちはいつも振り回されて、バランスを欠いたり、傷ついたり悩んだりしている。


いつもより少し海側の航路を、飛行機が飛んで行く。
この季節はもう、17時を過ぎると暗い。
西日が僅かに残る空に、テールランプの光。
『エイリアンズ』の歌詞のように、音もなく、私の知らない人たちと、彼らの人生を乗せて。

この季節を共に歩きたかった人が、今ここにはいない。
話したかったことも、一緒に見たかった景色も、すべて置き去りにしたまま。
バランスを保てていると思ったけれど、実はこの数年ずっとアンバランスなままだったのかもしれない。
これからも季節は巡る。
ひとは完全には解り合えない、という孤独感を私の心の隅に残して。

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