見出し画像

いつか絵にしたい、「ちょっと灰色がかったカラフルな西荻」

私の実家は西荻窪にある。
そんな西荻に住んで、思ったことをつらつらと羅列してみる。

子供の頃はなんとも思ってなかったけど、大人になった今、その良さに気づく。私はそちらの類にはとうとうなれなかったけど、寡黙なのにユニークというか、なんか独特の雰囲気を街全体が持っている。雑誌なんかでもよく目にする。私はそれを、「ちょっと灰色がかったカラフル」と呼んでいる。

中央線と総武線の通る駅、吉祥寺と荻窪という大きな駅に挟まれた駅。次々と新しいお店ができるが、その店主たちはどことなく、そっけなく暖かい

猫のような感じ…?

「うちの店、興味あるならぜひおいで」と言われているような。

なので、自分のお気にいりのお店が見つかると、もうそこにしかいけなくなってしまう。

雑貨も飲食もパン屋も、美容院でさえも、全部そう。


そんな西荻のいつもの帰り道に、昔の自分がなんか素敵な言葉を残していた。4年前。学生最後の年。最後の最後の文章が完成せずに途中で止まってる。

そんな昔の私の西荻への思いを綴った文章で、この記事を締めくくります。笑

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【西荻のとある昼】
昼下がり、水を少し塗りすぎた水彩画用紙に、水色をぽとぽとと置いたみたいな空。誰にも取られたくないような気分になって、人気のない道をわざと選んで歩いた。

帰ってもすぐバイトで、家にあと30分もいられないんだけど、こんな帰り道はちょっと、歌を作ってみたくなったりする。作曲の仕方とか知らないけど。

もうこの街にも10年以上住んだ。途中、ちょこちょこ抜けたけど、小4からだからなんやかんやここが故郷なのかもしれない。見慣れた町。

いつもよりたまたま少し目線を上に歩いてみたら、違う町みたいに見えた。ちょうど駅から家までのみちの半分あたりにあるおおきなケヤキの木も、いつもより大きく、綺麗に見えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【西荻のとある夜】
5月終わりの金曜日の夜、西荻窪の北のほうの住宅街に向かって帰り道を進む。木香薔薇とかジャスミンとかの香りで満たされた西荻の夜はまるで、私を不思議の国に迷い込んだ絵本の主人公みたいな気分にしてくれる。

今だ!といわんばかりに咲いているのだろう、暗くて姿は見えないけれどその香りは、足の指先まで私を満たす。西荻の夜の一部になったみたいに。

大きな欅の木がある公園を横目に坂を下る。坂のちょうど真ん中あたりにひとつだけある街灯が、その真下にあるポストを、スポットライトのごとくぽつんと照らす。後ろの花壇から伸びた雪柳にもうすぐ隠されてしまいそう。

アパートの階段を上がり、玄関をくぐり電気のスイッチを押す。
オレンジ色に照らされたそこには、いつもの暖かい空間が広がっている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

西荻の日常、

いつか絵にしたい、そんな風景。






この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?