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メガネに憧れていたのに、コンタクトユーザーに

「目と歯は一生ものだから大事にしてね」母から繰り返し言われている言葉だ。

身体の部位で言えば、手や足だって、臓器だって"一生もの"には変わりない。比較するならば、切ってもまた生えてくる髪の毛や爪とは違うことを言いたいのだと思う。

歯については、虫歯もちょこちょこ治してはいるが、現時点で銀歯もなく岩のように固いおせんべいも美味しく食べられる。

問題は目なのだ。小学生の頃は視力が良かったが、10年位前からじわじわと悪くなってきた。

幼少期はメガネへの憧れが強く、健康診断の時の検査でわざと見えないふりをした。

再検査をするが、当たり前だけれどウソはバレで「異常なし」診断。

今思えば忙しい母を病院まで付き合わせて、心配もさせて、なんちゅー娘だよって感じだけども。

人と違うことがかっこよく見えて、当時はメガネを掛ければお洒落な子になれると本気で思っていた。

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最近になって視力の低下により、日常的にメガネをするようになった。

ところが、幼少期にあれほど憧れていたメガネ生活を手にすると、裸眼で見えていた時に戻りたくて仕方なくなった。

理由は当たり前のことなんだが、メガネを長時間掛ける習慣が無いので、鼻パッドにかかる重みや、視野の狭さにどうにも耐えられないのだ。

そしたらやることは一つ。コンタクト生活を新しく始めるしかない。

調べてみると購入には眼科の処方が必要とのことで、ひとまず「コンタクト 初めて 新宿 東口」で一番最初にヒットする眼科へ。(新宿にしたのは、その日に用事があったというだけの理由。)

案の定、同じ目論みであろう人達で溢れいて「初診は3時間待ちです」と、ディズニーランドの新しいアトラクション並みの待ち時間をサラッと告げられる。

そんなに待てるか!!と新宿東口駅前に戻って途方に暮れていた時、1人のおじさんと目が合った。

普段なら街頭のビラ配りの人には(ティッシュ以外は)気にも留めなかったのだが、その時は自然と話しかけていた。

メガネに憧れていたのに、メガネを掛けないように注力しているなんて小学生の頃を思うと皮肉なもんだ。

おじさんが配っていたビラのコンタクト屋さんは眼科に隣接していて、医師の処方も待ち時間なくで出来るとのことでその足で向かう。

受診前に試してみたいレンズを選ぶのだが、種類の多さに億劫になり、早くもコンタクトデビューへの暗雲が立ち込める。

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検査してみると乱視。その中でも特殊な部類の斜乱視(斜めにぶれて見える)だった。

こうなると選べるレンズは乱視用に限られ、種類も減れば価格も近視用に比べれば高くなる。

あのレンズを選んでいた時間は何だったんだろうと思った。

Zoffのメガネで「お手頃なの買えた!」ってよろこんでいたのに、乱視用コンタクトは1ヵ月でZoffのメガネ1つ分。コスト問題も浮上。

だけども、ケアの手間やコスト問題を考えても、この裸眼のように広がる視界は代え難いと思った。

コンタクトを始めてから、会う人会う人にコンタクトデビューを伝えると、びっくりすることに9割程がコンタクト派だった。

それぞれに「ラクだから絶対毎日使い捨て」であったり、「モイストタイプしか無理」と言ったこだわりがあって、長年一緒にいる友達もこんな葛藤があったのかと初めて知る。

踏み出してみると見える世界がある、と改めて気付いた新生活の始まり。

編集:アカ ヨシロウ

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