タイムスリップは突然に〜しあわせを呼ぶフラッシュバック〜
四月は嫌いだ。
母が旅立ったのが、この四月だったから。
春は過ごしやすくて好きな季節ではあるんだけれど、四月が来るたびに毎年せつなくなって、ちょっと胸が痛くなる。
四月は「出会いの季節」じゃなくて「別れの季節」。
母を失ってから、私のなかで「四月」の意味は一変してしまった。
あれからもう、10年も経つっていうのにね。
あの日の記憶が、いまもまだ鮮明に残ってる。
まるで昨日のことのように、まざまざと記憶がよみがえるんだ。
あのとき目にしたもの、耳にしたもの、会話の内容、