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阪神タイガースの快進撃にみる、男の涙の美しさ

人前で泣くということ

人前で泣くなんてことは、昭和ではまずありえないことだった。

「男の子だから泣いちゃダメ」

我々世代の男性は、幼い頃からそう言い聞かされて育てられてきたのだ。

「男たるもの、簡単に泣くものではない」
「泣いていいのは親が死んだときだけ」

などといった言葉も、当たり前のようによく耳にした時代だった。

それは、女性の場合でも大して変わらなかったと思う。
すぐ泣く子どもは、女の子であっても嫌われたものだ。
極端なことを言えば、人を不快にさせる迷惑行為であり、厄介者扱いされてしまうのがオチだ。

それくらい、人前で泣くことは恥ずかしいことであり、してはいけないこと。

我々昭和の人間は、そうやって育ってきたのだ。


阪神タイガースのこれまでの戦いぶり

阪神タイガースの快進撃が止まらない。

2023年シーズンより、岡田彰布監督が阪神タイガースの監督として再び采配を振ることになった。
2005年以来、遠ざかっている「アレ」を目指して爆進中である。

今日時点で46試合を終え、31勝14敗1分。貯金はすでに17。
勝率は.689で12球団トップ。
得点も189で12球団トップ。
失点は131で、12球団中2位。現時点でパ・リーグ首位の千葉ロッテマリーンズに次いで少ない。

ちなみに本塁打は26本と、セ・リーグでは中日ドラゴンズに次いで少ない。
甲子園を本拠地とするタイガースは、どうしても本塁打が少なくなりがちだから仕方ないとして。…にもかかわらず、この得点力よ!
得点力不足に泣いた昨年までのシーズンとは雲泥の差がある。

5月13日の横浜DeNAベイスターズとの首位攻防を制して同率首位に立って以来、ガッチリ首位をキープしている、我らが阪神タイガース。

現在2位につけているベイスターズとのゲーム差は、現在6.0。
ベイスターズも強いが、なんせタイガースが負けないので、面白いようにゲーム差が広がっていく。

破竹の勢いとは、まさにこのことだ。
今年のタイガースは、間違いなく勢いがある。

大量点での快勝があれば、1点差ゲームを制するシーンや逆転勝利のシーンもよく見る。

これはまさに、「『アレ』するチーム」の勝ちかただ。
「アレ」した2003年、2005年のタイガースを思い出さずにはいられない。

リードされてて劣勢でも、負ける気がしないのよ。

これはホンマに、ホンマに、、、
「アレ」あるで…!!!

否が応でも期待をせずにはいられない。
いったいどこまでいくんだろう、今年のタイガースは。

オールスターファン投票の中間発表では、村上くん・ザキさん・大山くん・中野くん・サトテル・きなみん・ちかもんと、タイガースからなんと7人もの選手が1位に選ばれた。
この結果を見ただけでも、ファンの期待の大きさが伺えるってもんでしょ??


好調タイガースを支える投手陣

打撃も好調で、打線がよくつながっているからここまでの得点力につながっているわけだけれど、いまのタイガースを支えているものは、充実した投手陣であると思う。

今年のタイガースは、投手力が半端ない。

5月26日のジャイアンツ戦で、7回1失点の好投でプロ初勝利をあげた桐敷くん。村上くんといい、才木くんといい、期待の若虎が奮闘し、きっちりと結果を残しているのがとっても頼もしい。

昨日、5月27日のジャイアンツ戦に先発した大竹くんもそのひとり。
決して好調ではなかったと思うけど、7回無失点の力投を見せてくれた。
しかも四死球なしという抜群のコントロール。

甲子園での伝統の一戦、阪神・巨人戦。
両チームともにオールドユニフォームに身を包み、1点を争う。
前日と同じような投手戦となった、この日のゲーム。

両者無得点のまま迎えた7回裏。
7番の坂本くんが四球で出塁。
8番のきなみんが送りバントを決めて、二死2塁。
ここまで好投を続けてきた大竹くんに打順が回ってきたところで、代打が告げられる。

バッターボックスに立つのは、渡邉くん。

大竹くんに勝ちをつけるために、絶対に塁に出なければならないところ。
ここ、めちゃくちゃプレッシャーやったはず。
だけど渡邉くんは四球を選んで、しっかりつないだ!

これで二死1,2塁となり、1番・ちかもんへと打順が返る。

驚異の得点圏打率5割という数字を誇る、ちかもん。
この日もしっかりと結果を出したのは、さすがです!

ちかもんらしい、鮮やかなセンター前タイムリーヒットーーー!
待望の先制点!!!

大きな大きな1点が入り、これで大竹くんに勝利投手の権利が…!!!

手を叩きながらベンチを飛び出し、喜びを全身で表現していた大竹くん。
めいっぱいの笑顔を見せていたが、それはすぐに涙を拭う仕草に変わった。
ベンチに戻ってシートに座ると、みるみるうちに顔がぐしゃぐしゃになっていく。

「えっ、うそやん、泣いてる??」

テレビ中継を観ながら、私はすかさず突っ込んだ。

普段はポーカーフェイスで、あまり表情を崩さないタイプの大竹くんが、人目も憚らずめっちゃ泣いていた。まるで子どもみたいに。

Twitterでは「大竹泣いてるやん」「大竹の涙」がトレンド入りする事態に。
もらい泣きしたというファンの声も多数あった。

もっと投げたかったのに自分に代打を送られて悔しいという気持ちと。
自分に勝ちをつけるために仲間が必死になって点を取ってくれたという嬉しさと。
これまでの道のりとか、つらかったこととか、きっといろんなことがこの一瞬に頭をよぎったんじゃないかな。

いろんな感情があふれて止められなくなって、感極まったんだよね。
こんなんで泣くなんて。まだ試合中やで。とも思ったけど(笑)
大竹くんの人柄がじゅうぶんに伝わる、とってもいいシーンだったな。

この後、なおも猛虎の猛攻は続いた。
2番・中野くんが二死2,3塁から、ちかもんに負けじとセンター前への2点タイムリーヒットを放ち、3-0とリードを広げた。
9回表に1点差まで詰め寄られ、ヒヤヒヤだったが逃げ切り、見事勝利を収めた。

6勝目のウイニングボールを受け取る大竹くん(阪神タイガース公式サイトより)


大竹耕太郎ってどんな選手?

大竹耕太郎投手は、熊本出身の28歳。
184cm、87kg。左投げ左打ち。

濟々黌高から早稲田大を経て、2018年に育成ドラフト4位で福岡ソフトバンクホークスに入団。2023年、現役ドラフトで阪神タイガースへ移籍しプロ6年目を迎える。

ホークス時代の5年間で35試合に登板し、10勝9敗。
2019年シーズンでの5勝が過去最高の成績だったという。
タイガースへの移籍1年目で、現時点で7試合に登板、開幕から無傷の6連勝。

早くもソフトバンク時代の成績を超え、キャリアハイを達成してしまったというわけだ。

失点・自責点ともに、わずか2点。
防御率は「0.40」、勝率は「1.000」という、えげつない数字である。

これで11球団目の勝利となった大竹くん。
あとは古巣のホークスだけ!
今年の交流戦、楽しみだね!

これほどの選手が、ソフトバンク時代にはそれほど活躍できなかったなんて、ほんと不思議でならないんだが。。

スピードボールでガンガン勝負してくる投手が多いパ・リーグに比べると、セ・リーグでは、緩急を駆使した投球術のある投手が多い。
制球力のある大竹くんは、セ・リーグ向きなんだろうね。

ほんとに、タイガースに来て、大きく花開いてよかったね!!!

そして、ファンとしては「タイガースに来てくれてありがとう!」と言いたい。大竹くんがいてくれてなかったら、ここまでの快進撃はなかったはずだから。

「アレ」するときって、多くの名場面が生まれるもの。
すでにこれまでのゲームでもそんなシーンがたくさん観られたけど、きっとこの日のこのシーンは、今シーズンを語るうえで欠かせないエピソードになるんだろうな。

だけど、シーズンはまだまだこれから!
まだ「アレ」してないのに、泣くのは早いで!

残りあと97試合!
「アレ」したときに、また思いっきり泣いてね!!!

5カード連続で勝ち越しを決めた、タイガース。
交流戦前ラストゲームとなる今日もしっかり勝利して、これで連勝を8まで伸ばした。

ここまで3連敗が一度もないという。
12球団で唯一、タイガースだけなんだって。
ここ16戦で15勝1敗だって。エグいな!!!

この先どんな名場面を見せてくれるのか、本当に楽しみな今年のタイガース。実に応援しがいがあるというものだ。

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