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憧れのル・コルビュジェに会いに行く旅。

ひとりおでかけのうち、半数は建物めぐりをしている。
建築系の出身でもなく、専門知識もないので大したことを語ることもできないけれど、なぜか建物を見ることやその空間にいることが大好き。ちなみに、パートナー氏も建築家である。

1番好きな建築家は、近代建築の三大巨匠のひとり、ル・コルビュジェ
大学時代の授業で彼の作品が紹介されていて、「住宅は住むための機械である」という合理的な考え方にすっかり魅了された。2016年には、東京都の国立西洋美術館を含む、世界中に点在する17の建築物が世界文化遺産に登録された。

Le Corbusier
1887-1965年、スイス生まれ。オーギュスト・ペレ、ペーター・ベーレンスの事務所を経て独立。1914年ドミノ住宅を発表し、以後モダニズムの最前線を走る。52年のユニテ・ダビタシオン以降、彫塑的な作風に。代表作はピロティ、屋上提案などのモダニズム建築の要素「近代建築の5原則」が盛り込まれたサヴォア邸、晩年のロンシャンの礼拝堂など。

BRUTUS特別編集「建築を楽しむ教科書」(マガジンハウス)

「近代建築の5原則」が詰まったサヴォア邸に行きたいと思い続け、数年前に念願かなって、フランスのポワジーへ旅をした。
パリ市内から電車とバスを乗り継いで約1時間。門から緑に囲まれた遊歩道を抜けた空間に姿を現したサヴォア邸(villa Savoye)。90年近く前の建築とは思えない現代的な美しさ。柱、床、階段を骨組みとした建築手法、鉄筋コンクリートによる華美な装飾がないシンプルで滑らかな壁面、合理性を重視したモダニズム建築。いまや見慣れたこの形が、ル・コルビュジェなくしては成立していなかったと思うと、その存在の大きさは計り知れない。

「近代建築の5原則」(ピロティ、自由な平面、自由な立面、水平連続窓、屋上庭園)が
体現された最高傑作とも呼ばれるサヴォア邸。

コロナ禍が明けてまた海外の旅が出来るようになり、つい最近、晩年の傑作のひとつであるロンシャンの礼拝堂(Chapelle Notre-Dame-du-Haut de Ronchamp)への旅が実現した。
うねるような曲線美の屋根に、不揃いなステンドグラス様から差し込む神々しい光と、白いコンクリートのコントラスト。宗教建築として圧倒的な革新性(現代においても)に、芸術家としてのル・コルビュジェを感じた。この日は地元のミサが行われていて、中世から礼拝堂があったこの丘が、キリスト教の聖地として巡礼されてきた歴史を感じた。

コルビュジェの宗教建築のひとつ、「ロンシャンの礼拝堂」。
他にも「ラ・トゥーレットの修道院」「フィルミニの教会」を手がけている。

この先もきっとル・コルビュジェ巡礼を続けていくのだけれど、必ず行きたいと思っているのは、終の棲家となった、カップマルタンの休暇小屋だ。人間の暮らしの本質が詰め込まれている簡素な「究極の狭小住宅」とも言えるこの空間を、人生の最後の場所に選んだ彼の思いに、いつか触れたいと思っている。


礼拝堂と同じ敷地内に、イタリア人建築家のレンゾ・ピアノが設計した修道院がある。彼の作品では、サヴォア邸の旅の途中で立ち寄ったパリのポンピドゥーセンター、ニューヨークのホイットニー美術館を訪ねたことがあり、パートナー氏が最も好きな建築家に挙げていた。24年冬から、日本でも東京海上ビルディングのプロジェクトが着工するらしく、完成が待ち遠しい。

レンゾ・ピアノが2011年に手がけた修道院(左・中)と、ポンピドゥーセンター(右)。

Renzo  Piano
1937年イタリア生まれ。リチャード・ロジャースと共同でコンペを経て設計した〈ポンピドゥーセンター〉(1977)で世界的な注目を浴びたのち、ピアノは1981年にオフィスを地元ジェノヴァに設立。日本でも関西国際空港(1994)、熊本の牛深ハイヤ大橋(1996)、 銀座のメゾン・エルメス(2001)で知られるように、規模もタイプも異なる100余りの作品を世界各地に建ててきた。

Casa Brutus (2018年10月号)レンゾ・ピアノの半世紀を振り返る

早朝のバーゼル空港内のラウンジ。驚く数の名作家具・・・

ちなみに、バーゼル空港のラウンジにはル・コルビュジェがデザインしたLC2ソファをはじめ、Zanottaのラウンジチェアなど、高級な名作家具がずらり。ずっとここにいたい…と思わずため息が出た。


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