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LAPRASのデータから見るITエンジニア転職・採用環境の今(2023年12月)

こんにちは。LAPRASの代表の染谷です。
ITエンジニアの転職・採用を生業にしていますが、この1年のメガベンチャーやスタートアップのITエンジニア転職・採用の状況は激動だったな、と思っています。

つい4ヶ月前の8月には、ITエンジニアの採用市況が大きく引き締められたことを記事としてまとめました。ちょうど、その前くらいから「エンジニアバブルの崩壊」という言葉も一部で囁かれていた時期です。

ですが、年末が近づくにつれて、そこから大きくエンジニアの転職・採用の状況が変わってきたと感じております。今回の記事では今年の夏頃からエンジニア転職・採用環境がどう変わったのかを、LAPRASから見えている範囲にてお伝えします。

なお、こちらの記事は LAPRAS Advent Calendar 2023 の18日目の記事です。LAPRASのアドベントカレンダー、面白い記事が盛りだくさんですので、他の記事もぜひ眺めて見てください。


2023年10月〜の採用ニーズ"量"の揺り戻し

8月に書いたITエンジニア転職・採用環境の記事では、以下のように書いていました。

採用計画は4月と10月の半期ごとにを見直す企業が多いのですが、2022年10月のタイミングで大手企業からスタートアップまで幅広い規模のWeb系企業で、エンジニア採用計画を縮小したり、エンジニア採用や採用自体を凍結する企業が増えました。
そして、その傾向は2023年4月からの採用計画でも継続しています。

LAPRASのデータから見るITエンジニア転職・採用環境の今(2023年8月)

しかし、10月以降の採用計画が見えてきたお盆明け以降から、2022年10月以降の引き締めが続いていたものが一定戻ってきているように感じております。

下記のグラフはLAPRAS SCOUTを新規導入した企業の採用予定人数を示したものですが、「3〜5月」に比べると「8〜10月」は1社あたりの採用予定人数の回復していることが見て取れます。

3月〜5月では、2022年に比べて採用予定人数が約半減したが、最近は同等水準まで戻っている

LAPRASではスタートアップ・メガベンチャーのエンジニア採用主要4サービスであるForkwell、転職ドラフト、Findy、LAPRAS SCOUTに求人掲載中のユニーク社数を毎月モニタリングしていますが、この社数も9月以降伸びが加速しています。

エンジニア採用活動を積極的に行なう社数は2022年10月から2023年8月にかけて一時期縮小、停滞していましたが、9月から年末に向けてまた伸びております。

ですので、スタートアップ・メガベンチャーのエンジニア採用ニーズ"量"について2022年のいわゆる「エンジニアバブル」と描写される頃の水準に徐々に戻りつつあります。

しかし、一方でエンジニア採用ニーズの"質"についてはすぐに2022年以前のようないわゆる「エンジニアバブル」と描写される頃には戻らないと感じております。

エンジニア採用ニーズの"質"の変化

ハイレイヤー志向になっていくエンジニア採用

8月の記事に書いた2022年後半から2023年前半のエンジニア採用の引き締めでは1社あたりの採用予定人数が減りました。その減少の内実はメンバークラスの採用枠が縮小したもので、シニアエンジニアやテックリード層の採用枠は実は大きく変わってはいませんでした。

採用の引き締めによって企業の採用予定人数はトータルで減少していますが、それが特にメンバークラスの採用で減少しています。

一方で、ハイレイヤについては採用の引き締めをあまり受けておらず、引き続き企業のニーズは高い状況になっています。

LAPRASのデータから見るITエンジニア転職・採用環境の今(2023年8月)

今回のテーマである、2023年年末に向けての変化ではトータルの採用枠は2022年に近い水準に戻っていますが、このハイレイヤー志向の傾向は強まったままです。

下記のグラフはLAPRAS SCOUTを新規導入した企業のレイヤー別の採用予定人数を示したものです。

2023年前半と比べるとすべての層で採用予定人数が伸びているが、ミドル層は2022年の水準には戻っていない。

採用予定人数は増えた中で、採用したいポジションはハイレイヤー志向が強く、ハイレイヤー採用はより熾烈になっている環境です。

エンジニアの採用優先度と採用要件の変化

8月の記事に書いたエンジニア転職・採用環境では、スタートアップ・メガベンチャーの採用におけるトップアジェンダが、必ずしもエンジニアではなくなっていることを書きました。

昨年(※2022年)はWeb業界の各社がこぞって最優先の採用職種としてエンジニアを掲げていた状況でしたが、今年は各社の状況に応じて引き続きエンジニアを最優先に置く企業もいれば、セールス・マーケティングを最優先に置く企業もいる、採用自体を止める企業もいる、そんなイメージです。

LAPRASのデータから見るITエンジニア転職・採用環境の今(2023年8月)

今回のテーマである2023年年末に向けての変化では、前述の通りエンジニア採用予定人数は拡がっていますが、2023年前半と同じく最優先の職種は企業によって異なるという状況に見えています。

スタートアップへの投資が加熱していた2022年までは、先行投資的にエンジニアを集めることが善しとされていた風潮がありましたが、2022年後半からの「スタートアップの冬」を経て、利益志向で考えるスタートアップや事業成長に直結する採用を重視するスタートアップが多くなったことの表れのように考えています。

また、このことはエンジニア採用のターゲット・要件の変化にも影響を与えており、事業・プロダクトや組織の成長に対して柔軟に貢献していく志向をもったチーム志向・プロダクト志向のエンジニアを企業としてもより求める傾向に繋がっています。

企業のエンジニア採用へのリソース投下具合の変化

上記の変化を受けて、企業のエンジニア採用にかけるリソースの投下量も変わってきております。

一口にエンジニア採用にエンジニアが関わると言っても、
・エンジニア全員がエンジニア採用に関わる
・一部のエンジニアが採用に関わる
など、採用に使う時間と開発に使う時間のトレードオフが発生する中で、採用の優先度に応じてエンジニアが採用に関わる範囲や仕組みに各社ごとの工夫が表れる様になっております。

参考)エンジニア全員が採用に関わるアルダグラムさん

参考)ハイヤリングマネージャーとなるエンジニアが採用に関わるストックマークさん

また、採用代行(RPO)や副業人事のプロシェアリングの活用もさらに増えている状況です。

エンジニア採用の優先度が変化する中で、どれくらいエンジニアのリソースを活用するか、採用代行(RPO)など外部のリソースをどの程度活用するか、といった採用の仕組みや体制構築がエンジニアのマネジメント層や採用担当の腕の見せ所になっています。

まとめ)エンジニア採用再び盛り上がり中

ここまで、メガベンチャーやスタートアップのITエンジニア転職・採用の近況をまとめてきました。
シンプルに言えば、23年後半から年末にかけて、またITエンジニア採用が盛り上がり始めていると言えます。

これがこの先、2022年のようにさらなる盛り上がりに繋がっていくのかはまだわかりません。ただし、業界全体として2022年のエンジニア採用の加熱っぷりを経験している中で、「採用要件を緩和してでも採用する」「とにかく採用人数を達成する」とはなりにくいと思います。

ですので、ITエンジニア採用は、ハイレイヤー志向、人数よりも質重視でゆるやかな加熱を続けるのではないか、と個人的に思っています。

今後、どんな採用・転職環境の変化があるかわかりませんが、転職を考えているエンジニアの方も、採用を考えている企業の方も、みなさんで環境変化に対応していきましょう!

最後に)「LAPRAS」&「LAPRAS SCOUT」をぜひご活用ください

転職検討中のエンジニアさんへ

LAPRASは、ITエンジニアの貢献を伝える転職サービスです。
職歴では伝わらない、WEB上のアウトプット等の日々のエンジニア活動や、それを踏まえた技術的な強みが企業に伝わります。
転職活動を考えているエンジニアの方はぜひお試しください。

採用担当者の方へ

ハイレイヤ・ミドル層のエンジニアの採用の際は、LAPRAS SCOUTをご検討ください。
これまで、累計で700社以上のスタートアップやメガベンチャーのエンジニア採用を支援してきたスカウト型の採用サービスです。

最近は企業側のリソース負担すくなく、弊社で運用支援をさせていただきながら採用を進めることのできるPROプランという新プランも8月に誕生しています。
(さっそく、年収1000万超えのエンジニアさんの採用決定が複数出ています)


記事を読んでいただき、ありがとうございます!