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既知と無知と、それぞれの美学

『プール撮影会』というワードがトレンドになっていた。

近日開催される県営公園での女性の水着撮影会が 『都市公園の目的にふさわしいものとは到底考えられない』として 中止を求めたそうで、

この記事を書き進めているなか イベントの中止が発表されていた。


アイドルとして活動をしているものの グラビアのお仕事は一度もしたことがないわたしのタイムラインにも それについての発信が山程流れてくる。

上のツイートでも発信したとおり わたしは正直女の子のグラビアに苦手意識があった。それがどんなにわたしが憧れている女の子でも。昔から自分自身が私服で肌を見せることが苦手だったということもあって、相対するそれをうまく受け入れられなかった。『性の商品化』に、否定的な気持ちがずっとあった。


わたしたちSOMOSOMOというアイドルグループが 初めてグラビアのお仕事をいただいたのは、雑誌の水着特集だった。メンバーのなかでふたりが掲載されることになりわたしは 良かったね、がんばってね、と言った。

内心ずっと否定的な気持ちは拭えないままだった。それでもそんな言葉をメンバーにあげたのは、わたしのあまりにも個人的過ぎる考えを押し付けるのは気が引けたし、撮影に向けて努力の準備をするメンバーに水を刺したくなかった。それにわたしは、『がんばる人を応援できない人』になりたくなかった。

そんな意地のような気持ちをこっそり隠し持ったまま、わたしは本屋さんに並んだその雑誌を買った。ページをめくるといつも隣にいるメンバーがいた。その雑誌と差し入れを持って、ふたりのサイン会に行った。


誇らしかった。
それと同時に、わたしはすこし 恥ずかしくなった。


そういえばわたしはずっと 人間味のある女の子が好きだった。粗が見えない洗練された完璧な女の子ももちろん尊敬するのだけれど、わたしが好きな女の子はみんな闘っていた。悩んだり努力したり、時には悲しさや辛さを吐き出して生きる女の子が好きだった。

この水着とこの水着だったらどっちがいいと思う?この写真載せようと思うんだけどどんな文章をつけたらいいかな?もうすぐ撮影があるから食生活気をつけてるし筋トレもがんばってるの。

その努力を間近で見ていたら、ほんのすこしの意地が混じった応援がいつしか 純粋な応援の気持ちになっていた。


知らない、って、怖いな、と思う。
知らない、って、悪意なく無意識に誰かを傷付けたり否定してしまうことがあるのかもしれない。わたしも、あなたも。


でも、もしかしたらどこかに この話題で救われた気持ちも すこしはあるのかもしれない、とも思う。

水着撮影会の中止の申し出は ただ頭ごなしに誰かを否定したかっただけではなくて、誰かや何かを守るための思いも少なからずあったのではないか、とも思う。女の子が『性』として、悲しい消費をされることから守りたい、という正義の気持ちもあったかもしれない。


冒頭にも書いたとおり わたしは昔から肌を露出するのが苦手だった。わたしはアイドルとしてデビューしてからのこの約4年で数回衣装が変わったけれど、そのどれも長袖にロングスカートの衣装を作っていただいていた。

先月新しくなった衣装は 今までわたしが着てきた衣装の中で いちばん露出が多くなった。

( SOMOSOMOの衣装製作はメンバーも打ち合わせに毎回必ず参加させていただけて、要望を聞いていただけるので 無理矢理露出させられた!とかではないよ!コンセプトやデザイン性などを加味して考案していたらこうなりました わたし自身とってもお気に入りで ファンの方にもとっても好評な衣装)


正直最初は、というかいまでもすこし、ほんのすこしだけ、やっぱり肌を露出することに苦手意識はある。昔から抱いてきた気持ちはそう簡単に変われないことも実感する。『性』として悲しい消費をしているような気持ちになる瞬間が、全く無いと言ったら嘘になる。

それでもこの衣装になってから、これを身に纏うと これまでよりさらに 身も心も引き締まるような気持ちになれる。
スタイルを褒められることが増えて いままで感じたことのなかった嬉しい気持ちを知ったし、日常の中でも綺麗なスタイルで極力いられるように 姿勢や食生活にさらに気を遣うようにもなった。
こんな気持ちや考え方も、知らなかったことを知ったから抱けるようになった。


裏側まで全部知ってくれ とまでは言わないのだけれど、アイドルや人前に出る女の子の面白さのひとつに その成長を応援できる、という要素もあると思う。

人を好きになる理由は多種多様で その人が完璧だから好き、というのもあるだろうし わたしと同じようにその人の人間味が好き、というのもある。女の子の特権を煌めかせて それぞれがそれぞれの美学で誰かを肯定する、そんな自由な世界であれたら。


わたしは女の子に生まれたことしか無いから 他の存在と比較するような言い方を安易にするのはどうかと思うのだけれど、いまだけは、ちょっとだけ、言わせて欲しい。女の子は大変な生き物だと思う。女の子がうまく生きるのは大変だと思う。女の子だからって若いからってだけで 舐められることがあるし、容姿や偏見で誰かや自分自身に指摘された囁かな欠点にへこたれてしまいそうな瞬間がある。それでも歯を食いしばって今日も可愛く生きられますようにと祈っている。自分や誰かが 自分自身を可愛いと思って生きられますようにと祈っている、と思う。

どうか、どうかこれからも女の子が 自分自身にも 誰かにも 大切にされますように。


わたしたちSOMOSOMOのなかで いま唯一グラビアのお仕事をしたことがあり 近代麻雀水着祭にも出演させていただいたことのあるコトコ、親馬鹿のような目線かもしれませんがめちゃくちゃ可愛いです。ほんとうに可愛い。近代麻雀水着祭の日、コトコの名前でエゴサーチして写真を見てしまうくらい可愛い。こんなに可愛いのに普段のライブではロックスターみたいに格好良い。なんだそれ。関西弁でめちゃくちゃ喋ったり煽ったりする、自慢のメンバーです。このお写真たちを同じくメンバーのミキが撮ったというのも良くない?自慢のメンバーです。SOMOSOMOはいいぞ。

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