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CDが売れない時代にCDを出すということ

学校が辛くてたまらなかった頃 毎週金曜日は学校帰りにタワーレコードに寄ってから帰る、というご褒美を決めていた 


予約していた新譜を受け取ったり それに加えて数量限定の特典を受け取ったり インストアライブの参加券を受け取ったり ラジオでたまたま聴いて惚れた曲のCDを探したり 目についた試聴機の音楽を聴いてみたり アイドルになった同じ中学の先輩のCDを探してみたりもした

オンラインショップを開いて欲しい商品を片っ端からカートに入れて合計金額を見て肩を落としたり 買ったCDは必ず専用のビニールケースに入れて取り出すときは慎重に 極力CDケースに傷や指紋がつかないようにしたり ライブハウスで買ってサインも入れてもらったCDはマフラータオルに丁寧に包んでリュックの一番上に乗せてどきどきしながら帰路についたり 

ぴかぴかのプラスチックのケース 紙のケース ジャケット写真や歌詞カード 帯やディスク ケースの内側のデザイン 質感 色味 フォント そして何より音楽そのもの そのひとつひとつに誰かしらの愛が込められて それらが重なったり組み合わさったりして詰め込まれて やっとの思いでわたしの手に届く宝箱


わたしはエンターテインメントは形に残るものを手に取りたいタイプだ

なんにせよ結局わたしはエンターテインメントが好きであるということを念頭に置いた上で敢えて言うのなら チケットは電子チケットより紙チケットがいいし 本は電子書籍より紙の書籍がいいし 音楽はストリーミングよりCDがいい 

デジタルはネットの海に薄まって 一度忘れてしまったらきっかけがない限り思い出せないような気がしてしまうけれど 紙チケットや紙の書籍やCDは 本棚に目を向けて視界に入ればいつだって その色鮮やかさや それに呼応する思い出を鮮明に思い出させてくれる

(ような気がしている、だけかもしれない)(これらはぜんぶ 拘りでもあり意地でもあるのだと思う、エゴだと思われたり言われたりしたらそれまでかもしれない)


「良かったらわたしたちの曲聴いてください、ほぼ全曲配信してるから」「CDは出してないんだよね?」「出してます、シングル1枚とアルバム2枚。もうすぐまたアルバムをリリースするし」「へえ!すごいね、こんな時代なのに」

先日初めて会う方とこんな話をした その時わたしは『すごいね』という言葉への純粋な嬉しさと同時に ああ、やっぱり、今は『こんな時代』なのか、と寂しくもなった けれど、

そうだ CDをリリースすることはすごいことなんだ 忘れそうになってしまうし リリースしただけで誰の手にも取ってもらえないなんて寂しくて悲しいから 1人でも多くの人の手に取ってもらいたいけれど それ以前にまず忘れたくないこと CDをリリースできるって 本当にすごくて嬉しくて幸せなことなんだ そう思ったら更に CDという存在が愛おしくてたまらなくなった

学校が辛くてCDショップに逃げ帰るのを心待ちに1週間をなんとかやり過ごしていたあの頃のわたしに ちゃんと教えてあげたい あなたがいるその場所に 自分たちのCDが並ぶ日が来るよ 



来週5月18日(水) SOMOSOMO 3rd Album『Origin』をリリースします 

今回なんとタワーレコードさんの2022年5月度『タワレコメン』にも選出していただき 全国のタワーレコードさんに並ぶことになりました 嬉しすぎる どうしよう ありがとうございます 本当にありがとうございます

レコーディングがどうだったとか 作詞がどうだったとか ジャケットの撮影がどうだったとか 特典のソロ音源やミニ写真集 名刺カード ランダムチェキがどうだとか たくさんしたい話はあるのだけれど ここにまだ閉じ込められて燻っている5曲を早く聴いて欲しい気持ちでいっぱいです 

もちろんストリーミング配信でも聴いて欲しい 比較的気軽に手早く誰かに届いて いつでもそばにいさせてくれるのも嬉しい でもきっと CDを買う、という一手間をかける価値のある もしくはそれ以上の意味のある一枚になったような気がしています CDが売れない時代だからこそ CDを買うという行為の価値は上がっているんじゃないだろうか

どうかわたしたちのCDがその手に取ってもらえますように そしてあわよくば 愛してもらえますように!

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