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かわら版No.39 予算特別委員会を終えて。音楽、オーケストラのように

いつもお読みいただきありがとうございます。

米沢市議会3月定例会は、予算特別委員会での全質疑を終了し、令和6年度米沢市一般会計予算他、予算特別委員会で可決承認され、4月22日の本会議に送られました。

初めての予算特別委員会でよくわかったことは、米沢市にはお金がない。ということです。お金がない場合、歳出を削るか歳入を増やすか、そのどちらかですが、予算特別委員会では、新しい歳入の確保について、実績根拠のないふるさと納税の拡大のみが声高に宣言されるのみでした。少し辛口ですが、音楽で例えれば、オーケストラを聴きに行ったら、大きな音を鳴らすソロ演奏がいて、各奏者の音からはどのようにしたらよいのかわからない戸惑いを感じ、僕にはそんな予算特別委員会に聴こえました。

学生時代の僕の学ぶまちには、交響楽団と素晴らしいコンサートホールがあり、お得な年齢割引チケットや時には会員の方のご厚意で、度々オーケストラの演奏を聴く機会に恵まれました。世界的な指揮者による世界の若手音楽家を育てる国際教育音楽祭がこのまちでは開催されていることも、僕のような音楽素人のオーケストラへの敷居を気軽なものにしていたかもしれません。毎回演奏会を聴いたあとは、コンサートホールのある公園内を後にする市民の足取りはとても幸福そうだったと、今も心が記憶しています。

僕は、何を思ったのでしょうか。

3月の議会は、毎年、次年度の予算を審議する特別な委員会、予算特別委員会があります。言わば、米沢市の年一回の腕が試される定期演奏会の中でも特別な演奏会です。指揮者は市長、奏者は各担当部局、そして、それを聴く市民と、評論をする議員、各々がかかわるまちの一大イベントと言ってもいい、そんなイメージを抱きました。

僕は素人だけれど(素人だからこそというべきか)、音楽を聴くときは無心に耳を澄ませ、その音楽の素晴らしい部分をただ素直に聴き取り、身体に取り入れようとする。素晴らしい部分があれば幸福な気持ちになれるし、あまり素晴らしくない部分があればいささか残念に思う。もしその上で余裕があれば、素晴らしいとはどういうことなのか、あまり素晴らしくないとはどういうことなのかについて、僕なりに考えを巡らせたりもする。しかし音楽のそれ以外の要素は僕にとって、さほど重要な意味を持たない。音楽とは基本的に、人を幸福な気持ちにするべきものなのだと考えている。そこには人を幸福な気持ちにするための実に様々な方法や道筋があり、その複雑さが僕の心をごく単純に魅了する。

小澤征爾 村上春樹「小澤征爾さんと音楽について話をする」新潮文庫より引用

良い音楽は、人を幸福にします。まちの予算も同じではないでしょうか。良いまちにするために、マエストロである市長がタクトを振り、奏者である担当部局がそのタクトに招かれる、議員はオーケストラの音に注意深く耳を澄ます。その演奏が良いものであれば、市民は幸福になるはずです。

すぐには難しいかもしれません、ただ、私たちに残された時間もそう多くはないはずです。このまちに良い音が響きわたるように、一年に一度の特別な演奏会に向けて各人が技術を磨き鍛錬できるはずです。市民の皆さんから「今年の演奏は、とても良かった。」そう言ってもらえるように、僕も、もっともっと議員として感性と技量を磨いていきたいと思います。

この度も最後までお読みいただきありがとうございました。

かわら版No.39


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