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否定される恐怖

ASDであればお馴染みのテーマだと思います。コミュニケーションの障害、というやつですね。仕事上で最近、指摘され始めていて困っています。自分の部下もいますし、若者の育成とか、上司との情報共有とか。いかにも中間管理職な悩みです、定型発達の人からすれば。ただもちろん、わたしには、とんでもなく苦痛なわけです。というか恐怖です。

ところが問題は、上司にはそのようには認識されていないらしい、ということです。少なくとも言葉上はそう言われました。まあそもそも管理職になった時点でそりゃそうか、という気もします。日常会話もヘタクソだし、特性全開なはずなんですが……。何か勘違いされているということなのでしょう。昔はいわゆる積極奇異型、たくさんの失敗を経て、今は受動型にだいぶ寄っていると自己分析しまして、一見、話すのが嫌いには見えないのかもしれません。そりゃ、生き残るために必死に擬態してきましたから。

ところが、現在、わたしがどうも仕事上の調整ごとや相談、共有の機会が少ない、と言われています。上司はそれを不思議がっているようです。「コミュ障じゃなさそうなのに」とのことです。そう見えてるんですね。ASDらしく、語彙力はありますし、文章は書けますしね。

わたしは結局、自分の言ったことが否定されるのを極端に恐れているんです。だから表面上の会話の問題ではなく、否定されない動きをする=自分の責任を回避する、というもっと根本的な(そして人格を疑われてしまいがちな)問題が隠れているわけです。この問題は、プライベートな会話でも出てきます。少し踏み込んだ話ができない。特性のせいであまりにも定型発達の人とは違う生活を送っているのがバレてしまうのが怖い。個人的な家庭環境の特殊さもあって、もう身体に染み付いてしまっています。

今の職場環境では今までの知識・経験が活かせず、自信のなさが出ているのもあるでしょう。またコミュニケーションそのもののスキルの低さ(話を切るタイミングがヘタクソ、ちょうどいい塩梅で雑談を混ぜて話せない、などなど)も、当然あります。

ただ、少し前向きな発見があったので、書き記しておきます。わたしが(特性による)恐怖を感じるとき、それは「思考停止」の状態です。頭の中が空白になり、その次に所在ない感じ、孤独感であっという間にそのことに囚われてしまいます。ものごとを統合する力が弱いのです。WAISの結果からも明らかです。

今回、この恐怖を和らげるのに、事前にものごとのイメージをスマホアプリみたいに「インストール」しておく方法が、効果を発揮しました。例えば人と話す時には、テーブルにお互い斜め前に座って、話しながらときどき相手を見てリアクションを確認するような、そんなイメージです。今までは、話す内容、言葉で脳みそがいっぱいになっていて、それを吐き出すのに必死でした。これも短期記憶の少なさの成せる業ですが、できるだけメモを取ったり書いたものを見ながら話すようにすればかなり緩和されることがわかりました。

もう少し話を広げると、やはり自分の置かれている文脈、流れみたいなものを掴みにくいんですね。部屋にいると、ただ、いるだけ。カレンダーを見ないと予定も思い出せない。LINEを見ないと友達も存在しない。仕事の相談や共有、調整にかんして、苦手以前にそれらを意識しづらいんですよね、何かメモとかがないと。

今までは原因もわからずでしたが、かなり今週でコツを掴んできた気がします。昔は諦め切っていた時期もありましたが、ASDでも、できる部分は上達してもいいのではと思います。特性に苦しむみなさん、(余裕があれば!)がんばりましょう。

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